大人しい人は突然辞めるもの?
いい人が辞めると言い出した…
真面目だった人が急に退職してしまった
大人しい人が突然辞めると言い出すと驚きますよね。
僕も15年人事をしているので、何度も大人しかった人が急に辞めるのを見てきました。
一方で僕自身も「大人しい」と言われてきたタイプです。
辞める時はいつも周りから、驚かれていたのを覚えています。
突然辞めるタイプ
この記事でお伝えする結論は、大人しい人が突然辞めることは「職場環境」に問題があるということです。
正直大人しい人側にいる僕からすれば、「突然」辞めるような印象を持つほど希薄な関係にこそ問題があると思ってます。
実際職場では放置や、仕事の丸投げなどで関係をつくろうとしなかったのは会社側だからです。
この記事を書いている僕は、人事や管理職として突然辞める大人しい人をみてきました。
そして自分も「真面目」と言われながら突然辞めてきたタイプです。
人事と従業員どちらの観点からも、なぜ突然辞めてしまうのかという点をお伝えできると思います。
大人しい人が辞める原因についても30時間以上かけて、調査と執筆をしています。
記事を最後まで読んでもらうことで、大人しい人が辞める原因や本質的な問題を掴むことができます。
ぜひ最後までお付き合いください!
大人しい僕が突然辞めた本音を告白
最初は僕自身が会社を突然辞めてきた体験談を3社分お話しします。
1つ共通するのは、できればどの会社も辞めたくて入社したわけではなかったということです。
僕と言う1人の社会人が、突然辞めたと思われる背景には何があったのかをお伝えします。
5年の沈黙!パワハラに耐えて辞めた
1年奮闘!逆パワハラから逃げて退職
9ヶ月の様子見期間で見切った会社
5年の沈黙!パワハラに耐えて辞めた
僕が1番計画的に辞めたのは、とあるブラック企業でした。
以前書いたやばい職場の記事でも書いた会社ですが、「垂れ幕」が天井から下がっている昭和の会社みたいな営業会社のお話です。
それだけでヤバそう
僕史上最悪だったよ
そのやばい会社に入った理由は1つで、以前からつながりのあった人事の師匠的な人物に誘われたからです。
同じ会社だった時は、僕は「現場」で、その人物が「管理部」というやや遠い存在でした。
過去に同じ会社で働いたことがあったその人物は、蓋を開ければ外面がいいだけのソシオパスでした。
雇用条件で嘘をつく
パワハラは日常
会社のお金で夜遊び
脚色せずに言っても、やばい上司を体現したような人物で、毎日恫喝(おどすこと)をするような人でした。
しかも入社時、雇用条件に嘘をつかれて、100万円くらい下げられるという契約に変えられてしまうのです。
それはやばい
そういったことがあり、僕は入社時から大人しくするようになりました。
自分を一切出さずにただ仕事をするようにしたのです。
僕の中にあったのは入社する会社を間違えたことと、信用する人を間違えたことが重なり「悔しい」という感情だけが残っていました。
その悔しさから、僕は次のキャリアに進めるように脱出計画を立てたのです。
ブラック企業でも認められるほどの実績を出すことという目標を立てて、とにかく仕事を頑張ってたのです。
最終的には仕事のためにMBAを取得するということもアピールして、マネージャーになるまで5年もかかってしまいました。
よく5年も耐えた
さらに、水面下で進めていた転職活動も無事に内定をもらえたので、ようやく「脱出計画」を実行するタイミングがきたのです。
社内では大人しかった僕が、LINEで辞表を叩きつけたことに当時の上司は驚いていました。
社内の人間からすると、突然大人しい人が辞めたように映っていたと思いますが、僕は5年間黙って準備をしていたのです。
1年奮闘!逆パワハラから逃げて退職
僕は以前に部下から「逆パワハラ」を受けたことがあります。
逆パワハラとは上司からパワハラをするのではなく、部下の立場からパワハラをすることです。
一般的には以下のようなことが逆パワハラと言われるものです。
業務命令に従わない
協調性がない
暴力や暴言
逆パワハラを簡単に言うと、部下の立場を利用して上司に嫌がらせをするというものになります。
僕は「逆パワハラ」を受けることは初めてで、しばらくの期間はなんとなく不快に感じていた程度で逆パワハラだとは気づいていませんでした。
そのため、できるだけ部下には優しく接したほうがいいという思い込みがあったので、やや違和感を感じても付き合うようにしていたのです。
付き合っていたのが悪かったのか、少しずつエスカレートする部下の行動に、僕の中でストレスがどんどん蓄積するようになります。
ついには「管理してあげます」と言って、僕の行動まで監視するような態度をとりはじめました。
つらそう…
寝れなくなったよ
行動を分単位でカレンダー登録
打ち合わせは言葉ではなくテキスト
成果物を独り占め
明らかに行き過ぎた行動だと、周りからも見てわかるようになっていたのです。
僕自身が大人しくしていることと、部下に合わせているように感じていたということもあると思いますが、当時僕の上司も周りも見て見ぬふりを続けていました。
上司には相談していたものの、のらりくらりとかわされていただけで結局なにも協力をしてもらうことはできなかったのです。
上司含めて、誰にも頼れないと感じた僕は「学校のいじめもこんな感じなのかな」と想像していたのを覚えています。
成すすべがなく、結果的に僕は可能な限り、部下に合わせて仕事をしていました。
m3社の調べでは、「逆パワハラ」を受けたことがある上司は約48%と半数近くいます。
引用:m3|部下から「役立たず」「窓際族」…医師の“逆パワハラ”
僕のように苦しんでいる上司は意外と多いのです。
当時僕の心の中ではストレスが蓄積し、お酒がないと眠れない状態にまでなっていました。
そうした状況に限界を感じた僕は、「このままではもたない…」と感じて水面下で転職活動を始め辞める準備をすることにしたのです。
いいと思う
すると意外と早く次の職場が決まり、突然「辞める」と言い始めた僕に周りは驚いていました。
大人しくて真面目と思われていた僕は、逆パワハラを受けても辞めないだろうと思われていたのだと思います。
僕のように大人しいと思われるタイプは、ジッと我慢はしますが行動を起こす時は一瞬です。
逆パワハラをする部下は監視する職場の記事で書いたので参考にしてください。
9ヶ月の様子見期間で見切った会社
最後にお話するのは、家族経営で2代目社長がいた会社での経験です。
この会社はかなり歴史が古く、長期間黒字を維持出来ているとても基盤のしっかりした会社でした。
当時安定を求めていた僕にとっては、とても魅力的な会社に映っていたのです。
老舗企業で働けるという点で僕は安心していたのですが、蓋を開けるとその会社は「独裁政治」のような状態でした。
こわいよ
これは見抜けなかったかも
2代目社長が権力を使って、好き勝手をしていました。
僕を採用してくれた「上司になるはずだった人物」は、僕の入社と同時に現場へ人事異動をさせられています。
新人の採用においてこのような、いきなり孤立させてしまうことになる人事異動はあり得ません。
頼るべき上司が最初からいないというのは、想像以上に不安になるものです。
僕はいきなり、入社前に約束されていたような環境を失うことになりました。
それからも、聞いていない夜勤の仕事が発生したり、鳴り物入りで入社した部長が2代目社長に訴訟を起こしたり話題に事欠かない環境が続きます。
さすがにこれは一過性のものではなくて、2代目社長の影響で企業文化がダメになってしまっていると確信しました。
詳しくは2代目社長の記事でも書いていますので、参考にしてください。
もう関わりたくない
9ヶ月で退職することは、転職回数のリスクにつながるので悩みました。
ただ、このままダラダラ続ける意味はないと感じて退職を決意しました。
僕は会社の文化が合わなかったため、はじめから自分を出さずにいたので会社の人との関係はほとんどありませんでした。
辞めると言った時は突然のことに少し驚かれはしたものの、新人が唐突に辞めることに慣れている会社にとっては、それが日常だったのです。
新人からすると、辞めるということに慣れている会社ほど怖いものはないと感じた瞬間でした。
僕は同じ様な環境を選んで入社しないように、転職で気をつけるようになったのです。
人事が見てきた突然退職する人の特徴
ここまでは、僕がこれまで大人しいふりをして突然やめたお話しをしました。
基本的に突然辞めるつもりはなく、周りに相談できないという点が共通していたように思います。
ここからは、僕が人事として見てきた突然退職する「大人しい人」を紹介します。
HSP気質がある繊細さん
自己犠牲の精神があるいい人
真面目で優秀なハイパフォーマー
HSP気質がある繊細さん
HSPは最近ではよく聞く単語だと思いますが、病気ではありません。
その人が持つ性格で「気質」といったものです。
HSPは以下のような特徴があります
人の考えがある程度読める
大勢がいる場所が苦手
ものごとを深く考える
僕自身もHSPであり、HSPの気質には悩まされて生きてきました。
詳しくはHSPが続いた仕事という記事に書いたので参考にしてください。
HSPは仕事が続かないと言われることがありますが、環境が合わないだけということが多いです。
人の気持ちや考えが読めるHSPは、気を遣い相手のペースに合わせようとします。
結果的に相手はそういうものだと思って、付き合うようになるのです。
しかし、僕たちHSPはそういった環境では、なかなか自己主張することができません。
僕はオフィスでは自分を出せません。
多分いろいろな人の目が気になるからだと思うのですが、自然に振る舞えないのです。
結果的に、とにかく相手に合わせてしまうので息苦しさを常に感じます。
辛そう
かなり働きにくいよ
僕はまったく相性の合わない上司の隣でずっと仕事をしたことがありますが、本当に居心地が悪いです。
でも嫌な顔はせずに仕事をしているので、僕に対しては「大人しい人」という印象を持っている人が多いと思います。
相手に合わせがちなHSPは、心を許せる人でない限り心は開きません。
そういったHSP気質がある人は、辞める瞬間まで本心を悟られないように付き合うものなのです。
それがHSPの処世術と言えます。
自己犠牲の精神があるいい人
「いい人」の定義はやや曖昧なところがありますが、ここで言う「いい人」は他人のために貢献できる人です。
自己主張をせずに、自分の評価も気にせず働くタイプの人です。
いい人タイプは他人のために貢献しようとするので、オフィスでは重宝されます。
こういった、他人の為に働くことができる人は「ギバー」というカテゴリにまとめることができます。
いい人と働きたい
皆いい人だといいんだけどね
「ギバー」とは組織心理学者のアダムグラント氏が提唱した、組織内の人間の行動タイプの1つです。
他人に「Give」するからギバーと言います。
ギバー(Giver)とは、見返りを期待せずに、自分の時間や知識、アイデアなどを相手に惜しみなく与える人のことです。相手が何を求めているのか考え、手を差し伸べることができます。
引用:Musubu|ギバー、テイカー、マッチャーとは
なんとなく想像ができると思いますが、ギバーのような「いい人」は少数派です。
残念ながら僕は、いい人が多い職場で働いたことはありません。
実際アダムグラント氏によれば、組織におけるギバーの割合は「25%」と多くありません。
一方で人から奪うタイプの「テイカー」も「19%」存在します。
他人に仕事を押し付けて、自分の成果にするようなタイプですね。
避けたいタイプ
ギバーは嫌だと断るようなこともせず、他人のために働こうとするのでテイカーなど周りから仕事を押し付けられやすいのです。
結果的に業務量が多くなり、キャパオーバーを招いてしまう可能性があります。
ギバーは心身ともに消耗し、仕事に遅れが出る傾向にあり、凶悪犯罪の被害者や訴訟の原告になる確率も高いのです。
引用:THE GOLD ONLINE|最も成功する可能性が高いのは「ギバー」だが…“最も成功から遠い人”もまたギバーである〈残酷な理由〉【イェール大学経営大学院助教が解説】
そしてまさかの「自分が悪い」と思い込むようなタイプなのです。
騙されるというよりは搾取されやすく、テイカーの「養分」にされやすいのがギバーの大きなリスクです。
僕は過去に「ギバー過ぎる人」を見たことがあります。
本人はまったく悪くないのに、自分が辞めることで問題が解決すると思い込んで辞めようとしていたのです。
自己犠牲が過ぎる…
「辞める可能性はない」と思った人が、突然「辞める」と言い出すので周りは驚きます。
なぜなら、ギバー本人は客観的に見ても、辞める必要はまったくないのですから。
ここではいい人を「ギバー」で括りましたが、いい人が限界を迎えて去ってしまう職場はブラック企業の可能性が高いです。
ズル賢く他人から奪うテイカーが、生き残りやすいのがブラック企業だからです。
真面目で優秀なハイパフォーマー
優秀な人材は、仕事だけではなく「見せ方」も上手です。
誰かから反感を買うようなことや、評価を下げるようなことはしないのです。
そのため、優秀な「ハイパフォーマー」と呼ばれる人たちは色々考えてはいるものの、一見すると真面目に仕事に取り組んでいるようにしか見えません。
デキる人…
見せ方は本当に上手だよ
ビズリーチ社によれば、優秀な人材の特徴には以下の項目があげられており一部を抜粋します。
優秀な人材の特徴を一言で言えば「自分の目標がある」です。
5年、10年先を見据えて仕事ができる
引用:ビズリーチ|「優秀な人材」の特徴とは? 見極め方や採用のコツ、離職を防ぐ方法を解説
円滑な人間関係を築ける
企業ブランドに依存しない
明確な目標を持っている
謙虚で誠実である
つまり自分が何になりたいかが明確なので、ある意味で「会社」に依存せず働くことができます。
「ありたい自分」と「現在の自分」のギャップを認識しており、常にそのギャップを埋めようとするので周りよりも成長することができるのです。
目標に向かって生きることを、MITスローン経営大学院のピーター・センゲ氏の提唱する言葉で「自己マスタリー」と言います。
自分自身が心底から望むビジョンや目的の実現に向けて、真剣に生きようとするプロセス(過程)を「自己マスタリー(Personal Mastery)」と呼びます。
引用:HUMAN VALUE|自己マスタリー
このように優秀で真面目そうに見える人材は、向上心が高く自ら成長しようとします。
すごい
多くの人はこの「自己マスタリー」を持つことができていません。
僕が人事をしていて肌感覚で感じるのは、目標を持ち「自己マスタリー」があると感じられる人は組織内において30%くらいです。
そのため、他の人よりも高く評価されて、会社の中では中堅以上の存在になることが多いのです。
しかし、誰もが「出世コース」まっしぐらだと感じているような状態でも、自分の目標が達成できないことを悟るとあっさりと退職を選びます。
真面目に仕事をしていた優秀な人材が、突然辞めるので周りはびっくりしてしまうのです。
優秀な人材は会社に依存していないので、タイミングさえズレていなければ躊躇なくすぐに転職をするのです。
これはもう本当にそう
実際に、優秀な人材にはヘッドハンターからのスカウトや、スカウトメールが連日のように届きます。
基本的には、いつでも転職をすることができます。
今の会社で働いている理由も、自分の目標を達成するために粛々と業務をこなしているに過ぎません。
次の会社に行くための準備をしているに過ぎず、いつ辞めてもおかしくないのが真面目で優秀な人の特徴と言えます。
突然辞める前に意識しておくポイント
ここまでは突然辞める大人しい人の特徴をまとめてお伝えしてきました。
「大人しい」というのは、周りからの印象でしかなく実際に大人しいかは別です。
ここでは、突然辞めてしまう前に意識するべきポイントをまとめました。
本当に辞めていいの?相談のメリット
結局どの会社でも人間関係問題はある
会社の評価を気にしないという働き方
本当に辞めていいの?相談のメリット
僕も大人しい人と言われるタイプです。
そして、突然辞めるということも経験しています。
ただ周りから見て突然辞めているように見えるだけで、実際には上司など近くの人に相談はしていました。
相談の結果「どうしようもない」と感じた場合に、退職という道を選んできました。
仕方ないのか
かけひきがあるよ
一方で、突然辞表を叩きつけるような退職の仕方にはリスクがあります。
僕たちのような大人しいタイプは、会社と意思疎通できていない場合が多いです。
そして勘違いをしていることがあります。
例えば会社は僕のことを評価しているのに、僕は「会社から評価されていない」と思っている場合などが代表的なパターンです。
コミュニケーションを避けてきた結果、会社や上司の考えを読み間違えるというのは「退職者あるある」なのです。
僕自身も何度も「実は違った」ということを経験したので、できるだけ辞める前に話すということをおすすめします。
相談しよう
ただ転職活動を終え内定をもらってしまった段階だと心は次の職場に向いているので、その段階で相談してもあまり意味はありません。
そうなると転職活動を始める前ということになるのですが、その状態では辞めることを伝えると一定のリスクが発生します。
引き留めにあってしまう
社内の評価が下がる
見切りをつけられる
「辞めるつもり」の人に分類されてしまうと、途端に態度を変えてくる上司もいるので十分注意する必要があるのです。
ではどうやって相談するべきかというと、「期待値の調整」をするのです。
期待値とは相手が求める期待の水準を言います。
簡単に言うと自分に求められているものと、自分が応えようとしているものをすり合わせるのです。
僕も職場で「居場所がない」と感じながら働いていた時、上司に期待値についての相談をしたところ実は高い評価をされていたという経験があります。
こうした期待値がズレていることはよくあります。
しかし、また話さない期間が続くと期待値はどんどんズレてしまうものです。
基本的には定期的にコミュニケーションをすることで、わだかまりをなくしていくことがストレスなく働くポイントと言えるのです。
結局どの会社でも人間関係問題はある
次にお話しするのは結局どこの会社に行っても、人間関係の問題はあるというお話しです。
僕は8回転職を経験しましたが、人間関係で悩まなかった職場はありません。
日本プロサッカーリーグの村井満氏の言葉ですが「退職理由は半径10m以内の人間関係」と言われています。
僕の経験でも、オフィスの中10mくらいに退職の原因になる上司やモンスター社員がいました。
ちなみに、心理学者アドラー氏の言葉にも「すべての悩みは、対人関係である」と言われているほどです。
全部人間関係だ
働く上で切り離せないよ
僕が言いたいことをまとめると、転職して人間関係が改善されるということはあまりないということです。
「大人しい人」という評判のまま転職をして、フィットする職場を探すのは難易度が高いのです。
なぜなら、自分を変えようとしない限り、周りが合わせてくれることを期待するしかないからです。
また、慣れた職場で「大人しい人」というポジションを取れているのに、それを捨てることにもなります。
新しい職場では慣れない環境で、慣れない仕事をしていくことになるのです。
僕の考えとしては、結局どこかで、自らコミュニケーションを取っていくしかないと考えます。
僕が考える転職のポイントとしては、「その環境を使い切る」ことです。
つまり、やれることをやってから「リセット込み」で転職という切り札を切るべきです。
最終手段
転職回数に上限はありません。
一方で、無闇に転職を増やせば市場価値は下がります。
できる限りやり尽くしてから、見切りをつけても遅くはないのです。
ある意味で、自分が演じやすい「キャラクター」を探すのもよいと思います。
大人しいと思われているのであれば、少し話しかけるようにしてみるなどやれることはあるはずです。
このように自分の中での経験をし尽くしてから、同じミスマッチをしない環境を探すというのが転職をうまく進めるポイントです。
会社の評価を気にしないという働き方
この章の最後として、会社の評価を気にせず働くという視点をお伝えします。
これは僕が実践してる働き方なので、経験談を交えてお話しします。
会社で働いているのに「会社の評価を気にするな」と言われてもなかなか難しいと思います。
僕もですがサラリーマンを長年やっていると、会社の評価が「自分の価値」みたいな考え方が染み付いてしまっています。
評価気になる
僕も気にしてたよ
一方で評価制度には限界があって、全員が満足する評価制度をつくることは不可能なのです。
会社が自分を見てくれて、将来を考えてくれるという考え方は危険です。
実際のところ会社の評価を気にして仕事をしていると、あまりいい影響はありません。
1年のモチベーションが上司次第
評価制度には限界がある
そもそもしっかり見てない上司が多い
僕はある上司の下で働いていて、一定の信頼関係のもと評価を得るために努力していました。
しかし、1年の評価を受ける時にわかったことなのですが、その上司は自分のことをまったく見ていなかったのです。
その事実を知った僕は、ショックと同時に戦慄しました。
なぜならこの上司を信じてそのまま仕事をしていたら、自分のキャリアが大変なことになっていたかもしれないからです。
怖過ぎる…
僕のように極端な上司ではなくても、そもそも人間が人間を正しく評価することは不可能です。
なぜなら「全て」を観察できないからです。
しかも上司が部下に対して思い入れを持っていない限り、辻褄合わせの適当評価になることが大半です。
しかし、会社は従業員に夢を見せます。
会社の将来を約束するように見せることで、人材の成長を促してお金という資源を配分します。
そのための調整役を果たすのが「評価制度」です。
現実的には無数にパターンのある職種や、年収の組み合わせを1つの評価制度というパッケージにまとめることは難しいのです。
そうなのか
働く上で会社からの評価はどうしても軸になりがちです。
ただ、評価されることだけをモチベーションに働いていくと、本来意識すべきポイントからズレたりしてしまうので注意が必要です。
特に僕のように上司が「信用できない人物」だった場合はなおさらです。
見てくれていることを信じて働いても、期待通りの評価が得られるかはわからないからです。
そのため、上司のパワハラなどが酷くて耐えられない場合は別ですが、無視できるような存在なのであれば評価を気にしないことをおすすめします。
評価ではなく、自分の目的を達成するために働くことで成長できる場合もあるからです。
大人しい人が退職を考えるきっかけ
ここまでは大人しい人の立場に立って、辞める前に一度立ち止まって考えるポイントをお伝えしました。
ようは会社は利用できるかぎり利用するほうが、辞めるよりもメリットが多いということをお伝えしたかったのです。
ここからは、大人しい人が退職を考えるきっかけを僕の経験を踏まえてまとめていきます。
大人しい人は突然退職するわけではありません。なぜ辞めることになるのか原因を探っていきましょう。
待遇や環境が変わらないと絶望した時
ストレスで精神的に限界を迎えた時
良い条件の会社から内定をもらった時
待遇や環境が変わらないと絶望した時
共同通信社の調べによれば、優秀な人が辞める理由には「待遇に不満」や「将来性のなさ」が上位にあがっています。
僕も同じ理由で辞めたことは何度もあるので、気持ちはよくわかります。
優秀で真面目そうに見える人は、自分のキャリアを常に考え続けています。
会社の先行きがある程度見えてしまったら、水面下で転職活動やカジュアル面談を進めていくようになります。
そういうものなのか
結構あるあるだと思う
僕の経験談としては、環境面や待遇面で絶望するのはどちらかというと、入社してすぐの場合が多かったです。
というのも、入社すると想定していた内容と違ったということが起こります。
この現実を知ってショックを受けることを「リアリティショックといいます。
エン・ジャパン社の調べによれば、リアリティショックを受けた人の82%が転職に満足していないと答えています。
引用:エン・ジャパン|「入社後ギャップ」の定点観測データ過去6年分を分析
人事制度など開示が難しいものは、入社しないとわからないことがあるのも事実です。
実際に経験したリアリティショックです
実際はほとんど昇給しない
会社にお金がない
紙で打ち合わせする文化
どれも入社しないとわからない情報ばかりでした。
僕は人事制度という会社の仕組みをつくっているので、実情をすべて把握することになります。
そのため、一般の人よりも大きく深刻な事実を知ることになるのです。
大人しい人や真面目に見える人は、この最初のリアリティショックの段階で辞めることを考えるものです。
僕も入社時にリアリティショックを受けて、様子見をして9ヶ月で退職をした経験があります。
ストレスで精神的に限界を迎えた時
もう1つはストレスの蓄積で精神的な限界を感じた時に、人は辞めることを決意します。
これは僕がブラック企業で何度も経験したことなのですが、大人しい人はストレスの限界を感じると自分を守るために転職活動を始めます。
転職活動をすることでメンタルのバランスをとろうとするのです。
経験したストレスの代表例です
経営者のパワハラ
上司のパワハラ
部下の逆パワハラ
僕の場合は基本的に「パワハラ」によるストレスが多かったと感じます。
「人間の悩みはすべてが対人関係」と心理学者のアドラーが言うように、仕事におけるストレスの大半は人から受けるのです。
正直、業務が多少ハードだとしても、人間関係さえよければ乗り越えられます。
チームワークだね
信頼関係があるかどうかだよ
ただし、1点だけ注意して欲しいことがあります。
それは前述したように「対人関係」のトラブルはどこでも起こるということです。
キャリアデザインセンター社の調べによれば、職場の対人関係で不満を感じる相手は「上司」がトップです。
どんな上司の下で働くかによって、会社で働ける寿命が変わると言っても過言ではありません。
しかし、僕に一言だけ言わせてください。
上司にアタリはありません。あったとしても数%の確率だと思います。
これは僕が8回転職して、1000人以上採用してきた経験があるから感じることです。
何が言いたいのかと言うと、上司の対処スキルを磨かないと同じような転職を繰り返すということです。
それは嫌だ
突然辞めることは可能ですが、上司という存在に向き合わずに辞めると経験値を得られません。
次の会社でいちから積み上げるしかないのです。
同じことを繰り返すなら、慣れている現職で経験を積んだ方が楽です。
ストレスの元のことを「ストレッサー」と言いますが、ストレッサーにどう対処するかが重要なのです。
真正面からぶつかる必要はなく、どう接すればストレスがないかを身につけていきましょう。
良い条件の会社から内定をもらった時
最後はとてもシンプルなきっかけですが、条件の良い会社からオファーがあった場合も辞めるきっかけになります。
基本的に転職活動は、条件の良い会社から内定をもらうことを目的にするものです。
一方でビズリーチのプラチナスカウトなど、自分が思ってもいなかった会社からオファーをもらうこともあります。
あの会社が!
僕も経験あるよ
辞めるつもりがなくても、今よりも活躍できそうな環境や条件の良い会社からオファーを貰えば誰でも気になるものです。
結果的にミスマッチだったので失敗談になるのですが、僕もオファーで転職した経験があります。
僕の場合は厳密には転職ではなく「起業」です。
サラリーマンをしていると、なんとなくこのままでいいのかと不安になる時期があります。
当時の僕もまさにそういう時期でした。
ちょうどそのタイミングに、知り合いから起業の話が持ちかけられたのです。
起業のオファーは条件も良く、これから立ち上げる会社なので自分がいいポジションに就くことが約束されていたのです。
転職は考えていなかったのですが、うまくいくような気がして深く考えずに退職をしました。
サクセスストーリー?
このあたりの詳しい経験は、転職で人生が狂った記事で書いてますので参考にしてください。
大人しく仕事をしていた僕が急に辞めると言い出したので、上司も同僚も動揺していたのを今でも覚えています。
まとめると、転職をするつもりがない人でも良い条件のオファーを貰えば突然辞めることもあるのです。
正社員をいきなり辞めるための準備
ここまでは大人しい人が辞めるきっかけをまとめてきました。
突然辞めるように見える背景には、それなりのきっかけがあるものです。
さて、最後は実際に辞めるアクションを起こす時に意識したいポイントをお伝えします。
割り切って静かな退職を実践する
突然辞めることでストレス発散!
それでもキャリアはしっかり考えて
割り切って静かな退職を実践する
前述したように「会社の評価を気にしないで働く」という考え方は、現代ではとても重要なポイントです。
会社の評価を気にしても、期待通り市場価値や収入は上がらないからです。
一方でいきなり会社から独立してフリーランスは不安定さというリスクもあります。
正社員という立場に価値はあるのです。
正社員!
使えるものは使おう
「でもやる気が出ない」という人におすすめなのが、「静かな退職」という考え方です。
仕事への意欲を失い、ただ必要最低限の業務だけを熟す「静かな退職」という働き方が広がりつつある。会社を辞める気はないが積極的に働く気もない。その多くが、入社後にそんな働き方を決めたという。
引用:Forbes|働かないが会社は辞めない「静かな退職」 原因は企業側にも
積極的に働かず、必要最低限の仕事をすることを「静かな退職」と言います。
辞めずに、粛々と最低限のことをやるだけの状態です。
僕は転職回数も多く、絶望したことで簡単には転職するわけにはいかないので自然と「静かな退職」を実践していました。
Great Place To Work社の調べでは、静かな退職実践者のうち、働き始めてからそうした働き方を選んだ人は約71%です。
引用:Great Place To Work|<調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり
会社の実態を知ることで、頑張ることを辞めるという切ない実態が見えてきます。
ですが、この働き方は僕たちのような大人しいタイプにとっては、ある意味希望と言えます。
発想の転換というか、「辞める」以外にも選択肢があると気づいたのは僕も最近のことです。
気が楽だよ
もちろん評価も放棄する必要がありますが、前述の通り評価制度の精度は微妙なことがほとんどです。
しかも会社ごとに昇給率という、全体で昇給できる量が決まっているため飛び抜けるような昇給は現実には起こりません。
平均数千円で、よくて数万円ではないでしょうか。
日本労働組合総合連合会の調べでは平均で「約1万円」です。
実際僕もサラリーマンとして昇給するのは、5千円から1万円がほとんどです。
昇給額は定期昇給分を含めた加重平均で1万560円、昇給率は3.58%です。
引用:Edenred|【社労士監修】昇給の平均はどのくらい?規模や業種別にチェック
本当の安定ということを考えると、本業以外の収入を増やし自分で稼げるようになることです。
僕はMBAで恩師の大前研一が教えてくれた、以下の言葉を実践しようとしています。
「会社の看板を捨てて、名札と値札がつく仕事をしろ」
簡単に言うと自分しかできない仕事をしろということですね。
会社勤めで安心していると忘れがちな視点なので、常に意識するようにしています。
突然辞めることでストレス発散!
僕のように会社に合わせているふりをして、突然辞める人もいます。
僕の場合は5年間もある意味、大人しい人を演じ続けてきたのでとても大変でした。
大変ではありましたが、その中で得たものもあります。
それは、優秀な恩師と「MBA」という学位です。
すごい
めちゃ頑張った
生活や仕事が安定していれば、変わる必要はありません。
しかし「このままだとまずい」と思う何かや、「見返してやりたい」と思う反骨精神は行動を変えるエネルギーになってくれます。
ストレスを受け続けるだけの職場は、メンタル的にも厳しく長続きはしません。
僕のようにストレスを、行動を起こすためのエネルギーとして使うこともできるのです。
ここで、僕が考える「真のブラック企業」をお伝えさせてください。
それはキャリアのつぶしがきかなくなる職場です。
こわいよ
今では「ゆるブラック」や「パープル企業」と言われ、若者が退職を考える企業の特徴となっています。
ゆるブラック企業とは、居心地はいいが収入も上がらず成長もできない職場を言います。
AlbaLink社の調べでは、ゆるブラック企業の働きたくない理由は「収入が上がらない」と「成長できない」が上位です。
居心地の良い職場は、生活するだけであれば困ることはないかもしれません。
しかしキャリアアップという観点では、デメリットが多いのです。
長期間居心地のいい、ゆるブラック企業で働いているとスキルが身についていないつぶしの効かない人材になってしまう可能性があります。
危険な職場だ
一方でストレスを感じる職場の場合、感じているストレスをなんとかしようと考えます。
僕の場合はブラック企業から脱却するために、MBAを取得しています。
ブラックな職場に長居することは無用ですが、ストレスを行動のエネルギーに変えることで自分を底上げできるのです。
ある意味で会社を利用して、目的を達成して突然辞めるのはストレス発散になるのでおすすめです。
それでもキャリアはしっかり考えて
辞めることは1つの選択肢です。
僕自身も辞めたことで、人生を切り拓いてきました。
一方で辞めたからといってすべてが解決するというわけではありません。
そうなのか
現実は厳しいよ
僕自身が8回の転職をしてきたから言えることなのですが、事実として同じような問題はどの会社でも起こっています。
モンスター社員問題
会社の将来性問題
無能な上司が多い問題
求人はいい側面しか見せていません、実情を言えば採用ができないからです。
それでも暗黙のルールとして入社した以上は働かなければならないのです。
僕たちのように大人しいタイプの人種は、時に自己主張をせず突然辞めることを選びます。
しかし、人生は長く働いていくことがしばらく続きます。
働きたくない
辞めることで解決できるのは、根本的な人との相性や会社の方向性くらいだと思います。
前述したような問題は形を変えて存在しているものです。
では、どのようにすると辞めても失敗しにくいのかというと、それは「あるべき姿」を描くことです。
簡単に言えば「目標」ですね。
「こうありたいな」という自分の理想があるから、現状とのギャップが見えてきます。
そのギャップを埋めるための転職であれば、成功する確率は高くなっていくのです。
またできるだけその会社で起きている問題は、避けるのではなく経験してみることが大事です。
なぜなら同じ状況が待っている可能性があるからです。
その会社で得られるものを経験し尽くして、だいたいわかったと思えるようになったら辞めるという選択がいきてきます。
退職についてよくある質問
- 誰にも何も言わずに仕事を突然辞める人はどんなタイプですか?
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周りから見て突然辞めているように見えているだけであって、本人は準備をしっかり進めています。そのため一見大人しそうに見えますが、自分のことを考え自分で決めて行動ができる、意思をしっかり持っているタイプです。
- 大人しい人が仕事を辞める理由はなんですか?
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基本的に会社や環境において何かしら絶望した時です。これは「学習性無力感と言われ、行動しても結果がともなわないことが続くと何をやっても無意味だと感じる状態です。この何をやっても無意味と思わせるような環境が辞める理由になります。
- 大人しい人が辞めると労基署に通報したりするのはよくあることですか?
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可能性は少ないですが、パワハラなどが横行している職場ではあり得ることだと思います。僕がブラック企業を辞める時に、パワハラをしていた上司が「労基署に駆け込みそう」と心配していたのを覚えています。
大人しい人が突然辞める会社は問題あり
最後まで読んでいただきありがとうございました!
どうもです!
ありがとうございます!
「大人しい人が突然辞める」というテーマで記事を書いてきましたが、結論として本人としては突然ではないということです。
そして多くの場合は、職場や上司などの周りにも問題があることがわかりました。
僕も15年人事をやっていますが、周りが気づかずに大人しい人が辞めていく職場には問題があります。
企業文化や上司のパワハラなど根深い問題の影響で、大人しいタイプの人が自己主張ができない状態になっている可能性があるのです。
気をつけよう
僕が20年社会で働いてきて個人的に考えているのは、会社は一定以上の距離を置いていいということです。
日本では簡単に解雇することもできないので、社員はある意味で守られた存在と言えます。
ただ、生活する上で収入は必要となりますので働く必要はあります。
仮に職場に絶望したとしても「静かな退職」スタイルで働きながら、自分の可能性を模索する自己投資などに時間を使うほうがよっぽど有意義です。
職場を変えるという選択と職場を利用するという選択、それぞれの利点を考えて行動していきましょう。
この記事があなたの役に立てていれば嬉しいです。