管理職って転職してもいいのかな?
上司が辞めたらショックかも…
管理職は、どこか転職してはいけないような空気がありますよね。
会社での責任の重さや、部下を持っている立場から自分勝手な行動は許されない気持ちになります。
この記事の結論としては、管理職の転職は「裏切り」と捉える人はいるけど気にしなくていいということです。
- 管理職の転職は裏切りだけど気にする必要はない
- 管理職はデメリットも多いので合ってるかよく考える
- 管理職から一般職への転職も視野に
そもそも転職するということは、何らかの事情で現職に見切りをつけることになります。
管理職でなくとも、転職を裏切りと捉える人は一定数いるので割り切りが必要です。
僕も管理職だったのでわかります
この記事を書いている僕は、人事を15年経験したうえで国家資格キャリアコンサルタントとMBA(経営学修士)を持つ「転職のプロ」です。
僕自身も管理職として転職をしたことは何度もあるので、実体験に基づいたアドバイスができます。
この記事を最後まで読んでいただければ、管理職としての転職の考え方を整理できるので、前向きに転職活動に向き合えるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください!
管理職の転職が裏切りだと感じてしまう理由
管理職は、責任ある立場で仕事をしている人が多いです。
また立場上関わる人も多いので、辞めることに対する気まずさを感じてしまうものです。
ここではまず最初に管理職の転職は、なぜ「裏切り者」と思われてしまうのか整理します。
- 会社の管理職として責任がある
- 部下や上司に申し訳ない気持ちがある
- 競業避止義務や関連企業とのつながり
会社の管理職として責任がある
管理職の役割は部下をマネジメントして成果を上げていくことです。
成果を出すためにチームやメンバーを強力にしていくことが求められます。
- 経営層の考え方を浸透させる
- 目標や進捗を管理する
- 部下への動機づけをする
このように、管理職は従業員という立場でありながらも「会社側」であることが求められます。
管理職の前提となる役割が、会社から求められている目標をチームで達成することなので、それに向かった施策や行動をとることになるのです。
大変な役割だな
難しい立ち位置なんだよね
そのため自分だけ好きに仕事をしていればいいというわけではなく、部下の見本になったり、モチベーションを上げていかないといけないのです。
僕も管理職として働いていたときは、責任の重さを感じて「発言」1つにも気を使っていました。
会社側で引っ張っていく発言をしていた管理職が「転職」するということは、本人的にも裏切っているような感覚にならざるを得ないのです。
目標を達成する価値や、この会社で努力する意味を部下に対して説いてきた手前、辞めにくいと感じるのは仕方がないと思います。
また、会社の仕組みとしても管理職を軸に組織が動いているので、辞めることの影響をつい考えてしまいます。
会社側の立場として仕事をしてきたため、責任を感じて裏切っているような気持ちになってしまうのです。
部下や上司に申し訳ない気持ちがある
管理職が特殊なのは、上と下に協力してくれる人がいることです。
- サポートをしてくれる上司
- 一緒に働いていた部下
1人では何もできないのが管理職です。
部署のあらゆる問題を上司と相談して、なんとか前に進めていく必要があります。
また、部下とは「会社側の人間」として嫌われないように、距離感を縮めて良好なコミュニケーションを図ろうとします。
必要であれば飲み会に誘ったり、休日まで一緒に過ごして関係を維持していることもあります。
僕も管理職として働いていた時は、仕事とはいえ上司や部下に対して信頼関係を築くことに努力をしていました。
管理職ってすごいな
仕事以外が多かったりする
エン・ジャパン社の調べでは、管理職になって大変だったことの上位に「責任」や「上司や部下との関係」があります。
管理職の仕事は作業ではなく、「人間関係づくり」と言っても言いほどです。
特に部下の管理は仕事の大半を占めているので、関係を築いて協力的に働いてもらうことが重要です。
そのような関係を維持してきた管理職が突然辞めることになれば、残っている人からすると「裏切られた」ような感覚を覚えてしまうのです。
管理職本人としても、自分の都合で転職をすることに対して申し訳なく感じてしまいます。
これまで関係を築いてきたからこそ、辞めることに対して裏切りのような感覚を覚えるのです。
裏切るの意味は「味方に背いて敵方につく」というものです。
これまで一緒に働いてきた仲間を味方とするならば、転職をすれば、結果的に味方には背いていることには変わりないのです。
競業避止義務や関連企業とのつながり
管理職をしていると、現職のさまざまな機密情報を知ることになります。
経営方針や現在の課題など企業としての戦略を把握しなければ、部下をマネジメントすることができません。
企業の内情を多くを知ってしまっているため、管理職が転職しにくいと感じてしまうのです。
かなり深いところまで知ってるからね
転職しづらそう
また、管理職は立場的に外部との関係を築くことが多くなります。
取引先とのやり取りの中で、関連企業のキーパーソンとつながりがうまれます。
関連企業から仕事ぶりを評価されれば、「引き抜き」にあうことも。
関連企業へ引き抜かれた場合は、企業間の関係は悪化してしまい、最悪の場合は取引停止などに発展することもあります。
経緯にもよりますが、引き抜きなどの場合は「裏切り者」扱いされても仕方がないと思います。
それは避けたほうがよさそう
会社はこういった、情報漏洩を避けるために「競業避止義務」を従業員と交わしています。
競業避止義務とは、「在職中の企業と競合に当たる企業・組織への転職」や、「競合する企業の設立」などの競業行為をしてはならないという義務のこと。
引用:パーソル|【弁護士監修】競業避止義務に法的効力はある?違反になるケースとは?判例で徹底解説
ただ、経験を活かして働くという観点で考えると、どうしても関連企業になりがちです。
まったく関係のない仕事をするというのは現実的ではありません。
競業避止義務の効力はやや微妙なところが多く、会社も転職を止める権利はありません。
実際には競合などに転職するケースはよくあります。
管理職として働き続けるのデメリット
ここまでは、管理職の転職が裏切りと感じてしまうのはなぜかということをお伝えしました。
転職すること以外でもいろいろなハードルがあるのが管理職です。
僕は自分のキャリア形成をするために、管理職として働くことを辞めました。
ここからはそんな管理職として働くデメリットをお伝えします。
- 業務量が多くハードワークになりがち
- 自分のキャリア形成が後回しに
- モンスター社員が部下になるリスク
業務量が多くハードワークになりがち
僕は管理職として数社で経験を積んできましたが、どこもハードワークでした。
管理職といっても、結局は自分の仕事があるからです。
一般的に「プレイングマネージャー」と言われるポジションがほとんどです。
純粋に部下のマネジメントだけをするような、管理職はほとんどいません。
産業能率大学の調べでは、管理職のうち「約97%」がプレイングマネージャーだったことがわかっています。
ほとんどプレイングマネージャーなんだ
管理以外にもやることがあるからね
例えば、営業職でいえば業績が悪いことを部下の責任にはできません。
部下が数字をつくることができなければ、自分で数字を稼いでくる必要があるのです。
- 自分の仕事
- 部下のサポート
- 労務管理や手続き全般
結果的に「自分の仕事」と「部下の仕事」2つを掛け持ちしていることに。
リクルート社の調べでも、部下のサポートで残業が増えていることがわかります。
基本的に部下の仕事をサポートしながらになる管理職は、割の合わない仕事といえそうです。
自分のキャリア形成が後回しに
僕が管理職を経験して伸びたと感じたスキルは、「対人能力」と「タスク管理能力」でした。
自分の部下や社内外のあらゆるステークホルダーとコミュニケーションをとるため、必然的に対人能力があがります。
逆に対人能力の素養があるから、管理職に昇格したとも言えます。
人と関わるからすごいストレス
管理職ができる人は限られるのかも
また、部下の仕事や自分の仕事を同時に管理するのでタスクを管理する能力も上がりました。
部下の仕事の遅れやミスは、自分の首を絞めることになるからです。
ビジネススキルとして「対人能力」と「タスク管理能力」は必須ともいえます。
そのため管理職として同職種に転職する場合は、もちろん一定の評価は受けることが可能です。
しかし、それは管理職として評価される能力であり、個人としてのキャリアにはつながりにくいものがあります。
一般社員として転職する場合は、マネジメント能力関連は特に必要ではなくなるからです。
僕が管理職だった時に、1番ストレスだったのは自分のやりたい仕事ができないことでした。
たとえば人事であれば、人事の実務など職務経歴書に書けることです。
管理職は人間関係のいざこざ、仕事のサポートなどに追われ「これでいいのか」と自問自答する日々でした。
- 本業も管理業務が中心になりがち
- 残業が多く自分の時間が作りにくい
自分の時間を持ちにくい管理職は、自己投資やキャリア形成が後回しになりがちです。
今では、キャリアとして管理職を選ばなくなったので、自分の時間を作ることができるようになりました。
ずっと管理職で働きたいという場合を除いて、自分がどうなりたいか考える必要があります。
モンスター社員が部下になるリスク
管理職では予測が難しく、自分でコントロールができないものとして部下の配属があります。
社内の異動などでは誰が部下になるかわかりませんし、転職すればまったく予想もつかない状況になります。
「上司ガチャ」というという言葉があるように、「部下ガチャ」もあります。部下次第では仕事のやりやすさがまったく変わってきます。
ほんとにハズレはきつい
経験しないとわからないかも
僕はお局おばさんや新人の部下から、監視されたり逆パワハラを受けたことがあります。
当時は部下からの逆パワハラが原因で仕事が進みにくく、メンタルヘルス不調になりました。
- 仲間はずれ
- 攻撃的な発言
- 言うことを聞かない
こういったトラブルを引き起こす社員を一般的に「モンスター社員」といいます。
「モンスター社員」とは、職場での勤務態度や言動などに、著しい問題がある社員のことです。業務命令に従わなかったり、セクハラやパワハラを繰り返したりなど、さまざまなタイプのモンスター社員がいます。
引用:パーソル|モンスター社員を放置するリスクと企業がとるべき対処とは
僕はモンスター社員の影響により、メンタルヘルス不調に陥りました。
しかもそれがきっかけで管理職としての自信を失ったのです。
当時はモンスター社員が引き起こすトラブルの対応に追われて、自分のやりたい仕事ができませんでした。
協力的な部下だけなら管理職は、やりがいのある役割だと思います。
しかし現実的にはこういった「部下ガチャ」と付き合っていく覚悟が必要になります。
僕が管理職として転職をした体験談
ここまでは管理職として働くデメリットをお伝えしました。
責任が重い割には、あまり対価をもらえないというのが管理職のデメリットだと感じます。
さてここからは管理職も「別に転職してもいいんだ」と思えるような僕の体験談をお伝えします。
- 倒産して管理職から無職に
- 管理職になってから辞めた経験
倒産して管理職から無職に
僕は倒産を経験したことがあります。
僕の周りにもあまりいないのですが、倒産を実際に経験した人は少ないと思います。
当時僕はIT関連のベンチャー企業で、管理職として働いていました。
僕の経歴の中では比較的長く働いた会社で、立ち上げから5年くらいは働いていました。
長く頑張ったんだね
ようやく落ち着いてきたタイミングだった
管理職だった僕は会社に対しての帰属意識も高く、責任ある立場で頑張っていました。
部下は10人くらいいましたが、モンスター社員のようなトラブルを起こす人はおらず順風満帆。
事業部の立ち上げから5年、ようやく管理職として落ち着いてきたと思っていた矢先に倒産することに。
倒産はまさに晴天の霹靂でした。
数100名の従業員が一斉に解雇される事態になってしまいました。
やばい…
僕はこの経験から、会社に対して依存してはいけないという教訓を得ることができました。
頑張って尽くしていたつもりが、自分の知らないところで倒産のようなトラブルがいつ何が起こるかわからないからです。
今考えると一部の管理職は、会社の雲行きの怪しさから先に転職活動をしていたように思います。
僕も気づいていれば…
倒産とまでいかなくとも、長く働いたからといって会社が保障してくれるものはあまり多くありません。
会社への依存や責任感はほどほどにして、自分でキャリアをつくるという姿勢が必要です。
「転職は裏切りかもしれない」という感情は、僕も当時持っていましたが悩む意味がなかったと、今では思います。
管理職になってから辞めた経験
僕は管理職になるまで頑張って辞めたという経験があります。
管理職として箔をつければ転職が有利になると考えたからです。
当時勤めていた会社はブラック企業で、長時間労働にパワハラなどかなりひどい環境で働いていました。
きつかったなぁ
それは大変だったね
ブラック企業を選んでしまったことがそもそも失敗だったのですが、僕は転職回数を重ねてしまっていたので、すぐに転職してもあまり良い選択肢はなかったのです。
そこで僕は転職をするために管理職になろうと決意して、仕事でとにかく評価されることを徹底的にこなしていきました。
また管理職としてプラスになると考えて、社会人大学院に入りMBA(経営学修士)も取得したのです。
結果的に数年で実績が認められて「マネージャー」に昇格することができたのです。
結構大変だった
僕の場合は、最初から年収の条件を変えられたり会社に裏切られていたので、管理職になって辞めることに裏切りなどの罪悪感を感じることはありませんでした。
管理職になるまで頑張って辞めるというモチベーションだったので、特に帰属意識があるわけではありませんでした。
管理職にまで昇格していることは、やはり転職活動では有利でありその次の職場でも管理職待遇で入社することが可能です。
管理職を経験していることは、転職の時に一定の評価を受けることができるからです。
当時は部下もいましたが、極力影響が出ないようにずっと準備をしていたので、特に心配することなく辞めることができました。
というよりもぶっちゃけた話、部下の心配をするような余裕はなかったというのが実際の状況です。
人事が評価する管理職の2つのスキルとは
ここまでは僕の体験談をお伝えしました。
僕の場合は、転職をする際に「裏切り」ということを心配するような余裕がありませんでした。
ただ管理職は会社や部下が守ってくれるわけではないので、自分の都合で転職してもよいと考えます。
さてここからは人事が管理職を採用する際に評価するポイントをお伝えしていきます。
- 組織をなんとかできる人柄
- 問題発見と問題解決した実績
組織をなんとかできる人柄
管理職として評価されるスキルは、やはり「マネジメント能力」だと考えています。
そもそも管理職として仕事ができる人が少なく、転職市場ではマネジメント能力がある人が重宝されます。
リクルート社の調べでは管理職の求人推移は大きく増加傾向にあることがわかります。
この管理職求人の需要の背景には、昨今のグローバル化やDX化など環境変化に対応するべく企業も変わろうとしているからです。
変化が激しい時代だからです
管理職も大変そう
グラフでみるとわかるように、求人の増加と連動するように管理職として転職している人も増えています。
シンプルですが企業が大きくなると、管理職が必要になります。
なぜなら人が管理できる人数に限界があるからです。
管理できる人数の限界を「スパン・オブ・コントロール」と言います。
様々な研究によって一般的に1人が管理できるとされている適正人数は5~8人程度。例えば、米Amazonではジェフ・ベゾスCEOが提唱した「ピザ2枚チーム」というルールに基づき、2枚のピザで足りる程度の規模でチームを組んでいます。
引用:HRpro|スパン・オブ・コントロール
企業が成長すればそれだけ管理職が必要になります。社内からの抜擢もありますが、それでは追いつかないところが現実です。
人事として管理職を評価するポイントとしてのマネジメント能力は、言い換えると組織を「なんとかできる人柄」といえます。
組織がまわっていたら採用しません
誰とでもうまくやれそうな人柄なのかどうかを、人事は面接で見るようにしています。
基本的に組織の状態が悪く、モンスター社員がいたり、人間関係に何らかのトラブルを抱えている状態を任せたいというのが求人の背景にあります。
その環境の中に入って、クセのある社員と柔軟にコミュニケーションを交わし円滑に物事を進められるような人柄かどうかが重要になっていくからです。
僕がMBAで学んだことの1つとして、管理職の仕事は「なんとかすること」という意味があるということです。
マネージャーが管理職と言われるので、マネージするという動詞だと、「管理する」と思われたりします。そういう要素もあると思いますが、「なんとかする」という意味もあるので、どっちかと言うと、なんとかすることが「マネージする」だと思いましょう。
logmiBiz|マネジメントとは「なんとかする」こと
組織を「なんとかできる」のは結局のところ、管理職の人柄にかかっていると言っても過言ではありません。
人事としてはマネジメント能力を発揮するための基盤として、重要な「人柄」をよく観察して評価するのです。
問題発見と問題解決した実績
管理職として求められる役割の1つに、組織で成果を出すということがあります。
個人で仕事をしている時とは異なり、視座を高めて物事を捉えることが求められるのです。
特に現代はVUCA時代と呼ばれるような、先行きが見通しにくい時代の中でトップダウンで指示を出せる企業は少なくなってきています。
難しい時代なんだね
前例が通用しないといわれているよ
前例が通用しない時代に管理職に求められるのは、自分で決めて進む能力です。
ALL DIFFERENT社の調べでは、管理職に求められる役割として10年前と比べて大きく増えた項目に「自ら何をすべきか定義し、遂行する」があります。
誰も答えを持っていない現代では、管理職自らが現場の状況を考えて行動する必要があるのです。
そのため、人事としては面接で以下の2点の実績を確かめます。
- 問題発見をした実績
- 問題解決をした実績
問題発見、問題解決どちらもセットですが、どういった視点で仕事に取り組んできたのかがわかるポイントです。
なぜなら「問題」というのは意識しないと現れにくいものだからです。
「ここは問題なのでは?」と意識することで仮説を立てることができます。
問題発見と問題解決を言い換えると、自分で気づいて組織を巻き込めるかどうかといえます。
問題を解決するためには組織の「人」を動かさなければならず、そこには部下との対話や信頼関係などが必要です。
人というリソースを使ってどのように問題を解決したかは、管理職としては重要な評価ポイントになります。
管理職も転職をしてキャリア形成をする時代
ここまでは人事が管理職を評価するポイントをまとめてきました。
求められるものを要約すると、「誰とでもうまくやれる人柄」と「気づいて巻き込める力」があるかどうかです。
逆にこの2つがないと管理職としてキャリアをつくっていくことは厳しいと感じます。
さて、最後は「管理職も転職をしていきましょう」というお話です。
- 管理職の需要は高い
- 管理職から一般職に転職する
- 企業文化には気をつける
管理職の需要は高い
結論として、管理職の需要は前述の通り伸びています。
組織拡大や時代の変化に対応すべく、専門性の高い人材が求められているからです。
転職するなら今がよいタイミングとも言えるほど管理職の求人は増加しています。
売り手市場ってやつね
実際管理職は少ないからね
管理職は肉体的にも精神的にもハードになりがちなので、そもそもなり手が少ないです。
リクルート社の調べでは管理職になりたい人が減っていることがわかります。
実際、管理職はキャリアアップという観点からはプラスですが、メリットばかりかというとそうではありません。
- 上司と部下の板挟み
- 仕事や労務管理など責任が重くなる
- 部下のサポートなど業務量が増える
僕が管理職を辞めたのは、上司と部下の板挟みが原因だったと感じています。
当時は大変だったんです
ただ現在管理職で働いていて、特に不満がないのであれば前述のように需要は高く転職するチャンスはあります。
特に30代から40代であれば、組織として今後中核を担ってもらうこともできるので比較的転職が容易です。
ちなみに人事の観点でアドバイスをすると、人事制度には上限があります。
昇格できる人数には限りがあるので、ある程度まで昇格するとそれ以上はしばらく変わらない場合も。
そういった状況に近いなと感じたら、別の会社に転職することをおすすめします。
自分のステージに見合った、新しい会社の人事制度の昇給テーブルで頑張ったほうがリターンが高い可能性もあるのです。
管理職から一般職に転職する
もう1つの選択肢としては、管理職を「やめる」ということ。
この記事でお伝えしてきたように、管理職は心身ともに消耗する職種です。
長く続けるには相当な覚悟が必要になっていきます。
管理職は正直もういいや
辞めるのもありなのか
拓殖大学教授の佐藤一磨氏の調査では、管理職になったあと幸せにもならず、健康が悪くなったと感じている人がいます。
この調査結果は僕の肌感覚とも合います。
男女ともに管理職への昇進前後の数年間で幸福度に変化は見られなかった。しかし、女性では管理職に昇進した2年後、男性では管理職に昇進した1年後以降に主観的健康度が悪化していた。
引用:日本人材ニュース|管理職になっても、幸せにならない
僕が管理職になった後に残ったものは、少しの昇給と社会的地位くらいのものでした。
特に上司・部下ガチャは自分ではどうしようもできません。
僕のように逆パワハラを受けてメンタルヘルス不調になることもあります。
気をつけてください
一方で経験として割り切って管理職を選ぶことはありだと思います。
急成長のベンチャーであれば、管理職の抜擢はその後もチャンスを掴みやすいので、昇格する価値はあります。
また20代や30代といった早い段階で、管理職を経験すれば視座があがり転職で有利になることも。
そういった状況以外であれば僕は管理職はあまりおすすめできません。
ぶっちゃけつかれたと感じるなら辞めることも選択肢です。
僕自身は転職を機に、人事として管理職にならなくてもよいサイズの企業を選び、給与水準を維持することができました。
業界や企業の規模を選べばそういった選択も可能です。
また、管理職をやめて役職分の給料が下がったとしても、自分の時間が作れるはずです。
できた「自分の時間」を使って本業以上の収入を稼いでいる人は、案外多くいます。
僕自身もサラリーマンに依存しないように、日々自分の時間を使って自己投資にまわしています。
企業文化には気をつける
管理職としての転職は企業文化に気をつけましょう。
転職において重大なミスマッチにつながる要素だからです。
僕が人事の転職で経験した企業文化のミスマッチはこんな感じでした。
成長意欲がなく変わろうとしない企業文化
強烈な体育会系でブラックな企業文化
前者の企業文化は、企業変革を求められて転職したにも関わらず、ほとんどの従業員が意欲がなく「ゆるブラック」と言われるような企業文化でした。
人事としてどうこうできるレベルではなく、業界特有の薄利多売などビジネスモデルが影響していたことに入社後気づきました。
バリバリ頑張ろうとして転職したのに、部下は言われたことだけしかしないような状況です。
それでもなんとか管理職としてマネジメントしようとしましたが、ゆるい環境に慣れきっている部下は変わることはありません。
誰も頑張らない組織に愛想をつかせてやめることになりました。
昇給しにくいし頑張る意味がないんだよね
それは頑張れない
一方で後者の会社は、超がつくようなブラック企業。
昭和の会社を体現したような体育会系の企業文化でした。
体育会系の文化は合わせることはできたのですが、パワハラもひどく離職率が高い環境でした。
きつそう
僕が部下をいくらフォローしても、役員が直接部下にパワハラをするので退職してしまうのです。
また部下のフォローくらいで済めばいいのですが、自分自身も管理職として「詰め」られます。
当時は怒られすぎて、うつ病のような症状になってしまったほど。
最終的には会社から「アンチ」と呼ばれて、モラハラを受けるようになってしまいました。
このように上司や部下を選べない管理職は、ミスマッチの要素が増えてしまいがちです。
企業文化選びのポイントとしてはビジョンやバリューに共感できるかで決めていいと思います。
ただし面接やコミュニケーションの中で、本当にビジョンやバリューを大事にしているか見極める必要があります。
ビジョンやバリューがハリボテのような企業は、人に対する価値観もブレやすくミスマッチにつながる恐れがあるからです。
管理職の転職についてよくある質問
管理職は転職をするべき!キャリアを考えて自分に合った働き方を選ぼう
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をまとめます。
- 管理職の転職は裏切りだけど気にする必要はない
- 管理職はデメリットも多いので合ってるかよく考える
- 管理職から一般職への転職も視野に
ドラマで見るような良い上司は少ないですが、ドラマのような中間管理職はどこにでもいます。
上司と部下に板挟みにされてストレスで消耗しているのが管理職の実態です。
そんな管理職が自分のことを考えるのは、まったく問題はないです。
むしろ普段は自分を犠牲にして働いているので、裏切り者だと思われても気にする必要はありません。
会社を辞めれば他人です
また管理職としてのキャリアを進むかどうかも、よく考える必要があります。
記事でお伝えしたようにデメリットの多い管理職という仕事は人を選びます。
もし自分が管理職に合っていないと感じるなら、一般職への転職も悪くないと思います。
僕自身もそうですが、マネジメントから解放されたことで自分のキャリアを積み上げることができるようになりました。
給料や条件を下げることは不安だと思いますが、副業など本業だけに依存しない働き方が今後は求められていきます。
ぜひあなたらしく働けるキャリアを考えて進んでください。
この記事があなたの役に立っていれば嬉しいです。