なんか転職したら年収が上がり過ぎたんだけど
こんなに貰って大丈夫かな…
転職後に年収が上がりすぎることは、どこか不安な気持ちになるものです。
僕は転職後に「50万円」年収が上がっただけでも、プレッシャーを感じていました。
期待されていることができるか不安でした
「年収を上げる」ことが、転職をする大きな理由の1つです。
でも年収がいきなり上がりすぎると、不安になってしまう人が多いことも事実。
この記事の結論としてお伝えすることは、いっきに年収を上げることはリスクが伴うということです。
- 年収が上がりすぎる転職はリスクがあることも
- 大きく年収を上げるためには職種や業界を変える
- 年収だけではなく長く勤められる条件を確認する
一部を除いて大きすぎる年収アップは、予期せぬ事態を招くことになる可能性があります。
この記事を書いている僕は、人事を15年経験したベテランです。
報酬制度をつくった経験や、年収決定にも携わったことがあります。
そのため、人事視点で年収について具体的にアドバイスができるのです。
この記事を最後まで読んでいただくことで、年収を上げすぎる落とし穴を避けることができるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください!
年収が決まる仕組みをベテラン人事が解説
まずはじめに年収がなぜ上がるのかを、人事視点で説明します。
結論として、年収が上がりすぎることは稀です。
多くの場合は人事制度や相場によって決定されるので、その仕組みを説明します。
- 年収が決まる仕組みを人事制度で説明
- 年収アップの相場
年収が決まる仕組みを人事制度で説明
転職後の年収がどうやって決まるかについて、仕組みを知ってる人は意外と少ないと思います。
年収の情報は「自分のこと」くらいしか知らないからです。
確かに他人のは知らない
公開されないしね
一般的には年収の決定要因は「これまでの経験」が大きな影響力を持ちます。
厚生労働省の調べでは「経験や能力」そして「年齢」が上位にいることがわかります。
- 1位:これまでの経験・能力・知識
- 2位:年齢
- 3位:免許・資格
給料が決まる要素の1位は「これまでの経験・能力・知識」の71.4%でした。ただし、この調査は複数回答であるため、2位以降の要素も影響を及ぼします。2位は「年齢」で46.3%、3位は「免許・資格」で35.9%、4位は「前職の賃金」で26.2%、5位が「学歴」で12.7%と続きます。
HRpro|人事が語る転職のウラ側:「転職後の給料」はどうやって決まる?
何か1つの要素で決まることはないのですが、上記のような要素を判断材料として年収のあたりをつけていきます。
ただ、そのまま年収が決まるわけではありません。
採用するためには、その会社のルールというべき「人事制度」にあてはめていくことになります。
年収は人事制度の中でいうと「報酬制度」という仕組みの中で決まっていくものなのです。
なんか難しそうー
人事制度をざっくり説明するとこんな感じです。
- 等級制度:その人の役割と能力
- 評価制度:等級の役割を果たせたか
- 報酬制度:評価による年収の増減
一言でいえば、役割によって年収は決まっているということです。
そのため中途採用をする場合は、社内の人事制度にあてはめてみて「年収」という報酬を決めることになります。
その人にだけ特別な年収が決まるということではなく、枠組みの中に収まるようになっています。
この年収レンジの上限と下限によって、企業の平均年収もだいたい決まっていきます。
残念ながら年収は「青天井」ではなく、年収の上限は存在するのです。
既存社員とのバランスで最終的に決まる
ここで重要なことが1つあります。
それは既存社員とのバランスです。
いくら他人の給料がわからないとはいえども、極端に年収を上げ過ぎればバランスが崩れます。
また、そういったイレギュラーを認めてしまうと人事制度も機能しなくなってしまうのです。
例えば上司よりも高くなるとかね
あーそれは上司やる気無くすわ
年収は公開されることはありませんが、井戸端会議など雑談の中で他人の年収を知ることも。
中途採用の社員の方が高かったりすると、不満が出てしまう可能性があります。
中途入社の社員のほうが、年収で100万円も多いことがわかりました。中途入社の社員には、他社で積んだ経験もあるのでしょうが、私も7年間でそれなりの成績を残してきましたし、今の成績も私のほうが上なので納得がいきません。
引用:マイナビ|同年代・中途入社社員のほうが給与が高い
実際、中途社員をたくさん雇って言い値で採用してきた企業は人事制度の中身がぐちゃぐちゃになってます。
企業の人事制度は、競争力を保つために「業界の相場」くらいになっていることがほとんどです。
そのため同じ業界や同じ職種で転職している限り、年収が上がりすぎるようなことはありません。
また、どんな企業でもこういった人事制度が存在するはずです。
年収が上がりすぎて怖くなるような事態は異常ともいえます。
安易に考えず条件をよく見ていくようにしていきましょう。
年収アップの相場
結論として、年収は転職でそこまで上がるものではありません。
15年の人事経験からも言えますが、10%程度上がればかなり良いほうです。
大まかな相場は5~10%程度と言われており、10%の年収アップが実現できれば、給与面においては「成功した転職」だと言うことができるでしょう。
引用:Computer Futures|転職による年収アップの相場は?年収を上げるコツも解説
僕も年収50万円増えたことがある「約10%アップ」が最大です。
ちなみに、年収が100万円下がった経験もあります。
それは嫌なんだけど
年収が下がる転職もあるんだよ
また、マイナビ社の調べでは、約90万円ほど年収アップしたデータがあります。
データによると年収アップは20%を超えることになります。
転職回数が少なく年齢が若ければ、元の年収が低いので上がり幅も大きくなるのです。
前述の通り年収は人事制度の枠組みの中で決まるので、極端にアップすることはありません。
同じ職種などで年収が大きく上昇するケースとして、あり得るのは以下です。
- 前職の給与水準が低すぎた
- 年齢が若く元の給料が低かった
基本的には社内のバランスなどもあるので、10%程度の上昇に落ち着くことになります。
また、転職は年収を上げることも目的の1つですが、全員が上がるわけではありません。
厚生労働省の調べでは、年収が上がった人の割合は「約35%」で、下がった人の割合も「約35%」となっています。
仕事の責任を下げたり、ライフワークバランスをとりたい人は年収を下げて転職することもあります。
無理に年収を引き上げようとすると、負荷が大きくなることもあるからです。
転職で年収が上がりすぎる条件とは
ここまでは、人事視点で年収が上がる仕組みについてお話してきました。
僕の人事経験の中でも、極端に年収を引き上げて採用するケースを経験したことはありません。
正直なところ、求人に書いている「想定年収」の上限は本当の上限でなので、想定年収の範囲で調整となることがほとんどです。
さて、ここからは極端に年収がアップする条件をお話します。
- 適正な年収で評価される
- 利益率の高い業界や職種に転職
- ビジネスモデルが優れた企業に転職
適正な年収で評価される
前職が低すぎた場合は、転職によって適正に評価されることがあります。
特に新卒から1社でずっと働いていた場合は、年収が低い可能性があります。
産労総合研究所の調べでは大学卒の初任給は、最高でも「約23万円」です。
少ないんだよねー
僕は20万円だったよ
新卒で入った会社でどんどん昇給するならいいのですが、実際には数千円から1万円程度上がっていく程度です。
新卒のまま同じ会社で働いていると、相対的に低い状態のままということも。
ちなみにパーソル社の調べでは、20代の平均年収は352万円です。
一度転職すれば平均年収に近いか、それ以上の年収に近づくことになります。
早めに転職しようかな
1社で長く働き続けるよりも、転職をして年収を上げた方が適正な年収になる可能性があるのです。
事実としてマイナビ社の調べでは、年収アップした人は「はじめての転職」が1番多く46%も。
新卒は一律で初任給が決まりますが、数年経験を積むことで即戦力として採用されるから相対的に年収が高くなるのです。
利益率の高い業界や職種に転職
給料は業界によって決まっているといっても、過言ではありません。
利益率の高い業界に身を置けばそれだけで、相対的に年収が高くなることに。
え、うらやましい
転職で業界選びは重要です
国税庁の調べでは、「電気・ガス」といったライフライン関連が最も高く747万円です。
次いで「金融」や「情報」といった、利益率の高い業界が上位にいます。
逆に1番低いのは「宿泊」や「飲食」で268万円と、薄利多売になりやすい業界となっています。
上位の業界と、かるく3倍近くの差があることがわかります。
給料は業界特有の利益率で、ほとんど決まっているようなものです。
そんなに違うのかー!
また業界と同様に職種(仕事)でも、年収にハッキリと違いが出ています。
マイナビ社の調べでは、「コンサルタント」がトップで約1,300万円です。
上位に位置している職種に共通するのは、生み出す付加価値つまり「売上」が高くなっていることです。
逆に最下位は「警備・清掃」といった、売上を生みにくい職種が並びます。
年収で職種に優劣があるわけではありませんが、年収に違いが生まれるのは付加価値(売上)の大きさです。
まとめると業界や職種で、年収は決まっていることがほとんどです。
上がり過ぎて怖いくらいの年収を目指すためには、働く環境を丸ごと変えるくらいの覚悟が必要です。
ビジネスモデルが優れた企業に転職
最後に年収が上がりすぎる条件として、働く企業の「ビジネスモデル」があります。
ビジネスモデルとは、企業が売上や利益をあげる仕組みです。
企業が成長したり、倒産してしまう原因はこのビジネスモデルが大きく影響しています。
引用:マネーフォワード|<基本的な構造>企業とビジネスシステムの基本的な部分
- 利益モデル:どのようにして利益を得るか
- ネットワーク:価値を生み出すためにどのように他と連携するか
- 組織構造:人材や資産をどのように編成・連携させるか
- プロセス:自社ならではの優れた方法を使い、どのように業務を遂行するか
仕組みが大事ってことね
独自の技術なんかがあると強いよ
先ほど業界や職種などを変更をしないと、大きな年収アップができないとお伝えしましたが、ビジネスモデルが優れた企業に入れれば大きな年収アップもあり得ます。
東洋経済社の調べでは、「M&Aキャピタルパートナーズ」がトップで約2,700万円。
次いで「キーエンス」が約2,200万円です。
あらためてお伝えしますが、これは平均年収です。上位の年収ではありません。
やばすぎる…
ある程度業界に傾向はありますが、強みがあることは間違いありません。
- 独自の製品と売り込み力
- 積み上げてきた多くの資産を保有している
- 海外展開してシェアを持っている
たとえばキーエンスは費用対効果など、厳しい独自の基準をもとに仕事をしています。
よいビジネスモデルがあればいいというわけではなく、従業員1人ひとりが高いパフォーマンスを発揮していることがわかります。
また、1社の課題を深掘りしてそれを製品として、横展開する力があることもキーエンスの生み出す付加価値の高さにつながっています。
キーエンスを例に出しましたが、圧倒的に年収が高い企業はそれ相応のビジネスモデルを持ってるのです。
こういった企業に転職できれば、年収は怖いくらい上がってもおかしくはありません。
ただキーエンスなど有名企業は競争が激しく、転職できる確率は低いですが、独自のビジネスモデルを確立した中小企業なら意外と見つかるものです。
グローバルニッチトップなどの企業群を、参考にすることをおすすめします。
転職後に年収が上がりすぎるリスクとは
さて、ここまでは年収が上がる仕組みや、条件をまとめてお伝えしました。
怖いほど年収が上がることには、一定のリスクがともないます。
ここではそんな年収アップにまつわるリスクについてお話しします。
- 長く安定して働くことが難しい
- 残業や年間休日の条件が悪くなる
- 昇給率や変動給を確認する必要性
長く安定して働くことが難しい
年収が極端に上がりすぎる転職は「何かある」と警戒しておくべきでしょう。
なぜなら、その怖すぎるという違和感をどこかに感じてしまっているからです。
自分の認識と、年収という他者からの評価が大きくかけ離れている場合は、期待されていることがズレている可能性があります。
僕が見てきたズレていたパターンです。
- 鳴り物入りで役員入社
- 高待遇で幹部入社
- ヘッドハンティングされ役員入社
結果的に全員辞めることになっています。
共通しているのは前例のないような「大きな仕事」を任せられるという点です。
期待が大きい点と、採用したい企業の想いが重なり高額な報酬が用意されます。
しかし結果的にフタをあければミスマッチになることも。
経営者JP総研の調べによれば、部長や幹部クラスのいわゆる「エグゼクティブ」は約39%が転職に失敗したと回答しています。
特にエグゼクティブなどの場合は、正社員ではなく役員の場合も多いので契約期間があります。
怖すぎるほど年収が上がったとしても、使い物にならなければ契約解除の憂き目にあうことに。
役員でも失敗するんだね
どんな人でも転職は難しいんだよ
これは、別に役員や幹部に限った話ではありません。
一般社員としての転職でも、新規プロジェクトの立ち上げやスタートアップの創業メンバーといった「未知」へのチャレンジは頓挫するリスクもあります。
また未経験の仕事であれば、自分のキャパシティを超える業務になることも。
そうなるとメンタルヘルス不調に陥ってしまう可能性まであるのです。
高すぎる年収はこのようなリスクと、隣り合わせになっている可能性があるので十分注意しましょう。
残業や年間休日の条件が悪くなる
次に警戒するべきリスクは「ハードワーク」になること。
ハードワークにはいろいろな意味がありますが、ここでは長時間労働や多い業務量のことを指しています。
高い年収アップに喜んでいたのに、前職より長時間になってしまった場合は時給換算すると下がることも。
そんな悲しいことに…
管理職とかになっちゃうとヤバい
同じ職種の転職であれば、そこまで大きく条件が変わることはありません。
ただ高い年収に目がくらんで営業職に飛び込んだりすると、予想外にハードワークを強いられることも。
僕が営業職になって経験したのは以下でした。
- 数字が足りないので土日働く
- 上司が怖いから帰れない
- 顧客対応があって深夜残業
これは、転職するまでわからなかったのが正直なところです。
営業を経験したことがない人からすると、営業がこんなに大変だとは想像ができません。
その職業の常識は、ほかの職業にとって「非常識」であることはよくあります。
結果的に僕は週2休みだったデザイナーから、週1休みの営業職にキャリアチェンジして後悔することになりました。
転職怖すぎる…
また、個人的には「管理職」になるという、一見キャリアアップにみえる転職もおすすめしません。
マネジメントが好きであれば問題ないですが、年収アップを目指して、転職をきっかけに管理職として入社することは危険だからです。
「マネジメント」がメインの仕事になるので、自分の仕事の優先度が下がります。
結果残業時間や休日出勤が増え、さらにはキャリアになる実務の積み上げができないといった事態になることも。
デメリットが多すぎる
アメリカの詩人ロバート・フロストの言葉で僕に刺さったものを紹介しておきます。
1日8時間、誠実に働け。そうすればようやく人を使う立場になり、1日12時間働くことになる。
これは今の日本の職場でもあてはまります。
僕は部下の面倒を見ることは好きではないことがわかったので、今後の選択肢から「管理職」は外しています。
昇給率や変動給を確認する必要性
年収が上がりすぎて怖いような時には、内訳に「落とし穴」がないかチェックするべきです。
入社後に思っていたことと、違ったと気づいても後の祭りです。
これは僕の実体験です。
- 100万円分が半年間の補填だった
- 30時間以上の残業が前提だった
- 賞与が廃止になった
どれが起きても大きなショックを受けるほどの内容ですが、現実としてすべて経験してきました。
1つずつ説明します。
「100万円分が補填だった」というのは、年収アップを条件に知人(元上司)の会社に入社したところ、契約書に半年間だけの期間限定で100万円がついていたという話です。
簡単にいうと騙されたのです。
知人の紹介だったこともあり、口約束やLINEの連絡だけで手続きを進めてきた自分にも、落ち度はありますがさすがにショックでした。
半年後に補填が外れるまでに昇給できるように頑張ってと言われましたが、100万円分を補えるほどの昇給はできませんでした。
ひどすぎる
もうこの信用できない上司とは縁を切ったよ
ここでお伝えしたいのは、「昇給率」についてです。
昇給率とは年間にどのくらい給料がアップするのかということで、企業によって基準があります。
厚生労働省の調べでは「約2%」くらいがおおよその水準といえそうです。
この昇給率が低ければいくら入社時の年収が高くても、長期目線で考えたら低くなってしまうことも。
僕が入った会社は昇給率が低く1%以下でした。
そのため100万円の補填が外れたあとは、しばらく元の年収に戻ることが出来ず苦労したことを覚えています。
現在の会社の入社時に、昇給は年1回だと説明されていたのに、2年経っても昇給がありません。これは問題ないのでしょうか?
引用:リクルート|昇給が年1回だと説明されたのに、2年経っても昇給なし。これは問題ない?
また昇給率に加えて「変動給」という存在にも注意してください。
給与は大きく固定給と変動給で分けられ、毎月固定で決まった額が支払われるものを固定給、支給時期により支給金額が異なってくるものを変動給と言います。
引用:船井総研|【人事評価・賃金制度】変動給とは?作り方も含めて徹底解説!~インセンティブ・達成報奨金~
変動給の中でも、特に多くの人に影響するのは「賞与」と「残業代」です。
賞与は本来支払いの義務はありません。企業や人事側では調整弁といわれており、いざとなったら払わないことも可能な存在です。
僕の経験では賞与そのものが廃止されてしまったことがありました。
きつかった
また提示されている年収には「残業代」が含まれていることも。
僕は30時間以上の残業をすることを前提とした年収を提示されて、驚いたことがあります。
その企業は「1分単位で残業代を払う」と謳っていたのですが、フタをあければ残業ありきの給与形態になっていただけです。
生活残業の温床になるだけではなく、そもそも閑散期や緊急事態には残業が抑制されて収入が激減することもあり得ます。
少し長くなりましたが、年収が上がりすぎて怖いという背景には、こういった落とし穴がいくつも存在するので注意深く条件を確認するようにしましょう。
年収が高い分だけ仕事のプレッシャーも強くなる【経験談】
ここまでは、年収が上がりすぎてしまうリスクについてお話しました。
ここからは僕の経験談を交えて、年収を上げることで起きたことや見てきたことをお伝えします。
- 年収200万円アップは魅力的だけど…
- 年収100万円アップに目がくらんで後悔した
年収200万円アップは魅力的だけど…
高い年収は自分の価値があがったような感覚になるので、誰でも嬉しいと感じるものです。
特に転職は「非日常」といえるほどに、周りの関係者からチヤホヤされるので余計に自分が優れていると感じてしまいます。
僕は以前に200万円ほど上がるような、オファーをもらったことがあります。
それは起業の誘いでした。
当時の僕は「起業する」ことが、かっこいいと思っていました。
誘ってきた人物は同じ会社の人で、一緒に働いてきた僕のことを高く評価してくれていたのです。
これはシンプルに嬉しかった
褒められるのは誰でも嬉しいよね!
待遇面も役員になることを約束してもらっており、年収は200万円以上も上がる予定でした。
さすがに上がりすぎて怖いと思った瞬間はありましたが、その待遇になるのは事業が軌道にのったあとの話です。
そこまではある程度のことは、我慢して働くことになるのは覚悟していました。
ただやはり起業というのは甘い世界ではなく、予想していなかった出来事が複数起こったのです。
中でも1番のトラブルは、立ち上げるはずの資金が集まらないことでした。
それはやばすぎるのでは
ご想像の通り、その後起業は頓挫してしまい、個人的に大きくキャリアを踏み外す結果に。
年収200万円アップどころか、無職になってしまったのです。
これは、起業に限った話ではなく、スタートアップ企業への転職や、新規事業立ち上げプロジェクトへの転職も同程度のリスクがあります。
資金調達後の「景気の良さ」に目を奪われてしまった面もあります。前職の当時の体制拡大は、今からすれば行き過ぎで地に足がついていませんでした。
引用:ビズリーチ|景気の良すぎる「スタートアップ転職話」にご用心 失敗に学ぶ!転職Tips
景気のいい話を聞くと、ついその気になってしまいがちです。
しかし冷静に考えればうまくいく保証があるわけではないことがほとんど。
高すぎる年収などに意識がもっていかれてしまうと、他の大事なことが見落としがちになることも。
僕の自論ですが、転職に勢いは必要ありません、必要なのは冷静さと目標です。
年収100万円アップに目がくらんで後悔した
僕が20代のころにデザイナーから営業職に、キャリアチェンジした理由は年収です。
デザイナー時代は毎日タクシーで帰るような生活で、今では考えられませんが残業100時間超えがあたりまえの世界でした。
デザインは今でもやるくらい好きな仕事ですが、当時若かった僕は長時間労働の割に低い年収に嫌気が指していたのです。
パーソル社の調べでは全職種と比べても、デザイン系の職種は大きく下回っていることがわかります。
こんなに違いがあるのか
昔とあまり変わっていないのが怖い
当時僕は結婚を考えていたので、このままの年収だと厳しいと感じていたのです。
あるとき営業会社の年収の高さを知り転職を決意することに。
それは、求人広告には年収100万円アップと書かれていただけでした。
営業のことを何も知らない僕は、営業職って稼げると半分勘違いをして勢いでキャリアチェンジしてしまったのです。
まじで反省してます
営業職が稼げるというのは嘘ではありません。
ただ稼ぐのは簡単ではなく、かなりのハードワークをこなす必要があります。
そもそも契約が取れなければ「ごみくず」扱いされるような職場です。
年収以前にクビにならないようにするだけで必死でした。
- 1日1,000件の電話営業
- 23時までの残業
- 休みは日曜日だけ
デザイナーだった時代のほうがよかったと後悔しましたし、キャリアチェンジをしてしまった深刻さを痛感していました。
しばらく働いて結果を出したおかげで、本当に年収は100万円以上アップできました。
営業職などの求人は、インセンティブありきの年収例がほとんどです。
特に未経験の職種にも関わらず、高すぎる年収が提示されていた場合は注意しておく必要があります。
転職で年収を上げるためにできること
最後は年収を上げるためにできることや、意識しておきたいことを人事目線でお伝えします。
記事でお伝えしたように、高すぎる年収アップはやや危険があります。
ここでは地に足をつけて、コツコツと上げていく方法をお話しします。
- 年収の高い職種にキャリアチェンジする
- 需要が増えそうな資格でブランディング
- トータルリワードも考えよう
年収の高い職種にキャリアチェンジする
年収が高い職種は存在します。
年収を上げるシンプルな方法は、年収が高い職種に就くこと。
すごく単純ですが、高すぎると感じる年収を上げる方法はそれが近道です。
年収の高い仕事かー
ポイントを伝えるよ
この職種に就きなさいといった、特定の職種は正直ありません。
時代が変われば年収が高い職種も変わっていくからです。
ただし年収が高い職種にキャリアチェンジするためにはいくつかポイントがあるのも事実。
人事やキャリアコンサルタント目線でアドバイスできるのは以下のようなところです。
- 日本の経済の需要を先取りする
- ハードワークを経験して一度実績をつくる
- ビズリーチで市場価値を探り続ける
日本の経済の需要を先取りする
僕たちが住む日本の近い将来を考え、需要がどうなるかを考えると今やれることが見えてきます。
たとえば、僕が考えているのは、日本の社会は人口減少が止まらないので雇用の流動性が高まると考えています。
僕が国家資格キャリアコンサルタントをとったのは、人事としての付加価値だけではありません。
キャリアカウンセリングの機会が増えて需要が高まると考えたからです。
直近でも政治家の河野太郎氏は、解雇などができるような取り組みに前向きな発言をしています。
「雇用の流動性を高めるためには解雇の金銭解決制度などを導入し、解雇規制を緩和すべき」などと発言。
引用:Yahoo!ニュース|河野太郎氏の「解雇規制緩和」強気発言
何が言いたいかというと、経験は取り返しがつかない要素だということです。
すぐに年収は上がりませんが、将来的にキャリアチェンジは可能です。
僕の場合はキャリアコンサルタントや人事という経験を積み上げていくことで、年収アップができる職種にキャリアチェンジすることを目指しています。
ハードワークを経験して一度実績をつくる
ぶっちゃけラッキーで、年収が上がりすぎることはありません。
転職はそんなに甘くないです
企業が求めるのは、成果が出せる人です。
のらりくらり仕事をしていて、そろそろ転職をという人を高い年収で採用したりしないのです。
そこで人事としてのアドバイスは、実績をつくることです。
「何ができるのか?」という問いに答えられるのは、実績がある人だけです。
その実績はハードワークから生まれたりすることが多いもの。
僕はブラック企業で長年経験を積んだおかげで、対価として多くの実績を手にしました。
そもそも付加価値というのは、難易度が高いほど高くなるものです。
難易度の高い局面の乗り越え方や、誰も思いつかないようなアイデアに企業は高い年収を払おうとします。
ビズリーチで市場価値を探り続ける
最後はビズリーチを使って、自分の価値を知る重要性をお伝えします。
ビズリーチは知っている人も多いと思いますが、プラチナスカウトをもらうことができるスカウト型の転職サイトです。
企業やヘッドハンターが、登録者(求職者)にプラチナスカウトを送って一本釣り採用をするサービスです。
僕も採用する立場として、プラチナスカウトを1,000通以上送ったことがあります。
ビズリーチに登録して声がかかるかどうか、これが転職市場における自分の価値になります。
プラチナスカウトが届かなければ、自分のキャリアの市場価値が低い可能性も。
また、高すぎるほど年収を上げるつもりなら、いくらで声がかかるかを知ることができます。
大抵の場合届くプラチナスカウトには、想定年収が記載されているので自分がチャレンジ可能な年収レンジがわかるのです。
詳しいことは、ビズリーチでプラチナスカウトをもらう記事に書いています。
需要が増えそうな資格でブランディング
資格を持っていれば年収が上がるかというと、そうではありません。
資格マニアのような人は多くいますし、人事としてもたくさん持っているから年収を上げてあげようという判断にはなりません。
ただ資格はセルフブランディングに使えます。
僕の場合はMBA(経営学修士)と、国家資格キャリアコンサルタントを持った人事というブランディングをしています。
なんかすごそう
MBAは厳密にいうと学位だけどね
資格そのもので年収を上げることは難しいものの、自分のキャリアに相乗効果がある資格や学位であれば「箔がつく」のです。
箔がつくと転職市場では「なんかすごそう」という評価を受けることができます。
実際MBAを持ったビジネスパーソンはあまりいないので、「経営も人事のこともわかってそう!」と年収の高いポジションを提案されることもあります。
残念ながら年収の高いポジションは「管理職」であることが多いので、僕には響かないですが実際声はかかります。
また、前述したように日本の今後のトレンドをなんとなく予想することで需要が高くなりそうな資格もあります。
国家資格キャリアコンサルタントは、まさにそういった需要を見越して取得しておきました。
国としても「国家資格キャリアコンサルタント」を10万人にするという計画を動かしているので動きがあるのは確実です。
キャリアコンサルタントは一例ですが、こういった大きな動きは他にもあります。
そういったトレンドと需要を予測して先に種をまいておくことで、数年後に年収が上がりすぎるようなキャリアの実現可能性を高めていくのです。
トータルリワードも考えよう
この記事では、年収つまりお金のことだけに触れてきました。
しかし働く環境にはお金以外の報酬というものが存在します。
それを「トータルリワード」と言います。
働く人の価値観やライフスタイルの多様化に対応するためには、賃金だけでなく、仕事そのものの面白さや働きやすい職場環境、組織文化、能力・キャリア開発、福利厚生、ワーク・ライフ・バランスなども組み合わせた、自社独自の魅力的な報酬パッケージを構築し提供していくことが求められています。
引用:日本の人事部|トータルリワード
働くうえで、お金だけもらえれば満足できますか?僕にはできません。
やりがいや成長できる環境などが揃ったうえで、年収が高いことが望ましい状態といえるのです。
充実した福利厚生や、居心地の良いオフィスも大きなくくりでトータルリワードです。
最低でも8時間は労働するはずです。
そのような長い時間働くためには、ストレスが低く充実した状態でなければ厳しいものです。
たとえばリモートワークを推奨している職場であれば、移動時間を自分の時間に充てたりできます。
その自分の時間を使って、副業などで収入を増やすということも可能になります。
そっちの方が年収高くなることも
副業考えようかな
高い年収をもらっても、長続きできなければ意味はなくなってしまうことに。
転職時に年収を大きく上げることは、記事でお伝えしたように一定のリスクがあります。
それよりも昇給できる環境で長く勤めて、年収を着実に上げるほうが経験も積めるのでキャリアアップにもつなげやすいです。
転職は年収ばかりに目がいきがちですが、トータルリワードという金銭以外の報酬も意識していくことをおすすめします。
転職後の年収の高さについてよくある質問
転職後の年収アップは高望みし過ぎないこと!キャリアアップを重ねるのがベスト
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をまとめます。
- 年収が上がりすぎる転職はリスクがあることも
- 大きく年収を上げるためには職種や業界を変える
- 年収だけではなく長く勤められる条件を確認する
身もふたもないことを言いますが、怖すぎるほど年収が上がることはほとんどありません。
もし仮に身の丈に合っていないような年収で、転職をする場合は一度リスクを確認しておくべきです。
入社後に気付いても遅いのです。
僕の事例のように平然と「残業代込みの年収」を提示してくる企業も存在します。
ちなみにその企業は大企業です。
そんな大きな企業でさえ、驚くような条件を出すのが転職市場の怖いところです。
僕は8回転職をしましたが、一気に年収があがることはありませんでした。
現実的には年収の10%くらいが、やはり相場といえます。
重要なことは入社後に年収を上げて、キャリアアップをすることです。
- 10%の年収アップを繰り返す
- 在籍中に昇給して年収を上げる
上記の2つを実践したことで、僕は300万円から700万円まで年収を上げることができました。
まずは転職で自分にあった職場と仕事を見つけて、キャリアアップを目指していきましょう。
結果として年収はついてくるものです。
この記事があなたの役に立っていれば嬉しいです。