コールセンターの仕事ってどうなのかな
正社員になりにくいって本当?
コールセンターの仕事は電話の対応を主にすることです。
通販番組やテレビなんかでもよく保険会社のCMが流れているので、なんとなくイメージを持っている人がいるのではないでしょうか。
ただ、仕事となると実際はどうなのかが気になりませんか?
この記事の結論でお伝えするのは、コールセンターは慣れることはできるしオフィスワークとしては悪くないということです。
- コールセンターはクレームやノルマがあるので正社員がきついのは事実
- コミュニケーション力やマネジメント能力を磨きたいならわるくない選択
- 将来的に事務職を目指したりオフィスワークとしての選択肢にはなり得る
きつい仕事であるのは事実ですが、きつくない仕事なんて世の中にはないと考えた方が健全です。
そんなに甘くありません
この記事を書いている僕はアウトバウンドのコールセンターで8年以上働いたことのあるベテランです。
オペレーターからスーパーバイザー、最終的にはグループリーダーまで経験しました。
コールセンターの立ち上げを経験し、数名の立ち上げメンバーから400名くらいまで拡大させたことも。
また僕は本業が人事なのですが、人事としてコールセンターでの大量採用も経験しているので、現場と管理部門どちらの目線でもお話ができます。
記事を最後まで読んでいただくことで、コールセンターの実態を把握してもらうことができます。
ぜひ最後までお付き合いください!
コールセンターの業務がきつい本当の理由4選
まず最初にコールセンターがきついと言われる本当の理由をぶっちゃけでおつたえします。
僕が経験したことも交えながら、どんなきつさがあるかを知ってもらえたらと思っています。
あなたの今後の転職の選択肢として、ありかなしか検討してください。
- 長話やクレーム対応がやばい
- コールセンターは超密室!人間関係の問題が多い
- 正直キャリアにはなりにくい
- 正社員になれなくてきつい
長話やクレーム対応がやばい
コールセンターのきつさは、何よりも「話すこと」にあります。
当然電話をする仕事なので話すことは当たり前なのですが「毎日電話をする」という生活をしたことがある人は少なく、イメージし辛いところです。
ビズヒッツ社の調べでは、コールセンターを辞めた理由のトップは「ストレスの高さ」です。
僕も実際にコールセンターの営業を辞めた理由の1つに、ストレスの高さがありました。
- 相手の長話に付き合わなければならない
- 一定の確率でクレームをひく可能性がある
- 電話対応や成績のノルマがきつい
コールセンターは基本的に電話をかけた側から切ることはできません。
そのためお客さんが長話好きだった場合は、ひたすら付き合うことになったりするのです。
どうしても電話が終われない場合は、スーパーバイザーなどに交代してもらっていました。
本気で疲れますよ
え、キツそう
そして会話の流れでクレームになってしまったり、もともと怒っているような人もいます。
クレーマー気質のお客さんは一定数いるので、くじのように「引いてしまった」と表現するのです。
シンプルに怒っている人と話すことはつかれますし、なぜか怒りがおさまらない人もいるので、付き合うだけで消耗してしまいます。
嫌すぎる…
パーソルナビ社の調べでは、コールセンターを辞めたいと感じる理由に「クレーム対応」がトップになっています。
そして最後は「ノルマ」です。
コールセンターは電話で話していればいいという気楽な仕事ではありません。
基本的にはKPIという業績を測る指標が設定されているので、目標を達成するために努力することが求められます。
特にアウトバウンド営業であれば、「コール数」や「成約」など行動や結果の量が必要になるのでそれなりにプレッシャーがありきついと感じるものです。
正直このノルマがなければ、長く続けられる人が多い仕事ではないかと感じます。
コールセンターは超密室!人間関係の問題が多い
コールセンターはオフィスワークですが、声が響かないように間仕切りをされていたり、ブースのようになっていることが多いです。
提携先の企業の個人情報を扱う関係もあるので、出入りも厳しく制限されています。
携帯電話も持ち込めない職場もあるので普通のオフィスよりは密室度合いが高いのです。
なんだか厳重な感じだね
正直息苦しいブースもあったよ
そんな閉ざされた職場環境なので、人間関係も濃くなりがちです。
実際僕が働いていた職場ではオフィス恋愛が盛んでしたし、誰と誰が付き合っているとかの話ばかりでした。
僕のチームでは、メンバー同士で結婚した人もいたほどです。
なんか仲いいんだね
ただし良いことばかりではなく、仲が悪くなることも当然あります。
特にコールセンターは女性が多い職場です。女性社会になっていることもあり、僕は派閥や噂話などが面倒だと感じたこともあります。
コールセンターのような密室で働くと、1度仲が悪くなるとなかなか働きづらくなってしまうもの。
同じブースで同じメンバーとずっと働くコールセンターは、仲が悪くなったり、きつい人がチーム内にいても長時間一緒に過ごさなければならないのです。
正直キャリアにはなりにくい
コールセンターの業務で身につくスキルは複数ありますが、ビジネスパーソンとしては基礎的なスキルが多く市場価値は上がりにくいのが実際のところです。
誤解をおそれずに、ざっくりいうと「電話対応が上手」な人にはなれます。
- コミュニケーションスキル
- パソコンスキル
- 特定のサービスや商品の知識
どれも重要なスキルではあるものの、コールセンターから異業種にキャリアチェンジする際には評価されにくいものが多いのです。
同業種以外では基本的なスキルという評価になります
特に最大の武器ともいえるサービスや商品の専門知識は、他業界では価値がない「アンポータブルスキル」の代表ともいえます。
僕は「保険」を扱うコールセンターでしたが、その後の人生において詳しくなって良かったと思ったことはありませんでした。
また、コールセンター業務はマニュアル化されており「誰でもできる」状態になっているのが特徴です。
そのため自分で付加価値を生み出す要素はあまりなく、自分の色を出す機会が少ないのです。
結果的に実績やキャリアの積み上げになるものは、どうしても弱くなってしまいます。
ビズヒッツ社の調べでも、コールセンターを辞めた理由の上位に「成長」や「キャリアアップ」があがっています。
また仮にコールセンターでキャリアを形成する場合でも、キャリアパスが限られているのが気になるところです。
- スーパーバイザー・チームリーダー
- マネージャー
- QA(品質管理)
キャリアアップはオペレーターを管理するキャリアパスが主流で、他の選択肢は音声確認したりするQA担当などがあります。
QA担当は、1日中音声を聞き続けるのでそれはそれできついです。
その道を極めるのであれば「マネージャー」まで登りつめても良いと思いますが、管理職は別の苦労をすることになるので個人的にはあまりおすすめしません。
また、年収も330万円程度ということがパーソル社の調べではわかっています。
アウトバウンドかインバウンドかで多少違いはあるものの、あまり年収も上がりにくいというのもデメリットです。
このような事情があるので、電話対応が好きという理由がない限りは、長く続けるには向いていない職業です。
正社員になれなくてきつい
コールセンターでは非正規雇用の人が多く働いています。
大量に人を雇う必要がある労働集約型のビジネスなので、固定費を下げるために非正規雇用を多くするのが一般的だからです。
また記事でもお伝えしているように、コールセンターの業務は整備されているので比較的簡単に覚えることができます。
- マニュアル化されている
- 電話対応なので誰でもできる
- 空いた時間などにシフトに入りやすい
だから「アルバイト」や「派遣社員」などでいいと考える企業が多いのです。
日本コールセンター協会の調べでは、正規雇用の割合が「50%未満」としたコールセンターは約73%となっています。
ようは正社員で雇うメリットがあまりないのです。
なんだか残念だ
固定費上げてしまうと経営が悪化するからね
僕が働いていたコールセンターは、正社員雇用することを決めていたので比較的正社員採用されやすい環境でした。
ただ調べればコールセンターの正社員求人は意外とあることがわかるはずです。
マイナビ転職で調べたところコールセンターの求人は354件あったのですが、そのうち正社員は189件でした。
半数程度は正社員として募集していることがわかります。
そうなんです、正社員としては意外と正社員としての間口はあるのです。
しかも「未経験可能」は138件と割合としては73%で、ほとんどが未経験で転職を受け付けているような現状です。
結構あるんだね
結論、正社員になることはきつくないといえます。
ただし、気をつけてもらいたいのが「転勤」です。
僕の実体験として、沖縄などの支店ができたから行ってくださいと言われたことがあります。
僕はその際断るために地域限定社員に切り替えるしかありませんでした。
求人をよく見てもらうと、地域限定社員という選択肢が記載されている場合もあります。
これは転勤しないかわりに条件を下げるという雇用形態です。たとえば地域限定社員は昇格できないなどという制約がありました。
正直理不尽です
基本的には地域限定社員にしていると、何らかの制約があるのは一般的です。
キャリアアップするためには転勤を受け入れるしかないというのは、僕は正直受け入れることはできませんでした。
コールセンターは固定費の安いエリアに開設されることが多いです。
たとえばですが、せっかく東京で仕事をしているのにコールセンターで、働いていると地方に転勤になるリスクがあることは理解しておいてください。
東京と大阪を除けば、北海道や福岡や沖縄に集中していることがわかるはずです。
コールセンターはやめとけと言いたい!正社員を8年続けた体験談
ここまではコールセンターのきつさを経験者の目線も加えてお伝えしました。
仕事としては悪くないものの、長い目で見るとキャリアになりにくいなど一定のリスクがあるのがコールセンターの仕事です。
さてここからは僕の体験をもとにきつかった具体的なエピソードをお伝えします。
- 1日で1000コール?地獄のアウトバウンド
- 断れ過ぎてストレスフルだった日常
- 人事としてコールセンターで大量採用を経験
1日で1000コール?地獄のアウトバウンド
僕がコールセンターで働いていた時に携わっていた仕事は、保険のアウトバウンド営業というものでした。
「テレマーケティング」とも呼ばれており、電話を使ったダイレクトマーケティングの1つです。
テレマーケティングは、電話を利用して顧客とのコミュニケーション機会を創出するマーケティング活動の総称です。具体的には、見込み客や既存顧客に対する調査や販促活動、購入後のフォローなどを電話で行うことを指します。
引用:HubSpot|テレマーケティングとは
コールセンターの仕事はアウトバウンドというカテゴリの場合、こちらから電話をすることを意味しているのでほとんど営業だと思ってよいです。
ようは電話で営業する仕事です。
僕が働いていたコールセンターはブラック企業だったので、ノルマがきつく毎日プレッシャーを感じていました。
イメージしやすいようにお伝えすると、1時間単位で「集計」をします。それでその時間にとれたアポイントや契約をチーム内で報告するのです。
これがめちゃくちゃ大変なんです
電話ずっとするのきつい
- 「なんで取れないの?」
- 「もっと電話しろよ」
こんなやり取りを1時間ごとに行うので、かなりストレスを感じてしまいます。
夕方まで何も成果が出ていない人は「その場に居られない」ほどのプレッシャーがかかります。
しかもアウトバウンドのコールセンターは、自分のブースに「玉」みたいな目印を成果ごとにつけられることがあります。
誰が頑張っているか一目瞭然なので、何も目印がついていないブースは「仕事をしていない」ような印象を受けます。
そんなことないのに…
成果が出ていない場合はそのまま残業して、電話を続けることもありました。
僕は比較的成果を出せていたのですが、最大で1日1,000コールも電話をかけたことがありました。
さすがに疲れましたが、そのくらい努力しなければ結果が出ない場合もあるということです。
結果が出るまで電話を続けるというのは「ゴールの見えないマラソン」を走っているような感覚になりモチベーションを保つことが難しかったです。
断れ過ぎてストレスフルだった日常
コールセンターのアウトバウンド業務は、基本的に断られることがほとんどです。
自分に電話がかかってきたことを想像してみるとわかると思うのですが、ほとんどの場合営業電話は断るのではないでしょうか。
僕も全部断ります
用事ないしね
断られるというのは心理的にストレスがかかります。
自分が否定されているような感覚にもなりますし、そもそも仕事の意義を感じにくくなります。
コールセンター業界のあるあるとして以下のようなものがあります。
- ガチャ切り
- 無言電話
- 詐欺と間違われる
ガチャ切りとは、受話器を「ガチャッ」と切られるような終わり方です。
昨今は受話器で話すということは少なくなったと思いますが、家に電話をかける場合は受話器でガチャ切りされることがあります。
暴言とともにガチャ切りされるとなんとも言えない虚しさに襲われます。
切ないんです
また無言電話による嫌がらせや、何かの詐欺と間違われてトラブルになることもありました。
断られることが日常というのは想像以上に苦痛です。
何のために仕事をしているかわからなくなり、メンタルにも悪影響をおよぼします。
- 自己効力感の低下
- 気分の落ち込み
パーソル社の調べでは「1年以内の離職率が71%の会社」が22%も存在することがわかります。
ぶっちゃけ、僕も転職したのを間違えたと思うほどストレスフルな日々でした。
ただ一定期間経験すれば、断られることにも慣れることができるため最初を乗り越えられたら定着ができるかもしれません。
人事としてコールセンターで大量採用を経験
体験談の最後はコールセンターで人事をしていた時の話です。
僕は大量採用を行うコールセンターで人事をしていたことがあり、年間300人以上の新卒を採用していました。
めっちゃ採用してました
そんなに採用するのか
ビジネスモデルによっては正社員雇用をしたほうがお金になることもあり、僕が働いていた会社では毎年大量に採用していたのです。
正直選考基準なんてあってないようなものでした。
新卒採用はもともとが未経験採用なので、特に求めるようなスキルはもっていないので普通にコミュニケーションができれば合格水準に達します。
あとは人柄やマインドセットなど一般的な要素をチェックしていました。
結構誰でも合格していた気がする
新卒でコールセンターに入る人は一定数いるのですが、記事でお伝えしているようにキャリアになりにくいので注意が必要です。
オフィスワークとしての条件は悪くないですし、正直学校の延長のような企業文化のところも多いので居心地は悪くないはずです。
というか居心地をよくするように意図的にゆるくしていたりします。ある程度馴染めば長く続けている人もいるような環境でした。
でも気を付けてください
人事的な目線でアドバイスすると、これからコールセンターを転職や就職の選択肢にするのであれば、よく考えて選ぶことをおすすめします。
居心地がよいこともありますが、長くいればキャリアになるわけではなく、年齢とともに転職はしにくくなるからです。
同じコールセンターであれば転職は可能ですが、キャリアアップや年収アップという観点からはあまり期待できるものではありません。
僕はコールセンターの営業から事務職(人事)にキャリアチェンジしたことで成功することができました。
ぶっちゃけ何歳になってもできる仕事です
若くて元気があるうちにコールセンターで腰を据えて、キャリアを築くというのは個人的にはもったいないと感じます。
だから僕はコールセンターを辞めましたし、高齢になるまではもう戻ることはないでしょう。
コールセンターはきついかどうかは条件でまったく違う
ここまでは僕の体験談でしたが、コールセンターの業務は簡単なものから難易度の高いものまで様々です。
自社のビジネスというよりは、委託された業務であることが多く、コンプライアンスなど強く意識して対応することがもとめられるのもコールセンターの特徴でした。
さてここからは条件によって、仕事のきつさがまったく異なるということをお伝えしていきます。
- コールセンターの役割と対応している業界
- インバウンドとアウトバウンドとは
- スーパーバイザーとオペレーターの圧倒的な違い
コールセンターの役割と対応している業界
コールセンターの有名な会社としては「トランスコスモス」や「ベルシステム24ホールディングス」があります。
通販新聞の売上ランキングで見ても、その2社は圧倒的にシェアを持っていることがわかります。
多くの企業は専門の企業に委託することで、コールセンター機能を保有しています。
基本的に、コールセンター機能は自社で賄おうとすると、膨大なコストをかかえることになるので委託することが多いからです。
僕が実際に働いていた保険のアウトバウンド営業も「保険会社」や「クレジットカード会社」からの委託によるものでした。
そうだったんだ
もはやコールセンター特有のビジネスモデルだね
では、どのような委託でコールセンターのビジネスが、成立しているかというと以下のようなものがあります。
- 金融業界(銀行・保険・クレジットカード)
- 公共サービス(電力・ガス・水道)
- 通信業界(電話・インターネット・モバイル)
コールセンターは対応している業界によってもきつさに違いがうまれます。。
金融業界(銀行・保険・クレジットカード)
金融業界はクレジットカードの紛失対応や契約内容の確認などといった、インバウンドの業務があります。
緊急対応などがあるので24時間体制でシフトを組むコールセンターも存在します。
夜勤などの体力的にきつい場面があることを、想定しておいたほうがよいでしょう。
また僕のように保険業界を選んでしまうと、電話営業と言われる仕事になるので「ノルマ」がきついこともあります。
公共サービス(電力・ガス・水道)
公共サービス関連もライフラインということもあり24時間体制になります。
金融業界同様に体力面や、夜勤の相性といったきつさを想定しておく必要があります。
一方で基本的には各種問い合わせ対応のインバウンド中心になりますので、ノルマなどといったプレッシャーはやや低いです。
通信業界(電話・インターネット・モバイル)
通信業界はわかりやすいところでいえば、携帯のキャリアに問い合わせる先などがあります。
機器や回線の不具合などトラブルへの対応が中心になるので、速やかに対応することが求められます。
ヒアリングを通じて問題を特定して「一次切り分け」を行い、適切な部署などと連携したりする判断力が求められます。
インバウンドとアウトバウンドとは
コールセンターには大きく分けて「アウトバウンド」と「インバウンド」の2つがあります。
アウトバウンドとはこちらから電話をかけるもので、インバウンドはこちらが電話を受けるものです。
アウトバウンドの仕事 | インバウンドの仕事 |
---|---|
・テレフォンアポインター ・アウトバウンド業務 ・発信業務 ・架電業務 | ・テレフォンオペレーター ・カスタマーサポート ・ヘルプデスク ・サポートデスク |
ざっくりいうなら、アウトバウンドのほうがノルマがあったりときついです。
同じコールセンター業務ですが、アウトバウンドとインバウンドでは求められるものが違うことを理解しておく必要があります。
同じ職種でもちがうんだ
求められている機能があるからね
KPI(Key Performance Indicator)というそれぞれの仕事で重視される指標をみると、その違いがよくわかるはずです。
アウトバウンドのKPI | インバウンドのKPI |
---|---|
・コール数(発信数) ・リード獲得率(見込み客) ・クロージング率(制約) | ・平均応答時間 ・顧客満足度 ・サービスレベル |
アウトバウンドは「売上の向上」を目的とすることに対して、インバウンドは「顧客満足の向上」を主な役割としています。
アウトバウンドではいかに契約や見込み客を獲得するかという、ほとんど営業職と同じような目標を追うことになります。
ただ対応していればよいわけではないので、見込み客がつくれなかったりすると精神的にきついのです。
ただアウトバウンドはデメリットばかりではなく、営業力を上げることができるので将来的に営業職などにもキャリアチェンジが可能になります。
向き不向きがあります
一方でインバウンドは「顧客の満足度」を高めることなので、丁寧な対応やスピーディーな問題解決といったものが求められます。
こちらは一定の知識や経験を積んでいけば対応力が上がるので、慣れれば仕事をこなしやすいということがわかると思います。
一般的なコールセンターのイメージはインバウンドのものです。
スーパーバイザーとオペレーターの圧倒的な違い
コールセンターのキャリアパスとしてオペレーターの次は「スーパーバイザー(SV)」があります。
スーパーバイザーはいわゆる管理職となり、オペレーターとは役割が全くかわってきます。
スーパーバイザー | オペレーター |
---|---|
・マネジメント能力 ・エスカレーション対応 ・リーダーシップ | ・コミュニケーション力 ・問題解決力 ・業務知識 |
僕もスーパーバイザーを長年勤めましたが、楽さで言えばオペレーターのほうが圧倒的に楽です。
自分のことだけに集中していればよいオペレーターとくらべて、スーパーバイザーはチーム全体のことに意識を向けなければならないのです。
なんか大変そう
トラブル対応が多いよ
スーパーバイザーはとにかく忙しく、各オペレーターのサポートに奔走することになります。
クレームなどオペレーターが対応できないものはすべてスーパーバイザーにまわってくるので、気が休まる瞬間はみんなが帰ったあとくらいです。
また、チームの業績を上げることが必要になるので、自らオペレーターのような役割を担ったりプレイングマネージャーとしての役割が多くなります。
僕はオペレーターの時は仕事が楽しいと感じていましたが、スーパーバイザーになってからは役割が変わりあまりやりがいを感じることができませんでした。
正直このあたりは人によって感じ方が違うのでどっちがいいという話ではないと思います。
自分にあったポジションを探しましょう
ただコールセンターは一般的な仕事よりも、コミュニケーションの密度が高くチームの一体感を感じやすいという特徴もあります。
スーパーバイザーのやりがいとしてメンバーの成長やチームの成功に喜びを感じるということができます。
このあたりにやりがいを感じられるのであれば、将来的に管理職としてのキャリアを進んでもいいかもしれません。
コールセンター業務に慣れれば楽しい?キャリアとしての考え方
ここまではコールセンターの仕事のきつさを中心にお話をしてきました。
コールセンターの仕事はきついのは事実ですが、考え方によっては選択肢としてアリといえる部分があります。
ここではキャリアとしてのコールセンターについて人事目線でお伝えします。
- 男で事務職を目指すならコールセンターは抜け道になる
- オフィスワークの正社員を目指すなら悪くない選択
男で事務職を目指すならコールセンターは抜け道になる
男性で事務職を目指すのであれば、最初のきっかけとしてコールセンターはありだと思います。
そもそも事務職は女性優位の職業であり、男性はなりにくいと言われています。
安定しているから目指したい
僕もそう思ってたよ
未経験から男性が事務職になることはそれなりにハードルがあるのは事実です。一方でコールセンターを経験しておくと事務職としての基礎を身につけることが可能です。
- PCスキル
- コミュニケーション力
- マネジメント力(SVの場合)
事実としてビズヒッツ社が調べたコールセンターの次の転職先のトップは「事務職」になっています。
これはコールセンター経験が事務職へのキャリアにつなげるために有効だと考えることができます。
実際僕もコールセンターから事務職(人事)になっています。
僕はスーパーバイザーの時に、チームの集計業務など経験が活かされて事務職になって活躍できました。
そういう手があったか
リックテレコムの調べではコールセンター業界は採用難が続き、必要な人数を確保できていない企業は約76%となっています。
労働集約型で多くの人材を確保する必要があるコールセンターは常に人手不足です。
事務職にいきなり応募するよりも、コールセンターでデスクワークの経験を積んで、次のステップとして事務職を目指すというのは結構現実的な手段です。
オフィスワークの正社員を目指すなら悪くない選択
この記事ではコールセンターのきつさをテーマに書いているので、デメリットを多めにお伝えしていますがオフィスワークとして考えると、ぶっちゃけそこまで悪くはありません。
販売職などのサービス業で、立ち仕事がきついとか体力的にもう座って仕事がしたいと考えているなら全然ありです。
- 空調完備のオフィス勤務
- 充実している福利厚生
- 髪型や服装自由で働ける
コールセンターの特徴として座り仕事で室内勤務という特徴があります。
暑い日に外で立ち仕事や重労働をすることはないので、体力的に厳しいと考えている人にはピッタリの職場といえます。
また大手上場会社が運営しているコールセンターであれば、福利厚生なども充実しているので安定して働けるのもいいです。
送迎バスがある会社も…
そこまでやってくれるのか
そしてさらに言うなら、コールセンターは「非対面」の業務なので「見た目」の自由度が高いです。
派手な格好やネイルに髪型と、清潔感があれば比較的許容される環境が多いです。
私服で働きたいといった希望があるのであればコールセンターは正直おすすめします。
ちなみに余談ですが、コールセンターは多様な人との出会いがある職場です。
結婚のきっかけや出会いを求めることも可能だと感じます。
もちろんそれ目的で転職は現実的ではないですが、老若男女でちょうど半々くらいの職場は自然と出会いも増えるのです。
ぶっちゃけチームメンバーは何人も結婚していますし、僕もコールセンターの出会いで結婚をしています。
コールセンターは横のつながりやチーム内が仲が良いことも多いので、飲み会やランチで一緒になることも多いです。
当時のチームメンバーとゲームをしたりして遊んだのはいい思い出です。
コールセンターに向いている人の特徴
最後はコールセンターに向いている人の特徴です。
これは僕の経験や実体験から感じていることです。そこに人事目線やキャリアコンサルタント目線を加えてアドバイスします。
参考にしてください!
- コミュニケーション力を鍛えたい人
- チームワークを発揮して仕事をしたい人
- 女性社会に馴染むことができる人
コミュニケーション力を鍛えたい人
コールセンターは毎日「話す」ことが仕事です。
今考えても相当特殊な仕事だと思います。
では、最初からコミュニケーション力がある人でないと向いていないのかというとそんなことはありません。
むしろコミュニケーション力を上げたいと考えている人に向いていると考えています。
僕も最初は電話で営業なんてしたこともありませんでした。
- 多くのお客さんと会話する機会
- 毎日社内外からフィードバック
- わかりやすく伝える必要性
僕はエンジニア中心の会社で働いたこともありますが、そういった職場ではあまり会話する機会はありません。
機会がなければ改善されることもないのです。
コールセンターは嫌でも毎日誰かと会話します。そこではお客さんごとにトーンを変えたりテンポを変えたりと「相手に合わせる」ということが身につきます。
さらにいうとありがたいことに、スーパーバイザーなどから会話についてアドバイスやフィードバックをもらう機会が豊富です。
それはありがたい
ときには自分の録音音声を聞きながら、フィードバックを受けることも。
最初はちょっと恥ずかしいですが、よく考えるとめちゃくちゃ貴重な機会だと思います。
自分のコミュニケーションを日々の仕事を通じて改善することができるのです。
いきなりは変わらないのですが、ある程度経験を積むと確実にレベルアップすることができます。
僕はコールセンターで経験を積んだおかげで電話対応はもちろん、人事として面接で話すことや営業職としてお客さんと話す能力が高まったと感じます。
コミュニケーション力は一生涯腐ることのないスキルなので、若いうちにコールセンターを経験しておくのはおすすめできます。
チームワークを発揮して仕事をしたい人
コールセンター業務はチームワークを発揮できる職場です。
誰かと協力して仕事をしたいという人には向いている環境といえます。
僕がコールセンターで働いて良かったなと思っていることに、「チーム」があります。
ぶっちゃけ僕の人生の中での成功体験はコールセンター時代に結構多くて、チームで成功したり仲間と楽しんで仕事をしたり良い経験をしました。
本当に恵まれていた
そういうのいいな
もちろんスーパーバイザーとの相性など、人間関係はどうしてもありますがそれでも協働することが求められる職場なので仲が良いことは多いです。
- 周りにサポートしてもらった瞬間
- 仲間が成功や達成をした瞬間
- 同じ苦労を分かち合う瞬間
チームワークを感じやすい、こういった場面が毎日あるのは、コールセンターならではだと思います。
本当にこの体験はわるくないです。
コールセンターは同じ仕事をしている仲間が数十名から数百名いる特殊な職場なので、一体感も生まれやすくチームで働いているという感覚を得やすいのです。
これはどこの職場でも共通して言えることですがチームに所属しているという実感を得られると、もっと貢献しようという気持ちが湧いてくるのでやりがいも高くなるという好循環がうまれます。
僕は8回転職して多様な職場を見てきましたが、チームを感じられたのはコールセンターがトップです。
コールセンターでのチームワークが今の僕のマネジメントの原体験になっています。
コールセンターについてよくある質問
コールセンターはきついのは事実だが慣れることもできる!自分のキャリアプランと相談して決めるのがベスト
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をまとめます
- コールセンターはクレームやノルマがあるので正社員がきついのは事実
- コミュニケーション力やマネジメント能力を磨きたいならわるくない選択
- 将来的に事務職を目指したりオフィスワークとしての選択肢にはなり得る
コールセンターの仕事はきつい要素があるのは事実ですが、そんなものは他の仕事も同じです。
この世に楽な仕事はありません。
僕はコールセンター業界に8年ほど在籍していましたが、正直振り返ると経験してよかったと思います。
コミュニケーション力を鍛えることができましたし、何よりもチームでの成功体験をすることができたのは僕の人生にとっては大きな経験でした。
たしかにコール数やノルマなどきつい側面があるのは事実ですが、慣れることもできます。
特に記事でお伝えしたように、サービス業などで立ち仕事に限界を感じている人はコールセンターに転職するのは全然ありだと考えています。
コールセンターで事務職やデスクワークの基礎を磨き、なんならスーパーバイザーを経験してマネジメントもかじっておけば転職の時に事務職を選ぶこともできるようになるはずです。
選択肢が増えます
一方で仕事自体の市場価値はそこまで高くはなく、何歳になってもできる仕事ではあるので自分のキャリアとしっかり相談して決めることをおすすめします。
コールセンターの仕事を極めていくのか、それともコールセンターを足がかりにキャリアチェンジしていくのかはあなたの求めるもの次第です。
僕は定年したり高齢になったらコールセンターで働くのも悪くないと考えています。
ぜひ自分にあった仕事を見つけてください!
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