転職活動してたらあっさり内定もらえた!
1社目で内定が出たけどもう終わっていいのかな?
転職活動してたら、なぜかあっさり内定が出た。
そんな経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
時間がかかると思ってたのに、このままあっさり終わってもいいのか、逆に不安になりますよね。
結論、本命なら転職活動を終わらせても大丈夫です。
- 転職活動で内定があっさりでることはあり得る
- 1社目で決めてしまうことのリスクを把握する
- 転職は自分が目指している姿になるための手段でしかない
一方で本命の企業でもなく、微妙なラインの企業からの内定だった場合は注意が必要です。
転職活動を軽く考えてしまうと、冗談抜きで一生後悔するからです。
この記事を書いている僕は、現役の人事でありキャリアコンサルタントです。
転職も8回経験しており、1社目の内定で決めてしまって後悔したことも。
1社目の内定で決めてしまって本当に失敗したんですよね
僕の豊富な経験をもとに、転職であっさり内定が出た時の注意点を整理してお伝えします。
記事を読んでいただくことで、その「あっさり出た内定」をどうすればいいかわかるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください!
転職活動であっさり内定が出ることはよくある!
まずはじめに転職活動であっさり内定が出ることについて、人事(企業)目線でお伝えします。
採用現場から見た「内定」を知ってもらうことで、なぜそんなに簡単に内定が出てしまうのかを知ることができるはずです。
僕が人事として1,000人以上に面接をしてきた経験をもとにお伝えします。
- 大手以外の企業は常に人手不足という現実
- 1人でも多く採用したい人事の本音
- 選考フローは企業によってまったく違う
大手以外の企業は常に人手不足という現実
内定が簡単に出たように感じると不安になりますよね。
でも、企業はボランティアで採用しているわけではありません。
求職者が「可愛そうだから」といった理由で、採用してあげようというようなことはあり得ないのです。
そのため「内定」が出ることはたまたまや、偶然ではなく内定をもらったその人の実力です。
内定というのは企業としての意思決定であり経営判断。
だから、内定をもらったということは素直に喜んでいい状況です。
適当に採用とかしないんだ
企業にとって内定は重い責任があるんだよ
一方で企業の立場で考えると、どうにかして事業を継続させて経営していく必要があります。
その経営にはどうしても「人材」が必要になるのです。
ただ近年はどこの企業も人手不足。帝国データバンク社の調べによると人手不足の企業は51%と高止まりしていることがわかります。
採用したくても採用できる人材がいないという状況が続いており、人手不足が起因した倒産は2023年で「313件」と過去最多を記録。
そもそも内定を出せる人材に出会うこと自体とっても難しく、内定を出すだけでも一苦労です。
買い手である企業が優位だったのは過去の話、今は売り手である求職者のほうが優位といえます。
人手不足はかなり深刻です…
まとめると、企業とフィットする人材なら「いつでも」採用したいというのが本音です。
そういう事情を知らない求職者から見ると、あっさり内定が出たように感じるだけなのです。
1人でも多く採用したい人事の本音
企業で採用を担当するのは基本的に「人事」です。
僕は人事として採用活動を15年以上経験し、年間300人くらい採用したこともあります。
人事は席に座る暇もないです
採用活動は企業が経営していくうえで生命線とも言えるほど重要な役割があります。
売上を維持することも拡大することも、人材がいなければ成り立たないからです。
実は人事の採用担当は、そういった重い責任を背負っています。
採用の実務をちょっとだけ説明するとこんな感じです。
- 採用目標:年間で採用したい人数を決める
- 採用手法:どうやって採用するか(転職エージェントやSNSなど)
- 採用フロー:選考の回数や役割分担や運営
上記のような内容を決めて1ヶ月単位で数値目標の進捗を追っていきます。
なんだか大変そう
これがめちゃくちゃ大変!
採用の実務をしている人事の本音で言うと「採用できればそれでいい」と考えている担当は少なくありません。
もちろん厳選して企業のカルチャーや、バリューにフィットした完璧な人材を見極めるという役割はあります。
ですがそんな人材はいないのが現実で、厳選しすぎて採用できなければ意味がありません。
ただ、そうは言ってもモンスター社員や、仕事ができない人材を抱えてしまうと大きな損害に。
だから人事としては最低限のリスクは排除しながら、採用目標を達成できるようにしているのが実態です。
人事は採用担当として門番の役割も果たしますが、現場の採用担当が内定を出せばそれが答えです。
あっさりと内定が出ることは人事としては嬉しいことですし、なんなら採用目標をクリアできるからラッキーくらいの感覚の人もいます。
人事目線で考えればマッチしている人材を見つけたことで内定が出たならそれでよいのです。
選考フローは企業によってまったく違う
「選考フロー」とは企業が採用する際に、募集から入社するまでの一連の流れのことをいいます。
この選考フローは企業によって違います。
内定があっさり出てしまうようなケースは、選考フローが短く面接が1回だけということも。
サクッと終わって不安になるよ…
大量採用している企業に多いかな
面接の回数は一般的には「2回」という統計があります。
面接2回の場合の選考フローは、だいたい以下のような内容です。
- 書類選考
- 1次選考:人事もしくは現場責任者
- 最終選考:役員もしくは社長
- 内定通知
面接2回というのはオーソドックスで、多くの企業で採用されている選考フローといえます。
一方で僕が選考フローを組み立てる際には、面接は3回行うことが多いです。
なぜならミスマッチが怖いから。
本当にミスマッチは危険です
前述の選考に「2次選考」を追加して現場のメンバーに参加してもらったり、別の角度から選考します。
ちなみに、僕が人事として面接回数の参考にしているのは「Google社」です。
Google社は面接回数の最適回数を「4回」としています。
全員が4回というわけではなく、人によって回数を変えて調整しているのです。
4回の面接によって86%の確率で適切な候補者を採用することが選ぶことができ、一方で5回以上繰り返しても確率は1%ずつしか上がらないということが統計データとして出ているとのことです。
引用:HRNOTE|Googleに学ぶ人事管理の最先端|面接の最適回数は4回?
しかし、じっくり選考をしていたら他社にとられてしまったということもあります。
実際の採用現場ではスピード勝負なのです。
そのため、面接官である人事に権限を与えているケースも。
いい人材がいたら「その場で内定」ということも十分にありえますし、通常の面接回数から特別にショートカットしてくれるといったこともあります。
このように企業によって考え方は違います。
- 短く最短で採用したい企業
- じっくり見極めたい企業
あっさり内定がでたから「やばそう」というのはイコールではありません。
まとめると、選考フローは採用するために柔軟に変化します。そして連絡が早かったり、結果が早かったりすることは企業の採用活動では自然なことなのです。
しかし、とにかく大量採用したいだけの企業も紛れているのも事実なので、その点については注意していくことが重要です。
転職活動であっさり内定が出ると不安になる理由
ここまでは企業側の目線で内定が出る舞台裏をお伝えしました。
一言で企業の気持ちを表現すると「採用したい」です。そこにマッチした人材がいたらすぐに内定を出したいというのが実際のところです。
ただ、あっさり内定が出てしまうと不安になる気持ちもよくわかります。
ここでは内定が出て不安になる理由を整理しておつたえしていきます。
- 転職活動は難しいものだと思っていた
- 自分の評価された要素がわからない
- まだ企業のことをよく知らない
転職活動は難しいものだと思っていた
内定があっさり出て不安になる心理として、転職活動が難しいものだという「思い込み」があります。
転職活動の経験がないと、WebやSNS上の情報からしか想像することはできません。
そして世の中に溢れている転職にまつわるエピソードは、失敗談など難しそうと感じさせるものばかり。
でも実際難しいでしょ?
難しさは人によるんだよね
マイナビ社の調べでは、転職に対してのイメージは「大変/面倒」という意見が最多です。
結論、転職活動は難しいものと考えるのが妥当です。
僕は8回も転職を経験しているので、転職活動がどんなもので、どういったことが起こるのか想像できます。
だからコツもわかっているので、難しいというイメージはありません。
しかし経験がなければ、転職活動で何をすればいいかもわからず難易度が高くなるのは事実。
ちなみに難しいと感じる要因は以下のようなものがあります。
- 情報収集が難しい
- 自分のキャリアが決まらない
- 市場価値が低く選考が通過しない
他にも様々な要因はあるのですが、転職活動は「人生の棚卸し」ともいえるような大きなイベントです。
誰でも転職活動が難しいと感じるのは、人生をよく考える機会がなかったから。
あらためて考えると自分が何をしたいのかさえ、わからなくなることもあります。
僕は何がしたいんだろう…
そういった難しいとされている転職活動で、たまたま応募した企業の面接がトントン拍子で進んで内定が出てしまうことも。
嬉しい気持ちの反面、難しく考えていた転職活動が急に終わることに不安を覚えるのは自然なことなのです。
僕のアドバイスとしては、その内定をきっかけにキャリアや人生について真剣に考えることに価値があると思います。
納得できなければ辞退すればいいだけなのです。
自分の評価された要素がわからない
内定があっさりと出てしまうと、自分のどこを評価されたのかわからないままになります。
たとえば面接回数が「1回」だけで終わってしまった場合には、企業からのフィードバックも1度だけ。
1回だけの面接だと、伝えたいことが伝えられていないこともあり不安が残るものです。
本来面接は、以下の例のように選考回数によって役割が分けられているものです。
- 1次選考:スキルチェックとカルチャーとの相性
- 2次選考:スキルチェックとメンバーとの相性
- 最終選考:人柄チェックとキャリアビジョンの相性
こんなにも確認する項目が本来はあるのに、1回で終わってしまって内定が出た場合はお互い「未確認」の項目が存在しています。
こんな感じで内定もらっていいのかな?
僕はあまりおすすめしないよ
人事目線で考えると1回の面接で内定を出すような場合、しっかり評価していないと言い切れます。
なぜなら面接は長くても「60分」その中で、あらゆる角度で確認することなど不可能だからです。
事務的に質問すれば別ですが、しっかりコミュニケーションをとりながら進める必要があります。
求職者側の立場としては、何が評価されたかわからない不安を持つのも当然です。
そのため「1回の面接で採用してしまおう」という、スタンスの企業には注意をするべきです。
ブラック企業の可能性もあるからです。
- 労働力さえ確保できればいい
- 早期離職になっても構わない
- 誰にでもできる市場価値の低い仕事
前述したように企業にとって、内定を出すことは責任が伴います。
しかし、残念ながらブラック企業など一部の企業は、内定出しに責任を感じていない企業もあるので注意する必要があります。
まだ企業のことをよく知らない
1社目など短期間であっさり内定が出た場合は、企業のことを深く知る機会が限られてしまいます。
特に選考回数が少なく1から2回の面接で、すぐに内定が出た場合は2時間程度しか企業とコミュニケーションしていない計算です。
しかもその時間の半分以上は自分のことを話しているので、企業の情報といえば会社説明とこちらから質問をした内容のみ。
まだ良いかどうかわかんないなぁ
すぐ内定が出ると判断が難しいんだよね
前提として内定をもらった企業が「本命」なら迷う必要はありません。
あたりまえですが迷っているのは本命ではないからです。
一般的に転職活動は転職エージェントを通じて企業を紹介され、条件的に許容できる範囲の求人へどんどん応募していきます。
その中で、たまたま初期段階で応募した企業から内定が出たから迷っているのです。
そうなんだよねー
WACUL社の調べによると、入社した企業の社名を転職活動前に知っていた人は約60%となっています。
個人向けのサービスを展開している企業であれば、社名や会社のことを知っているかもしれません。
しかし法人向けのサービスの場合、個人は触れる機会がないので「ほとんど知らない」状態で応募することになるのです。
短期間であっさり内定が出て、安易に内定承諾をしてしまうと思っていた企業のイメージと違ったということにもなりかねません。
企業についてしっかりとイメージの解像度を上げないと、「リアリティショック」を受けることになります。
リアリティショックとは思っていたものと違った時に受けるショックのことで、パーソル社の調べでは約77%の人がリアリティショックを経験しています。
リアリティショックを避けるためのアドバイスをするなら、「ビジネスモデル」と「カルチャー」をよく理解することです。
この2つを軽視してしまうと長く働くことが難しくなります。
1社目の内定で転職活動を終える危険性を人事が解説
ここまでは内定があっさりでる仕組みと、その時に抱える不安についてお伝えしました。
ここからは現役人事である僕の目線で、1社目の内定で転職活動を終える危険性についてお話します。
僕自身1社目の内定で転職を経験して後悔しているので、同じような目にあわないようにぜひ参考にしてください。
- 今すぐ転職したいという状況の転職活動は危険
- 転職活動は「転職」することが目的ではない
- 比較する企業を探さずに決めてしまうリスク
今すぐ転職したいという状況の転職活動は危険
まず、そもそもの「転職する理由」に焦点をあててお話します。
あなたはなぜ、今転職をしようとしているのでしょうか。
- 将来のため
- 目標を叶えるため
- キャリアアップを叶えるため
人によって、転職で叶えたい理想や理由があるものです。
僕自身も8回の転職で理想を叶えてきたので、転職についてはポジティブなイメージを持っています。
実際に今の日本でキャリアアップを実現するには、転職は有効な手段です。
ただ、僕は転職には「2つの種類」があると思っています。
- 逃げの転職
- 攻めの転職
逃げの転職は、現職が嫌で逃げる転職です。逃げるという表現は置いておいて一般的には結構こちらが多い印象。
一方で攻めの転職は、成長やキャリアアップを目的とした転職です。現職に不満がないのが特徴ですね。
indeed社の調査によると世界的に見て、日本は現職に対する不満、つまり逃げの転職が多い傾向があります。
日本の特徴として「仕事よりもプライベートを優先する」仕事観や、転職理由は「自分にとってプラスになる」よりも「現状の職場に不満」が多い傾向、キャリア形成にかけるお金の少なさなど、他国と異なる傾向が見えてきました。
引用:indeed|「転職」に関する意識調査
正直どちらが別にいいとかではないですが、逃げの転職の中には「今すぐ辞めたい」という状況の人もいます。
そのような状態で転職活動をしていると、あっさりと内定が出てしまえば、その内定に飛びつきたくなってしまうものです。
早く辞めたいんだけどなぁ
転職してもストレスがなくなることはないよ?
ちなみにパーソル社の調べでは、給与や人間関係が上位の転職理由としてあがっています。
僕は転職活動において、1番危険なのは「内定」がゴールになってしまうことだと考えています。
そのため今すぐに辞めたいという気持ちになるまで、現職で耐えるべきではありません。
冒頭にお伝えしたように転職活動は、自分の願いを叶えるために行うべきです。
ラクになりたいという気持ちから、1社目の内定で現職を辞めることと転職活動を終わることを選んでしまうと後悔することになるからです。
転職活動は「転職」することが目的ではない
転職活動は転職することが目的ではないというと、ちょっと禅問答みたいに聞こえるかもしれません。
ですが、本当にそうだと思っているので僕の考えをお伝えします。
転職とは仕事を変えたり、働く企業を変えることが目的ではありません。
それはあくまでも手段です。
では何を目的としているかというと、自分の「ありたい姿」を実現するためです。
ありたい姿とは…
目指したい将来の自分だよ
はじめて就職した企業でなりたい自分の姿に近づけたのなら、それはただの幸運です。
一般的には何度も転職をして自分に合う企業や、仕事を見つけていかなければならないのです。
自分に合う企業と仕事を見つけることではじめて、自分が目指していた「ありたい姿」に近づくことができます。
ありたい姿を別の言葉で言うと「キャリアビジョン」と言います。
キャリアビジョンとは、個人が生き方や仕事、価値観などの幅広い視点から、将来このようになりたいと思い描く「キャリアの理想像」を意味します。
引用:パソナ|キャリアビジョンとは
実は転職活動における悩みや葛藤はすべて、自分のありたい姿を考える材料になります。
- 自分が得意なものは何か
- 自分の価値とはどんなものか
- 何を成し遂げたいのか
こういったことを考えながら、自分と向き合うことで少しずつ自分の理想が見えてくるのです。
逆に転職する機会以外ではあまり考えないよ
しかし転職すればすべて解決するような妄想を抱いてしまっていると、1社目の内定に飛びついてしまう可能性も。
せっかく自分と向き合う貴重な経験を捨ててしまう上、ミスマッチになる可能性もあります。
適当に選んだ会社に入社した場合は、結局同じようなストレスや悩みを抱えて転職を繰り返すことになってしまうかもしれません。
比較する企業を探さずに決めてしまうリスク
1社目の内定で転職先を決めることは、「他社」を知らないという点が最大のリスクです。
転職を何度も経験した僕は、企業によってまったく受ける印象が異なるということを知っています。
内定をもらった企業に対して、自分なりに「70点」という評価をつけていたとします。
しかし別の企業から内定をもらったところ、70点だったものが55点くらいに評価が下がるということもよくある話なのです。
比較しちゃうんだね
全く同じ企業は存在しないからね
現実的には2、3社の内定を並べてじっくりと比較検討するような時間はありません。
なぜなら全く同タイミングで選考は進みませんし、内定保留期間は一般的に「1週間」くらい。
企業に相談して伸ばしてもらったとしても、他の候補者もいるので2、3週間が限界でしょう。
しかも延長したことで「第一志望ではない」ということも伝わるので、内定先の企業に対する心象は悪くなります。
えー難しいよ…
僕がここでお伝えしたいことは、「自分の基準」というのはあまりあてにならないということです。
「自分の基準」とは自分が経験した範囲でしかありません。
1社しか知らない状態であれば、その1社だけが転職の判断基準になってしまうのです。
しかし転職活動をじっくり進めていくと、自分でも知らなかった優良企業と巡り合うこともあります。
さらには相性のいい転職エージェントと出会うことも。
ビズリーチ社の調べでは「半年以上」かけて、転職活動する人が約27%いることがわかります。
転職活動は急いで行うものでも、内定を目的にするものでもなく自分のありたい姿を目指すために行うものです。
そのため、転職期間はできるだけゆとりを持ち様々な企業を知ることが重要になります。
内定があっさり決まって大きく後悔した【経験談】
ここまでは1社目で転職活動を終わるリスクについてお話しました。
結論としては、1社目の内定で転職を決めてしまうのは、リスクが非常に高いということが伝わったのではないでしょうか。
さてここからは、僕が1社目で即決してしまった経験をお話します。
これは20代前半の転職だったとはいっても、40代になった今でも後悔しているエピソードです。
- 面接は1回だけ!すぐに内定して転職活動が終了した
- 大量採用のブラック企業で起きていたこと
- 求人情報に注意すれば避けることができた
面接は1回だけ!すぐに内定して転職活動が終了した
これは、僕が20代前半だったころのお話です。
当時の僕は転職経験も少なく、職種も人事ではなかったので転職については全くの無知の状態です。
デザイナーからの転職理由は「稼げる」という安易なものでした。
キャリアチェンジという、かなり重要な意思決定をそんな理由で決めていたのです。
さらに転職活動も甘く見ていたので、なんとデザイナーの仕事を辞めてから転職活動をスタートさせていました。
今考えても恥ずかしいです…
若かったんだねー
当然簡単に転職先が見つかるわけもなく、書類選考の段階でつまづいていたのです。
しかし、僕はとある営業会社の求人を見つけました。
条件はとても良かったので、すぐに電話で問い合わせしたことを覚えています。(当時はWeb応募はなかったのです)
すると書類選考もなく面接の日程調整をしてもらえることに。
当日の面接は現場の責任者が担当してくれました。おそらく当時の僕と同年代くらいの人でした。
面接で聞かれたことは以下です。
- 転職理由
- すぐに働けるか
え、これだけ?
あとは雑談だったね
ようはほとんど何も聞かれていないのと同じレベルでした。
いそがしかったのか30分程度で面接は終了し、僕は手応えもなにも感じないまま家に帰ることに。
すると驚いたことに当日中に、内定の電話連絡が届いたのです!
今考えれば絶対に危険な流れだということはわかるのですが、当時の僕はそんなことを知るすべもなく、ただただ喜んでいました。
この流れからおわかりのように、僕は1回の面接でしかも当日中に内定通知が来るような企業に転職を決めてしまったのです。
大量採用のブラック企業で起きていたこと
さて無事に営業職にキャリアチェンジを果たした僕は、そこから波乱万丈のブラック企業人生を15年以上送ることになります。
そうです、前述した当日に内定が出た会社は、ブラック企業の代表とも言えるような企業でした。
- 大量採用と高い離職率
- 残業代が出ないずさんな労務管理
- パワハラが日常のオフィス
その企業は入社してからわかったことですが、面接で人事が登場しなかったのは現場に丸投げしていたからだったのです。
それはかなりヤバそう
入社した後に気づいても遅かった
だから採用基準もひどいものでした。
僕が採用された理由を聞いたところ「普通にコミュニケーションができればよかった」とかかなり適当な回答が返ってきたのを覚えています。
電話営業の会社だったので、特殊なスキルや経験は求められず誰でも採用していたのが実態だったのです。
人事を15年経験した今だから言えることですが、採用を適当にしているところにまともな企業はありません。
「人材」を適当に扱うことを公言しているようなものです。
これは15年以上前の話なので今とは状況が違うかもしれませんが、同じレベルのブラック企業は存在します。
面接の対応が適当だなと感じた場合には、十分に注意するようにしましょう。
求人情報に注意すれば避けることができた
転職の経験を積んだ今なら、ブラック企業の見分け方がわかります。
しかし当時の僕は「ブラック企業」という存在すら知りませんでした。
たとえばサバンナで生まれたばかりの動物が「この世には自分を襲う天敵がいる」ということを知らないようなものです。
少しずつ経験を積んで逃げたり、戦ったりすることができる術を身に着けていくもの。
人間も同じで、「危険」を知らなければ身を守る行動することはできないのです。
僕もWebとかSNSの情報くらいしか知らない
自分で経験すると視点が変わるよ
僕からのアドバイスとして、ブラック企業は存在しますし入社はおすすめしません。
なぜならメンタルにダメージを受けるなど、デメリットのほうが大きいから。
ブラック企業は特徴を隠すことが難しく、求人である程度見分けることが可能です。
まずはキーワードのセンスで見分けるポイントはこちら。
- 未経験歓迎・学歴不問
- 20代・若手が活躍
- アットホーム・家族・仲間
どれも言い換えてみると、その危険性がわかりやすくなります。
- 未経験→誰でもいい
- 20代・若手→離職率が高くミドル世代が残らない
- 家族・仲間→なぁなぁで帰りにくい雰囲気
うわぁ…
見抜くポイントとしては魅力的な要素が少ないので、無理やりキーワードを変換して表現していること。
一見良さそうですが、こういったキーワードしか「選べない」企業の現場はかなり苦しい環境である可能性が高いです。
そして他にも、求人から読み取れる内容があります。
- 同じ求人が常時掲載している
- 固定残業制(みなし残業)
- 残業時間が多い
これも裏を返せば企業の手の内が見えてくる要素です。
- 同じ求人が常時掲載→大量採用・離職率が高い
- 固定残業制→残業が前提
- 残業時間が多い→30時間以上は警戒
上記はあくまでも可能性ですが、警戒する材料としては十分です。特に固定残業制を導入している場合は基本的に45時間までは残業代が含まれています。
ホワイト企業であれば固定残業分きっちり働かせることなどはないですが、ブラック企業の場合は残業時間分労働する可能性があります。
当時僕が働いていたブラック企業は、週休1日の上に残業時間が平均60時間以上はありました。
もう倒産していますがひどい環境でした
厚生労働省から明示すべき条件は以下のような内容になっています。
残業時間が20時間という表記であれば、1日1時間程度ですが30時間以上の表記になっている場合は日常的に残業が発生している可能性があります。
どうしても人が関わらないと終わらない製品やサービスを扱っている場合は、ブラック企業体質になりやすいということを覚えておいてください。
リクルート社の調べでは、クリエイティブな職種が残業時間が多い傾向にあることがわかる一方で積極販売など飲食業界も上位に入っています。
辞退も視野に!あっさり内定が出てしまったときの対処法
ここまでは僕が1社目で決めて後悔したエピソードをお話しました。
かなり極端な失敗例ですが、こういう可能性もあり得るということが伝わっていれば嬉しいです。
ここでは内定が出た時にとるべき行動をお伝えします。
- 結論!本命なら内定承諾しても問題ない
- 内定辞退する場合は2週間前までに伝える
結論!本命なら内定承諾しても問題ない
見出しの通りですが、本命の企業からの内定であれば内定承諾しても問題ありません。
確率的には低いですが、応募したらトントン拍子に内定が出るということはあり得ます。
応募時点で第一志望である企業に合格できること自体、かなりの幸運です。
逆にじっくり考えることで悩みが深まり、入社するタイミングを逃すなんてこともあるのです。
それは避けたいかも
自分が良いと思える企業は少ないよ
僕がこの記事でお伝えしたいのは、適当に決めてはいけないということです。
- 現職から逃げたい
- 転職活動を終わらせたい
こういった理由で転職先を決めると、僕が経験したようにブラック企業を選んでしまう可能性があります。
自分が考えて、いいと思った企業であればそれでよいのです。
一方前述したように「石橋」を叩きすぎて渡れない状況になるのは避けたいところ。
結局のところ第一志望でも、入社したら違ったということは十分あります。
それでも入社しない限りはわからないのが転職活動です。ある程度は「えいや」で決めるしかないのです。
その判断基準として自分の本命だった企業というのは悪くありません。
内定辞退する場合は内定承諾期間内に伝える
内定が出ても入社しない場合は辞退する必要があります。
基本的にいつまでに内定辞退を伝えるべきかというと、内定承諾期間内というのが答えです。
ほとんどの場合は、1週間か2週間程度の期間で回答することが求められることになります。
仮に内定承諾をしてしまった場合は、内定承諾後の辞退となりますので遅くとも入社日の2週間前までに伝える必要があります。
ただ内定承諾した場合でも企業は断ることはできないのでそのまま内定承諾を辞退することは可能です。
よく内定の辞退の期限が2週間という記事を見かけますが、「2週間」というのは承諾後の話です。
入社する前の2週間前までは「内定を辞退する権利」を持っていることになるということです。
入社後の退職の場合、雇用期間の定めがなければ、退職の申し入れをしてから2週間経過するとその労働契約は終了します(「民法」627条)。このとき、企業の承諾は不要です。内定辞退もこれと同様で、その申し出から2週間経過すれば、企業の承諾なしで内定辞退が成立します。
引用:HRpro|「内定辞退」の考え方
ただしとんでもなく迷惑をかけることになります
承諾期限内にしっかり考えないとね
内定通知する企業側の舞台裏を言うと、内定承諾の期限がそれなりに延長は可能です。
長くしてしまうと比較対象が現れたり、入社意思がなくなってしまうことを懸念して1週間くらいに設定していることが多いのです。
ちなみに入社日を「最短」で調整してくる企業は、人手不足で困っているブラック企業の可能性があるので注意しましょう。
何度もお伝えしているように重要なことは、自分で考え抜くことです。
安易に辞退すればいいという話ではなく、辞退しても後悔しない状態にするというのがポイントです。
転職が決まりやすい人はいる!人事が見てきた特徴3選
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
あっさり内定が出る背景や、そこに潜むリスクをお伝えできたのではないでしょうか。
最後に僕が人事として見てきた、転職が決まりやすい人の特徴をお伝えします。
あっさり内定をもらうためのポイントをおさえていきましょう。
- 成果がわかりやすい人
- 希少な経験をしている人
- 笑顔を引き出すムードメーカー的存在な人
成果がわかりやすい人
企業が欲しい人材は「成果」を出せる人です。
成果とは良い結果のことであり、企業の業績は従業員一人ひとりの良い結果の積み重なりでできています。
職務経歴で成果をしっかり伝えられている人は、面接もスムーズに進んでいきます。
優秀な人材だなー
採用される人はみんな成果があるよ
成果がわかりやすい人は普段から成果について意識をして仕事をしています。
簡単にいうと仕事の目的をしっかり理解しているということです。
その中でどういう貢献をしたかということを、職務経歴や面接で伝えることができればあっさり内定が出てもおかしくないのです。
希少な経験をしている人
経験は成果と同様に企業が採用する理由の1つです。
僕は転職回数8回ですが、その経験を買われてビズリーチなどからプラチナスカウトをよくいただきます。
知識は学べば身につきますが、経験はその人しか持っていません。
自分だけの経験とは…
かならず何か持っているはずだよ
できるだけ希少な経験を積んでいくことをおすすめします。
藤原和博氏は3つのキャリアを重ねることで「レアカード化」することを提唱していますが、僕はこれを実践しています。
3つのキャリアを組み合わせて「3つのキャリアを掛け算して、非常に希少性の高い人材になりましょうね」という話です。
引用:logmiBiz|3つのキャリアをかけ合わせると希少性の高い人になれる
僕はデザイン、営業、人事の経験を重ねていくことで、自分しか知らないことやできないことを増やしているのです。
笑顔を引き出すムードメーカー的存在な人
ムードメーカー的な存在の人は面接ではかなり有利です。
なぜなら印象がいいから。
特に未経験転職などでポテンシャル採用の場合には、その人の明るいキャラクターだけで採用されるようなことも少なくありません。
帝国データバンク社の調べでも企業が求める人材像はコミュニケーション能力が1位です。
採用活動においてどのような人材像を求めているかを尋ねたところ(3つまでの複数回答)、「コミュニケーション能力が高い」(42.3%)と「意欲的である」(42.2%)が4割超となった。
引用:帝国データバンク|企業が求める人材像アンケート
仕事は突き詰めれば人付き合いです。
人間関係をスムーズにできる人や、その場の空気をよくできるパーソナリティは企業にとっても魅力的なのです。
自分には成果や経験で誇れるようなものがまだないと感じている人は、自分のキャラクターを磨いていくのも1つの選択肢です。
転職活動でよくある質問
転職活動の内定はスタートライン!真剣に考え抜くことが重要
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をまとめます。
- 転職活動で内定があっさりでることはあり得る
- 1社目で決めてしまうことのリスクを把握する
- 転職は自分が目指している姿になるための手段でしかない
結論、内定はゴールでもなんでもありません。
内定ほしいなー
内定は1つの結果くらいに考えておこう
内定というのはただ企業とマッチングした結果なので、ある意味数打てば内定は出ます。
この記事でお伝えしてきたように、転職活動というのは人生でそう何度もある機会ではありません。
自分の人生の棚卸しをする機会にするべき転職活動を、1社目の内定であっさり決めてしまうのはシンプルにデメリットが大きいのです。
何度もお伝えしたようにあせって転職活動をしなくてもよい状況のうちに、転職活動をはじめるのがポイントです。
ぜひ最後まで真剣に考え抜いて自分の納得した企業に入社してください。
この記事があなたの役に立っていれば嬉しいです。