ジョブホッパーの就職は絶望的?
ずっと転職を繰り返してしまう
短期離職を繰り返すのが怖い
会社を辞めるのは、転職を繰り返すことになりそうで怖いですよね。
僕も8回転職を経験したので、転職で不安になる気持ちはよくわかります。
ただ、転職を繰り返したことで、間違いなく年収が増えて会社のレベルも上がったことは事実です。
この記事では、「転職を繰り返すと末路はどうなるのか」についてお話しします。
僕の実体験から言える結論としては、転職を繰り返しても「キャリアアップ」と「年収アップ」は可能ということです。
希望はあるんだ
積み上げが大事だよ
この記事を書いている僕は8回の転職を経験した、まさに「ジョブホッパー」というべき存在です。
一方で本業は「人事」として15年間採用業務や、人事制度づくりも経験しています。
採用する会社側の立場も理解しているからこそ、転職を繰り返すことはどうなのかということを客観的にお伝えすることができるのです。
また、転職を繰り返すジョブホッパーについて、あらためて30時間以上調査と執筆に時間をかけています。
この記事を最後まで読んでもらうことで、転職を繰り返すことは「悪いことではない」ということがしっかりと理解できるように情報を網羅して書きました。
ぜひ最後までお読みいただき、「末路」を心配してしまう不安を取りのぞいてください!
転職を繰り返すジョブホッパーの実態
まず最初は、転職を繰り返す「ジョブホッパー」についてお話しします。
転職を繰り返すこと自体は貴重な経験です。
僕自身が「8回転職している」という、実体験があるからこそ言えることもあります。
ここではそうしたジョブホッパーが、転職市場からどういう扱いを受けるのかをお伝えします。
転職を繰り返す人の特徴
実は転職を推し進めているのは国
現役人事が解説する日本の転職市場
転職を繰り返す人の特徴
転職を繰り返す人のことを、人事業界では「ジョブホッパー」と言います。
「ジョブ(職業)」を「ホッピング(渡り歩く)」という意味です。
ジョブホッパーには明確な定義はなく、企業や人によって判断基準はバラバラです。
「ジョブホッピング」(job-hopping)とは、労働者が好待遇やスキルの向上を求めて、あるいは職場の人間関係や業務分担への不満などから、比較的短い期間に転職を繰り返すことを言います。また、ジョブホッピングを行う人は「ジョブホッパー」と呼ばれています。
日本の人事部|HRペディア
ようは、「どの会社もすぐ辞める人」という印象を受ける人のことです。
仮に新卒で入社した会社を、「半年」で辞めてしまってもそれはジョブホッパーとは言いません。
転職市場では、「第二新卒」というカテゴリに分類されます。
一概には言えませんが、例としては3社以上の転職を、連続して2年未満で辞めている場合は「ジョブホッパー」扱いになります。
僕が働いている人事業界では、半年から2年程度で、会社に定着せず転職を繰り返す人のことを指すことが多いです。
そのため人事業界や転職市場では、ジョブホッパーはネガティブな意味合いで使われています。
ジョブホッパーとは一般的に、1~2年で転職を繰り返していて、1つの企業に定着しない人材のことを指します。
リクルート|転職コラム
辞めちゃう人たち
事情はいろいろあるけどね
ジョブホッパーには、以下のような特徴の人が多いです。
転職の目的がないもしくは曖昧
職場の人間関係作りが苦手
1つの仕事に興味を持てず飽き性
ただジョブホッパーには、自分が原因の場合と環境が原因の場合に、大きく分けることができると思います。
僕も年代的にそうですが、「就職氷河期世代」など、環境に恵まれなかった世代も現実にはいます。
厚生労働省は就職氷河期世代に対していまだにサポートをしているほどです。
このような場合は環境が原因と言えます。
厚生労働省ではバブル崩壊後の1990~2000年代、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、現在も様々な課題に直面している方々(就職氷河期世代)の支援を行なっています。
厚生労働省|就職氷河期世代活躍支援
一方で、いわゆる「甘え」といわれるような、だれかのせいにする「他責」で転職を繰り返すケースもあります。
この場合は自分が原因と言えますし、一般的なジョブホッパーのイメージはこちらに近いです。
キャリアビルダーとは
あまり耳馴染みがないかもしれませんが、ジョブホッパーの対義語として「キャリアビルダー」という考え方があります。
キャリアビルダーとは、「キャリア(経歴)」を「ビルド(築く)」人という意味です。
ジョブホッパーは職業を転々と渡り歩き、キャリアが築けていない場合が多いのですが、キャリアビルダーはコツコツと積み上げています。
キャリアビルダーとは、計画的に転職してキャリアを積み重ねる人のことをいいます。転職をするたびに、収入や待遇がアップしているのが特徴です。
ミツカリ|転職活動の方向け
優秀なのかな
理想系ではあるよね
ただ、このキャリアビルダーはジョブホッパーと表裏一体の関係です。
転職の目的があり、転職市場から見たときに市場価値が高い経験やスキルを身につけていればキャリアビルダーと言えます。
ジョブホッパーの問題点は転職の目的が曖昧な場合です。
しっかりと目的を決めて転職を重ねているのであれば、ジョブホッパーではなくキャリアビルダーです。
国が転職をおすすめしている真の理由
転職は「ネガティブなもの」というのは過去の話です。
転職市場も、採用担当である人事も、もう転職についての考え方が変わっています。
ではなぜ、転職についての考え方が変わったかというと、実は国が政策として推し進めているからです。
国が政策として、転職を推し進める理由はシンプルです。
「人口が増えない」
これに尽きます。日本の人口動態からはっきりと、人口減少を読み取ることができます。
少し先の話ですが、このままのペースでいくと2070年には人口が8,700万人にまで減ります。
このままだとヤバい・・・
少子高齢化が進行するよ
ようは、何もしなければ働く人が増えないし、国としての力も弱くなっていくだけなのです。
その打開策として、「人材の流動性を高める」という、転職を促す政策を施行しています。
政府は、リスキリングによる労働者の技能向上を労働市場の流動化、つまり転職と結びつけることで、経済全体の生産性向上とそれによる賃上げを促すことを目指す。
野村総合研究所|労働市場の流動化と構造的賃上げには職務給(ジョブ型)制度拡大が必要
大企業が人材を囲い込んでいても、人手不足で困っている中小企業がいたのでは国全体としては、成長を期待することはできません。
そこで、スキルや経験を持った人材が、いろいろな企業に転職することで全体の底上げになるという考えです。
この人材の流動化を含める政策を、「三位一体の労働市場改革」として打ち出しているのです。
キャリアを考えてもらう
学び直しでスキルアップ
終身雇用はほとんどなくなりました。
国も企業も個人に対しては、「キャリアは自分で考えてね」という状況です。
採用する人事の立場から考えても、今の時代のキャリア形成は1社で勤め上げればよいわけではなく、転職や起業なども視野にいれる必要があると感じます。
また、前述した「キャリアを考えてもらう」という部分については、「相談役」が必要となります。
ほとんどの場合は、キャリアについてどう考えれば良いのか知らない人がほとんどだからです。
その相談役を担うのが、『国家資格キャリアコンサルタント』です。
三位一体の労働市場改革の中核を担う役割として、国は国家資格キャリアコンサルタントの10万人計画というものを掲げています。
国家資格キャリアコンサルタントに相談して、キャリアを考えるきっかけをつくり、転職してもらうというのがざっくりとした流れなのです。
ただ、僕が国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得するなかで実感したこととしては、キャリアについては考える要素が多すぎるということです。
これだけ難しい「キャリア」について、1人で悩んでも答えが出ないのは納得したのを覚えています。
このような国の政策から予測できる未来として、転職を繰り返すことが普通になることもそう遠くないのではと感じます。
現役人事が解説する日本の転職市場
転職市場全体についてお話しします。
人事として採用の仕事に関わっていても、転職者の立場のほうが強い「売り手市場」が続いていると感じます。
実際にほとんどの企業では、満足に採用できておらず常に人手不足の状況がずっと続いています。
リクルート就職みらい研究所の調べでは、採用で充足できた企業の割合は50%を割っています。
職種で偏りはあるものの、企業側の感覚としては転職する人は多いが、採用するのは難しいというところではないでしょうか。
実際に僕が人事として、採用活動をしていても1人採用するためにはとても多くの面接をこなさなければなりません。
転職する人はいろいろ選べる会社があるので、入社をすぐに決める必要はなく十分検討することができるからです。
求人はたくさんある
入れるのは1社だけどね
また、マイナビ社の調べによると、転職率は2016年と比較すると「2倍以上」と顕著に増えていることがわかります。
転職する主な理由は以下のようなものです。
給与が低い
人間関係が悪い
将来に不安がある
転職する人の背景としては、「このままで大丈夫なのか」という不安があります。
会社の外を見れば求人は豊富にあり、『ビズリーチ』などから週に何通かのスカウトメールが届くような状況です。
会社から直接スカウトが送れる仕組みを「ダイレクトスカウト」と言うのですが、今は人事の採用担当はほとんど使っています。
こうした会社から直接スカウトが届くようになったことも、転職が増えた背景にあります。
企業の採用が加熱したことで、以前よりも転職を考える「きっかけ」がふえているのです。
あの会社が・・・!
僕も週何通かは届くよ
ちなみに僕の自論ですが、キャリアは「鉢植えの植物」のようなものだと考えています。
大きくなったキャリアは、植え替えをしないと成長できなくなるからです。
会社の人事制度を作っているとよくわかるのですが、会社には様々な「上限」が存在します。
一定のポジションまで上がると、それより上に上がる人は一握りというのが現実です。
当たり前のことですが、会社に「部長」や「課長」は何人も必要ないからです。
そのため、同じ職場でずっと働いても、上の人が退職しない限り「役職」は空かないのです。
一方で、転職すれば「役職」が空いている会社や、急成長している会社を簡単に見つけることができます。
総務省の調べでは、「転職者」は328万人と2年連続の増加をしており、「転職希望者」は1007万人で7年連続で増加しています。
転職することが普通になりつつあることがわかります。
終身雇用の時代であれば、「年功序列」という良い仕組みが機能していたので「待つ」ことができました。
しかし前述したように、今「待つ」ことは年齢を重ねるだけというリスクを伴うことになるのです。
僕も含めた人事は、自らが転職者でもあるため、こうした「待ちのリスク」についても把握しています。
マイナビ社の調べでは転職を繰り返す人に対して、ポジティブなイメージを抱く会社も増えていることがわかっています。
転職を繰り返すことは「ジョブホッパー」ではなく、「キャリアビルダー」として捉えられる場合も増えているのです。
目的を持ち転職を繰り返すことは有意義なことで、世の中も理解をしはじめたというところだと感じています。
採用する立場で考えてみると、これからは豊富な経験を積んだ人だけが、どんどん市場価値を高めていくようになると考えています。
【体験談】転職を繰り返した僕が考える末路
ここまでは、転職を繰り返す人と周りの環境についてお話してきました。
転職を繰り返すのは、本人だけに問題があるというわけではありません。また転職を繰り返すことについては会社側の評価も変わってきているというのが現状です。
ここからは、実際に僕が8回の転職を繰り返した経験をもとに得た知見をお伝えします。
多くの人がそうだと思いますが、誰もが望んで転職を繰り返しているわけではありません。
望んで転職8回も経験した訳ではない
8回転職して感じた後悔とデメリット
転職を繰り返して得ることができたもの
望んで転職8回も経験した訳ではない
僕の経歴は、8回の転職を繰り返した立派な「ジョブホッパー」です。
結論から言うと新卒だった20歳の時には、こんなに転職をすることは考えていませんでした。
20代の頃は転職する必要がない「安定した大企業」に勤務している人たちが、羨ましくて仕方なかったのです。
ただ僕の転職は、いわゆる「逃げの転職」は最初の1度だけです。
逃げの転職とは、現状に不満を抱き「どこか別のところ」に行きたい、という動機がある転職のことをいいます。
失敗するやつだ
その通り実際失敗するよ
最初の1回を除く残り7回の転職は、キャリアアップを目指した「攻めの転職」を繰り返してきました。
結果的に、天職といえる「人事」の仕事にたどり着けた上に、新卒時の350万円だった年収が今では2倍の「700万円」にすることができています。
しかも残業はほとんどないホワイト企業といえる環境で、こうしたブログやスキルアップに時間を使うことができるようになりました。
僕の経験から言えることは、転職を8回もするつもりはなかったものの、結果的に満足のいく状態になれたので後悔はないということです。
人によって成功の基準は異なりますが、僕は自分の「価値観に合った仕事」に巡り合うことが転職の1つの成功だと確信しています。
給料アップは僕の場合、後からついてきたように思います。
8回の転職全てお伝えしてもいいのですが、やや冗長になるのでポイントや共通点だけわかりやすくお伝えしていきます。
経験した主な職種についてです。
グラフィックデザイナー
リテール営業(個人営業)
人事(新卒・中途採用、制度企画)
ここまでガラッと、キャリアチェンジしている人事はかなり希少な存在です。
実際『ビズリーチ』などのスカウトメッセージにも、「多様で豊富な経験を魅力に感じた」という内容が多いです。
グラフィックデザイナー
最初のキャリアである「グラフィックデザイナー」という職種は、あまり聞いたことがないかもしれませんが、紙の媒体でデザインをする仕事です。
ポスターや書籍、商品のパッケージなど、平面デザインを制作する職種です。クライアントからの内容を基に、より美しく、より印象的にデザインするのがおもな役割です。
マイナビ│クリエイティブ職の職種図鑑
僕がグラフィックデザイナーからキャリアチェンジした理由は、「割が合わない」というものでした。
クリエイティブ職に終わりはない
上司の感覚で仕事の質が決まる
常に締め切りが迫っている
デザインなどクリエイティブな仕事には共通していることとして、「終わりがない」ということです。
現実的には締め切りなどがあるので終わるのですが、際限なく作業が続くことと延々とやり直しをする毎日に僕は疲れていました。
終わらない
ゴールのないマラソンだよ
デザインは全ての仕事が「感覚」や「センス」で決まる世界です。新卒だった僕に磨かれた感覚やセンスはなく、上司の判断を仰ぐしかないのです。
自分でコントロールできない仕事というのは、想像以上にストレスが溜まります。
さらに毎日終電で帰るような生活で、晩ごはん付きの14時間拘束というハードな環境でした。
当時僕は新卒の立場ではあったものの、「割に合わない」と感じて営業職にキャリアを変えたのです。
ただ今の僕があるのは、何のスキルもない新卒だった僕を採用してくれたこの会社のおかげです。
リテール営業(個人営業)
グラフィックデザイナーを辞めた僕は、何も知らない「リテール営業」という個人向けの営業職にキャリアチェンジしました。
主に取り扱っていたのは、金融商品である「保険」です。
営業職も保険も知らないのに、ブラック企業の甘い罠にひっかかってしまったのです。
「給料がたくさん稼げる」、「自由な時間が増える」といった、誇大広告のキャッチコピーで転職してしまったのは今でも反省しています。
さて、実際に営業職となった僕は、はじめの1年は右往左往しているばかりで、何も成果を出すことはできていませんでした。
しかし当時、お金もなく辞めることがなかった僕はとにかく必死に営業のノウハウを吸収していきます。
結果的に2年目以降は、少しずつ成果を出せるようになっていき、営業のトップ成績を出すことができました。
え、すごい!
ここの踏ん張りは大きかった
おかげで管理職も経験して、部下のマネジメントも経験することができたのです。
当時は最大60人の組織をマネジメントしていました。
しかし、営業職の辛いところは毎日数字に追われるというプレッシャーがあることです。
コツコツと成績という数字を積み上げても、毎月リセットされるのでどこか虚しさを感じていました。
また「激詰め」という言葉が営業の世界にはあるのですが、とにかく数字が足りないと激しく怒られます。
僕は営業は向いている一方で、数字と向き合う不安定な仕事に対して将来の不安を感じていました。
結果的に営業職で頑張っていた会社は倒産して幕を閉じます。
文字通り「無職」を経験した僕は、数字とは切り離された安定したキャリアを目指したいと考えるようになっていました。
当時は漠然とですが「事務職」でコツコツとスキルアップしたいと思っていました。
会社が倒産する時に、従業員のために献身的に働く人事に興味をもったので、次の会社では人事にキャリアチェンジすることになるのです。
倒産という形で営業を辞めることになりましたが、倒産があったおかげで現職である「人事」にたどり着けました。
人事(新卒・中途採用、制度企画)
現職の「人事」という仕事は気に入っています。
なぜなら、答えがなく面白い仕事だからです。
人事の役割は、一般的に言うと経営と現場の「橋渡し役」といったところになります。
仕事内容としては人を採用したり、人事制度という会社の仕組みをつくることです。
経営者と一緒に仕事をする機会が多く、会社の深い事情まで知ることができます。
会社が求めている人事の役割は、人や会社のパフォーマンスを最大にすることです。
ある意味「会社研究」が人事の役割かもしれません。
そして、人事の仕事をしているといろんな疑問や興味が湧いてきます。
会社というのは何なのか
仕事というものが何なのか
人とは何なのか
お気づきかもしれませんが、この役割は「自分」のキャリアや仕事を探求することにも繋がります。
僕はこうして15年間「会社」と「仕事」と「人」について研究をし続けてきたのです。
いつの間にか、人事としての仕事のコンセプトは「いい会社をつくる」ということになりました。
結果的に経営のことをよく知りたいと思って、経営学修士である『MBA』の学位を修得したり、仕事と人について知りたいと思い『キャリアコンサルタント』の資格をとりました。
こうして極めたいというジャンルで仕事ができるのは天職だと感じています。
転職を繰り返したからこそ、自己分析の重要性を感じて、何度も自己分析を繰り返してきました。
そこから見えた価値観から「人事」という職種を選ぶことができたのです。
8回転職して感じた後悔とデメリット
正直に言います、転職は後悔の連続です。
僕は結果的に人事という自分の気に入った仕事を見つけることができましたが、それまでは後悔と苦難の連続でした。
お気に入りの仕事にたどり着けたのは、人一倍の努力以外のなにものでもありません。
まず僕が転職で感じた後悔には、「前職のほうが良かった」というものが多いです。
転職はしてみないとわからないというのが僕の自論ですが、本当に面接だけで見抜くことは不可能なのです。
会社の文化が合わない
人間関係に問題がある
仕事内容が想定外だった
あらゆる「想定外」を乗り越えてはじめて転職先に定着することができるのです。
そのため、転職してしばらくの期間だいたい半年から1年程度は、「前職のほうがよかったな」と感じてしまうものなのです。
当然といえば当然なのですが、見知った顔がいる前職のほうが居心地が良かったのではと、美化されて錯覚してしまうからです。
前の会社に戻りたい
戻っても意味はないけどね
また、もう1つ僕が後悔しているのは、キャリアについて深く考えられていなかったということです。
これまでのキャリアを振り返ると、新卒の時に携わっていたグラフィックデザインの仕事は自分の価値観にも合っていました。
拘束時間は長く、ハードワークを強いられる仕事ではありましたが、クリエイティブな仕事だったので興味や関心は高かったのです。
しかし当時、周りに相談する人もいなく、転職メディアもまだ紙媒体が主流だったような時代なので自分の思い込みで動いてしまったのです。
デザイン会社の社長や周りの人たちは、上京して身寄りのない僕を心配して止めてくれたのを今でも覚えています。
「あの時冷静になって転職をよく考えていたら」と、後悔したのは1度や2度ではありません。
結局その後、人事になるまでの3年近くは営業職で右往左往してしまっています。
そして、転職を繰り返すのが最後にデメリットだと感じたこととして、履歴書と職務経歴書の作成がとても面倒だということです。
経歴が長くなればその分、履歴書と職務経歴書も当然長くなります。
僕は履歴書と職務経歴書を全部合わせて8枚くらいです。かなりの大ボリュームになってしまうので、大抵の面接官は読んでいません。
面接では「8回の転職」について1社1社、説明していく必要があるので、伝えることに多くの労力を要します。
転職経験を重ねる中で得た知見として、自分の転職理由について、好意的な関心を示す会社は内定を出す傾向があることもわかりました。
一方で転職理由についてネガティブな反応を示す会社は、どんな説明をしても不合格になることもわかりました。
こうした何度も面接を繰り返す「修行」を積んだおかげで、自分の「転職ストーリー」を整理することができたのも事実です。
そのため今ではスラスラと、自分のキャリアの要点をまとめて伝えることができるようになっています。
魅力的に映るポイントも、転職経験を積んだおかげで自分で理解できたので、今では転職回数を武器にしています。
そんな僕にとっての面接はいつの間にか、自分に市場価値はあるのかを確認する「答え合わせ」のような場になっていました。
転職を繰り返して得ることができたもの
転職を繰り返して得ることができたものは「ポータブルスキル」です。
ポータブルスキルというのは持ち運びできるスキルという意味で、どこでも使えるスキルのことです。
厚生労働省ではポータブルスキルを3つの要素に定義しています。
仕事の専門性
仕事のし方
人との関わり方
ポータブルスキルの要素は「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」において、9要素あります。【仕事のし方】は仕事における前工程から後工程のどこが得意かをみており、【人との関わり方】はマネジメントだけでなく、経営層や、上司、お客様など全方向の対人スキルをみています。
厚生労働省│人材開発
自分にはポータブルスキルがあるのかわからないという場合は、厚生労働省のサイト内に『ポータブルスキル見える化ツール』というものもあるので、参考にしてみるのもいいと思います。
1つの会社しか、知らない人と比べて僕は8倍違う会社を知ることができました。
経験が浅い20代の頃には気づくことができなかったのですが、転職を繰り返すことで、どこにでも通用する市場価値が高いスキルがあることを知りました。
僕が身につけた、どこにでも通用する市場価値の高いポータブルには以下のようなものがあります。
図解やわかりやすい資料づくり
誰とでも協力できる対人能力
情報にアクセスする調べる能力
これらのポータブルスキルは、現在の仕事である人事以外でも応用可能ですので仮に人事じゃなくなったとしても一生使えます。
僕の場合は、最初にデザインの仕事で「わかりやすさ」を意識することができたことが幸運でした。
おかげで日本一「パワーポイント」が上手、と言えるまで自信を持つことができています。
すごいね!
これは本当に自信あるよ
そして20代のうちに、営業職を経験したおかげであらゆる世代とのコミュニケーションが苦手ではなくなりました。
結果的にどんな職場環境でも、トラブルを起こさず人付き合いができています。
また経営学としてMBAを修めたことで、正しい情報や知識にアクセスする力がつきました。
世の中の経営コンサルタントが調査するレベルであれば、十分できる自信があります。
こうして身についたポータブルスキルを並べてみると、転職を繰り返すことも悪くないと感じます。
また、最大の収穫は「人事」というキャリアです。
ポータブルスキルは持ち運ぶことができるスキルですが、人事のキャリアはどんな業種や業界にも「渡り歩く」ことができるのです。
会社である以上「人」についての仕事、つまり人事は必須のポジションです。
そして業種や業界が変わっても、基本的には人事の仕事は大きく変わりません。
そのため、ビズリーチでスカウトメールを送ってくれる会社は多岐に渡ります。
エネルギー関連の上場企業
教育関連のスタートアップ
不動産関連の老舗企業
昔は転職先に困っていたこともありますが、今は僕が会社を選ぶ立場です。
僕が転職を繰り返して手に入れたものは、「渡り歩く力」なのかもしれません。
会社もいつかは倒産するので、結局のところ重要になるのはサバイバルできる自分の力ということだと実感しています。
【検証】転職を繰り返すとどうなるのか
ここまでは、僕が転職を繰り返してきた実体験についてお話ししてきました。
結果的には良かったと言える状況ですが、最初から計画したわけでも、予測できたわけでもありません。
ここからは、転職を繰り返すとどうなるのか、ということを客観的なデータをもとにお伝えします。
多くの人が「悲惨な未来」が待っているような、悲観的なイメージを持っていますが、はたして本当にそうなのでしょうか。
本当に生涯年収は下がるのか?
本当に選考が厳しくなるのか?
キャリアアップはできないのか?
【年収公開】年収は下がるのか?
はじめに転職を繰り返す中で、一番心配な「年収」についてです。
終身雇用の時代は年功序列で、在籍年数が長いほど年収があがりました。
しかし現代では通用しなくなっており、年功序列制度が多くの企業で見直されています。
年齢という理不尽な理由で賃金や担当業務が決まってしまうのが許せないのでしょう。来年をめどに人事関連制度を全面的に見直すつもりで、現在、検討を進めています(建設・人事担当役員)
東洋経済|経営
実際に僕が人事制度の改革を担当する会社では、「年功序列的な要素を見直したい」という経営者からの要望が強いです。
なぜ、経営者は年功序列を変えたいのかというと、若年層の働くモチベーションにはならないからです。
そもそも僕たちのように年金がアテにならないような現役世代は、退職金や将来貰えるものにあまり期待をしていません。
期待できない
ほとんど貰えないよね
では、本当に世の中で言われているように転職を繰り返すと、年収はどんどん下がってしまうのでしょうか。
実際に、僕のこれまでの年収の推移を公開します。
僕は転職時に年収を下げて転職したことがあります。それは他の条件とのバランスで調整したためです。
年収が上がった転職の場合は、交渉できても「50万円」程度が上限でした。
一方で全体を眺めて見ればわかると思いますが、最終的には新卒時と比べて2倍まで増えています。
僕は8回転職をしましたが、年収は下がりませんでした。
リクルート社の調べでは、転職後に年収が10%以上、上がった割合は「35%」となっています。
500万円の年収であれば50万円で、僕の経験ともおおよそ一致します。
また、ライボ社の調べによると、年収が多いほど「転職回数が多い」ことがわかっています。
数は僕のように多くはありませんが、年収1000万円以上の人は「3.69回」と約4回近くなっています。
役職では部長レベルは4.42回と、比較的多い転職回数を経験していることがわかります。
僕が調査した中で、「転職すると年収が下がってしまう」という根拠の多くは、退職金について言及していました。
もらえるのかな
会社が存続していればね
退職金は勤続年数で増えていくので、転職のたびにリセットされれば当然目減りします。
これも終身雇用の時代であれば問題ないですが、退職金は1社に長く務める必要性が出てきます。
企業の平均寿命は「23年」と少しずつ短くなっている現代においては、自分の定年前に会社が倒産する可能性はあるので、それなりのリスクを抱えることになります。
僕は退職金を目当てに転職をしたことはなく、キャリアをどのように積み上げられるかという観点で転職しています。
個人の価値観によるところが大きいですが、実際に働いている時期にもらえる年収は、転職を経験しているほうが高いという根拠も存在しますので参考にしてください。
より若年で転職したほうが長期的に年収の増加分を多くするか,もしくは減少分を少なくすることが確認できた。
リクルート│転職が賃金に与える短期的・長期的効果
本当に選考が厳しくなるのか?
僕は人事として15年以上採用に携わっています。
その経験から、転職を繰り返すことが「選考」にどのような影響をあたえるのかをお伝えします。
結論として、転職回数の多さは選考時にマイナスの印象を与え厳しくなると言わざるを得ません。
転職回数にもよりますが、目に見えてわかりやすい「リスク」として認識するからです。
ちなみにリクルート社の調べでは、会社が転職回数を気にする回数は「3回」が最多になっています。
僕が選考をする立場で、多くの転職回数を経験した求職者に対する印象は、以下のようなものです。
また辞めてしまうのではないか
この人自身に問題があるのではないか
詳細に理解して分析するのが大変
多くの場合、人事に採用の決定権はありません。あくまでも書類選考か、1次面接や2次面接のいずれかを担当するだけです。
つまり最終的な決定権は現場にあります。
現場が採用する以上人事としては、「変な人」を選考通過させるわけにはいかないのです。
僕自身が求職者として8回の転職を経験しているので、自分だけに問題があるわけではないと理解はしています。
しかし多くの人事はそこまで転職経験があるわけではなく、「求職者自身に問題があるのでは」と疑ってしまうものなのです。
「モンスター社員」の可能性を秘めた人は、絶対に採用させたくないという、人事としての心理が働くからです。
「モンスター社員」とは、職場での勤務態度や言動などに、著しい問題がある社員のことです。業務命令に従わなかったり、セクハラやパワハラを繰り返したりなど、さまざまなタイプのモンスター社員がいます。
パーソル│コラム
立場的に仕方ないよね
なかなか見分けるのが難しいよ
一方で、僕が面接で何をチェックしているかというと、主に「経験と実績」です。
ビズリーチ社の調べでも、面接でチェックする内容の1位に「これまでの経験や実績」の項目があがっています。
スペシャリストの採用になると、転職回数の制限などという会社側の「わがまま」を言っている余裕はありません。
実際の現場では「しっかりと仕事ができるかどうか」という、一点を中心に確認していくことがほとんどです。
転職回数が書類選考上で与える悪影響は大きいですが、実績や経験が転職回数の多さと比例して増えていることが伝わればその後の選考はスムーズです。
僕自身が求職者として書類選考通過後に、面接を受けていた時「転職の回数を重ねるたびに強くなっているね」とポジティブな印象を持ってもらえるまでになっていました。
ここでお伝えしたい点としては、長く勤務した経験は評価の対象にならないということです。
少し極端な言い方ですが、人事は経験と実績がない人は評価しません。
大手の看板のもとで長く仕事をしていたとしても、「その人が、何ができるのか」という点しか見ていないのです。
僕は選考時に1社に20年以上勤めていたような人を選考する際には、今まで転職を考えるようなきっかけが無かったのだろうかといった疑問が生まれてしまいます。
何度も言いますが、人事や会社が評価するのは経験と実績です。
転職回数で不利になるのは書類選考くらいなので、面接まで進めば経験と実績を評価されている状態です。
その場合は、転職回数をポジティブに捉えられていると考えてよいです。
キャリアアップはできないのか?
キャリアアップできないのかという疑問は、会社の経営に近い人事の立場からお伝えします。
キャリアアップとは能力や市場価値が、過去の自分よりも向上しているということをいいます。
僕の結論としては、1社だけではキャリアアップしたと客観的に伝えることは難しいということです。
数年で転職を繰り返すという前提で考えると、大きなプロジェクトや役割を担うことが少ないからです。
大雑把なイメージにはなりますが、僕がこれまで見てきた会社が大きな仕事を任せる流れです。
1年目に仕事に慣れ周囲と関係を築く
2年目に自分なりの価値を発揮できる
3年目に信頼して大きな仕事を任せる
会社としては、歯車の重要な部分にいきなり新人を組み込むことはリスクがあるので避けます。
定着するか、周りと関係がうまくいくかなど様々な様子見期間が必ずあります。
人事の肌感覚としては、実績も出して、周囲ともうまく関係を築けている3年目あたりから、会社の歯車の1つとして本格的に組み込まれていくように考えています。
そのようなことは、一般論として他の人事や会社も僕と同じように理解をしています。
実際に過去の選考で、「1年で大きな実績を出した」という求職者がいたのですが、当時選考していた担当者は「そんなに重要なプロジェクトを1年で任せる会社はない」と言っていました。
風呂敷広げすぎたね
採用やってると多いよ
一方で、僕のように転職回数が多い場合は1社だけの経験ではなく、全ての会社の経験をつなげることでキャリアアップしてきたと伝えることが可能です。
というよりは、それ以外にアピールする方法はありません。
1社での経験はそこまで大きなものではなくとも、実績を積み上げていれば少しずつ転職でキャリアアップしていることが伝わります。
ただし、職種を変えている場合はアピールするための難易度がグッと上がることを覚えておいてください。あくまでも同じ職種の転職を繰り返した場合です。
また、キャリアアップで重要なことは「前に進む努力をしている」ということです。
結局のところキャリアアップ、つまり能力や市場価値を高められるかは自分次第です。
僕の場合は人事としての経験を積むだけではただの「事務員」で市場価値が上がらないと感じていました。
そのため、経営学であるMBAを300万円以上かけて修得しましたし、さらに国家資格キャリアコンサルタントもとりました。
意識していたのは、転職市場で勝ち抜ける市場価値です。
会社で経験は積むことができるかもしれませんが、インプットや体系的な学びは自分で取り入れていくしかありません。
会社の経験だけで能力や市場価値が上がると考えていること自体、受け身で危険な状態であると僕は考えます。
転職でキャリアアップするために大事なことは、「どんな経験や学びをすれば市場価値は上がるのか?」ということだと考えています。
決して優良企業に入社することではないので、ぜひ間違えないようにしておいてください。
転職を繰り返すジョブホッパーは悪いのか?
ここまでは転職を繰り返すとどうなるのか、ということをお話してきました。
僕が調べて感じるところとしては、終身雇用時代の価値観の影響でネガティブなイメージが残っている部分も多いと感じます。
事実としてごく一部の優良企業を除けば、今後のキャリアアップは海外のように「転職ありき」になります。
なぜかと言えば、会社が個人のキャリアを組み立てるための「予測」ができなくなったからです。
さて、ここからは転職を繰り返すジョブホッパーは本当に悪いのかという点をお伝えします。
人事が見てきたジョブホッパーの特徴
実力主義の業界や職種なら問題ない
理想を追う「青い鳥症候群」とは
人事が見てきたジョブホッパーの特徴
転職を繰り返すジョブホッパーになる原因は様々です。
転職を繰り返しているから、「堪え性がない」とか「計画性がない」といった、偏見を持つのはとても危険です。
ジョブホッパーの中に、計画性がない人もいるのは事実ですが、すべてがそうではないということです。
だいたいのパターンは以下のようなものです。
ブラック企業から抜け出せない
就職氷河期世代で仕事が少ない
逃げ転職を続けてしまっている
就職活動や転職活動において「学歴」の問題はいまだにあります。仮に大学を卒業できていない場合は、それだけで求人が減ってしまいます。
大学進学は家庭環境の問題なども関わるので、本人が選べたかどうかは一概に言えないのです。
実際に僕は家庭環境の影響で大学進学という選択肢はありませんでした。
「大卒以上」の意味を人事的な立場でお伝えすると、単純にフィルターです。応募が多い優良企業は条件としていることが多いです。
ようは会社の手間を減らしたいだけで、大卒以上でなければ成り立たない仕事など実際にはほとんどありません。
ただし、学歴不問など採用条件を下げた求人は、ブラック企業を引く確率を高めます。
こわいよ・・・
実際そうなんだよね
僕もそうだったのですが、ブラック企業からキャリアがスタートしてしまった場合、次のキャリアにも影響が出てしまいます。
教育をしないのでスキルアップしない
残業が多く自己投資する余裕がない
人間関係が悪くメンタルに影響がある
本当にこの状況にハマると、自分のことを考える余裕がなくなります。どこかで誰かがサポートしない限りずっとキャリアが浮上していかないのです。
僕もキャリアをスタートさせた新卒の時は、ただの専門学校卒という状態だったので上記のような苦労をしてきました。
努力して積み上げないとずっと苦しいまま、という現実に打ちのめされたこともありました。
ただ逆に考えれば、努力すればキャリアを挽回することができると考えることができるようになって大学院を卒業し経営学のMBAを修めてからはキャリアが好転していきました。
大変だったね!
限界を超えて努力した
一方で、「逃げ」の転職を繰り返してしまうジョブホッパーの場合は、一般的なイメージ通り若干問題があります。
リクルート社の調べでは、転職回数は年齢を重ねるにつれて増えていることがわかります。
年齢ごとの平均を上回ると「何か問題があるのでは」と人事としては勘ぐりたくなるものです。
僕は40代で8回経験しているので1%の存在です。
人事から見れば、回数だけなら逃げの転職を繰り返しているように見えてもおかしくはありません。
調査の中で見つかったジョブホッパーの意見には、面倒だから転職するという内容も多かったです。
長く勤めると責任が重くなるのと人間関係が面倒で嫌です。
Yahoo!知恵袋│職業とキャリア
飽きてくるし。
質問もできなくなります。
知らないことが許されなくなります。
面倒だから、嫌だからという個人的な理由で転職を繰り返していると、採用する企業が減ってしまいます。
楽なほうを選び続けると結局苦しくなる、ということを僕は社会人になってブラック企業で体験しました。
メンタルがきついときや、どうしようもない時は、逃げてもいいと思います。自分と健康が何よりも優先です。
しかし、どこかのタイミングで「面倒な問題」に向き合うことができないと、本当に転職を繰り返すだけのジョブホッパーになってしまうので注意が必要です。
人事として面接を経験する中で気付いた点は、転職を繰り返していても自分が「こうありたい」という姿を意識できている人はキャリアが積み上がっていることです。
「こうありたい」という理想がないと、面倒に向き合う意味も感じられず人は前を向きません。
もしあなたが、まだ「こうありたい」を意識できていないのであれば、少しずつでもわくわくする妄想をしていくことをおすすめします。
実力主義の業界や職種なら問題ない
転職回数そのものをほとんど気にしない業界や職種であれば、転職を繰り返していても問題ありません。
主に実力主義の業界や職種が、転職回数を気にしない傾向があります。
営業職関連
ITエンジニア関連
人手不足の職種
僕は上記のすべての職種の採用を経験したことがありますが、人手不足の職種以外は、転職回数ではなくその人の「能力」が重要でした。
書類選考から最終選考まで、一貫して「成果を出せるか」が問われるのです。
厳しい世界
そこが好きな人が多いよ
また、外資企業も日系企業に比べると転職に対する考え方が違うので、転職回数には寛容です。
その人は「何ができるのか」ということに焦点をあてているのです。
資本元の国によって差異はありますが、外資系企業は国内企業よりも転職回数を問題視しない傾向があります。アメリカ合衆国労働省の報告によるとアメリカの平均勤続年数は4.6年。一方で、日本の平均勤続年数は12.5年で、長年にわたって高い水準となっています。
JAC Recruitment│転職情報
海外では転職をしてキャリアアップをするということが普通なので、転職回数ではなくその人の実績を確認していきます。
これらの「転職回数を気にしない職種」について共通する部分として、「自分なりの働き方」を実現できる人たちなのではないかと考えます。
転職回数に制限があるような世界では、いかに会社に適応するかが重要になります。
その場合の決定権は会社側にあり、「自分なりの働き方」を実現することは難しくなります。
一方でITエンジニアなど、複数の会社で開発経験を積んだ人はスキルが高く、どれだけ転職しても採用する会社はなくなりません。
また、会社の心理として、優秀なITエンジニアを手放すということはしたくないのです。
そのため働き方はとにかく柔軟で、所属して結果を出してくれればいいという状態になります。
フルフレックス制度
フルリモート勤務
高い年収
フルフレックス制度というのは「定時」の概念がない働き方です。つまり何時に仕事をはじめてもよいし、いつ終わってもよいということです。
定時がないメリットはとても大きく、好きな時間に調整して自分のことができるので休みのように使えたりするのです。
また僕の知人はエンジニアとしてフルリモート勤務の会社に転職をしました。
入社初日から顔を合わさず自宅で仕事が始まるのです。
対人関係が苦手な人や、通勤時間が無駄だと感じている人にとってはまさに「自分なりの働き方」を実現しているといえる状況です。
さらに言えば、自分で使える時間が増えるので自己投資による学びや副業でのスキルアップ、他社の業務委託といった成長の機会を増やせます。
Forkwell社の調べでは、転職するごとに20万円から40万円ほど年収がアップしていることがわかります。
エンジニアとして働く人たちは、汎用的なプログラミング言語や需要の高いプログラミング言語を積極的に学びます。
自分の市場価値を高める必要があるからです。
エンジニアに限った話ではありませんが、どうやったら自分を高く売れるのかという視点は常に必要です。
理想を追う「青い鳥症候群」とは
転職を繰り返すジョブホッパーには、理想を追い続ける人がいます。
理想を追うことは良いことですが、現実を見ずに理想ばかり追い求めていると「青い鳥症候群」になります。
現実の自分や、取り巻く環境、待遇などを受け入れられず、自分にはもっと力があり、もっと能力を発揮できる場所があるはずだ、という考えを捨てられず、理想の職場を求めて転職を繰り返す人のことをメーテルリンクの童話「青い鳥」にちなんで「青い鳥症候群」と呼ぶことがあります。
厚生労働省|青い鳥症候群
現実を正しく認識できていないので、高望みをし続け転職を繰り返してしまいます。
僕も転職経験の少なかった、最初の転職は青い鳥症候群だったと思います。
人事の僕が考える青い鳥症候群の問題点は、「他責」と「受け身」です。
転職の動機は、自分はもっと活躍できるはずというものです。環境が悪いと思っています。
他責で仕事をすると、全てが受け身になります。
会社が悪いから
上司が悪いから
仕事が悪いから
自分が悪いという考えにはいたらず、環境に対して不満を抱き続けてしまうのです。
言い訳ばかり
人生にツッコミ役は必要
キャリアコンサルタントが使う言葉に「リフレクション(内省)」というものがあります。
自分の経験を振り返ることで、気づきを得て自分の成長に繋げていくのです。
人材育成におけるリフレクションとは「仕事経験から学びを見いだすために、自ら経験を振り返ること」を意味する言葉です。
Unipos|リフレクション
人は「自分」に意識が向かない限り、成長することはありません。
一方で自分に意識を向けるには、経験の中で体感していくしかないのです。
想像だけで自分を決めているのが青い鳥症候群です。
自分がどう「ありたいのか」がすべてなのに、すべて環境のせいにしてしまうことで、経験から気づきを得る機会がないのです。
人事を15年経験して、あらゆる人間を見てきた僕得た知見は「他者からのフィードバックがないと自分に気付けない」ということです。
ビジネスの場面においては、「より良い結果へ近づくように、相手の行動に対して評価を伝えること」として用いられるようになりました。
Unipos|フィードバックとは?
これまでお伝えしたように、転職を繰り返すことは悪いことではありません。
しかし理想ばかりを追い求めるだけで、何も積み上げる意識がないのであれば、転職を繰り返すたびに苦しくなるだけです。
青い鳥症候群になってしまわないように、周りの声には耳を傾けて、自分のありたい姿に意識を向けることをおすすめします。
転職を繰り返してキャリアを築く方法
ここまでは、転職を繰り返すジョブホッパーは悪いのかということについて整理してきました。
結論として、転職を繰り返すことは悪いことではありません。
しかし、目の前の問題から逃げ続けていると後で苦しくなってしまう可能性が高くなります。
ここからは最後の項目として、転職を繰り返してキャリアを築く方法をお伝えしていきます。
結論!重要なのは転職できる力
転職に重要なセルフブランディング
経験を選ぶという意識の重要性
結論!重要なのは転職できる力
僕が重要だと思うのは、「転職できる力」です。
身も蓋もないかもしれませんが、転職を繰り返したとしても会社が「採用したい」と思えればそれでいいのです。
転職回数を気にされるのは、強みや魅力が伝わっていないからです。
転職をする経験というのは、少なからずリスクをとって行動した証明です。
その回数や経験が多ければ、転職をしていない人よりも希少価値をアピールできる可能性が高くなります。
僕の人事という仕事は、転職回数を武器にすることができる好例です。
いろいろな会社の文化や経営者など、これまでに得てきた知見を持っている人事を経営者たちは知りたいし、迎え入れたいと考えます。
こうした、会社から雇用される力のことを「エンプロイアビリティ」と言います。
エンプロイアビリティは、労働市場価値を含んだ就業能力、即ち、労働市場における能力評価、能力開発目標の基準となる実践的な就業能力と捉えることができる。
厚生労働省|エンプロイアビリティ
エンプロイアビリティは、何か1つのスキルがあればいいというわけではありません。
協調性や人柄といった、一見わかりにくい要素まで含まれています。
ようは、会社が雇いたいと思える要素をまとめたものがエンプロイアビリティです。
転職を繰り返していく中で、経験や能力を増やしていくことはもちろん必要ですが、人柄や価値観といった目に見えないものも磨いていく必要があるのです。
採用してください!
頼まなくても声がかかるよ
ただし、倒産を経験した僕が感じていることは、将来的には会社に頼らず稼ぐことができるようになるべきだということです。
正直サラリーマンである限り、人生の自由度はそこまで高くありません。
毎日通勤時間で2、3時間消耗するような生活が、老後まで続くことになります。
自分が目指したい自由なライフスタイルがあるのであれば、いつかは自分の能力で稼げるようになる必要があるのです。
会社に雇われているサラリーマンのうちに、転職して経験を積み「自分の能力」で食べていけるようになるべきだと感じています。
そのために、できるだけ早い段階で転職を繰り返して、価値のある経験を重ねていきましょう。
転職にもリテラシー(知識や能力)があります。転職のリテラシーを上げるには転職をするしかありません。
そうすることでエンプロイアビリティを上げつつ、ポータブルスキルを身につけて転職する力が高くなっていくのです。
転職に重要なセルフブランディング
転職する力と似ていますが、自分をどう見せるかということはキャリアを築く上では重要です。
会社から「どう見られると市場価値が高いと感じるか?」を意識することを「セルフブランディング」といいます。
自分を魅力的に見せるということも重要ですが、それ以上に会社が何を求めているか理解を深めていくことが重要です。
セルフブランディングは、意識的に自分の「価値」を具現化することです。目指すキャリアを実現するために、自分が持っている経験スキル、強みや志向性などを企業側に伝え、認識される状態を作っておくことを指します。
リクルート│転職に有効なセルフブランディングは?
例え話ですが、ゲームなどで役立つ「レア」なアイテムは欲しくなります。
正直なところ、僕が行う採用活動の中でもその職種の中でレアな経験を積んだ人材は、魅力的に映り採用をしたくなるものです。
転職におけるセルフブランディングとはそのように、「自分ならではのもの」を増やしていくことです。
僕の人事としてのレア度を言うと、以下のようになります。
8回の転職であらゆる業界を知った
人事だけでなく営業等も知っている
MBAを修めて経営にも詳しい人事
転職を繰り返しているだけならただのジョブホッパーですが、転職ごとに違う経験を積み学びを深めてきたことがセルフブランディングにつながっています。
考え方の参考としてお伝えすると、人事なら「MBA」ではなく「社労士」の資格を取ったほうがブランディングになるのではないかと感じると思います。
僕もどちらをとるか、実際に悩みました。
しかし社労士の知識は重要ですが、社労士の扱う労務関連の業務はアウトソーシングしているケースがほとんどです。
つまり社労士持ちを採用しなくても、代替手段が会社にはあるということです。
そのため社労士は箔が付くくらいで「あったらいいな」と感じる資格でした。一方でMBAを持っている人事はそもそも周りにはいませんでした。
僕の仕事上のクライアントは誰かということを考えた時、多くの場合「経営者」だということに気づきました。
経営者が人事を採用するときに、経営のことについて詳しい人事がいたら採用したいと考えるのではないかと僕は想像しました。
結果的に『ビズリーチ』から届くスカウトメールの多くは、僕の人事としての経験とMBAをとった実力を評価しているものがほとんどです。
計画通り!
おかげで負ける気はしない
「キャリアの大三角形」というものをご存知でしょうか。人事業界では有名な藤原和博氏が提唱したキャリアの積み方です。
僕が、転職してキャリアを築くうえで大いに参考にさせていただきました。
1つ目のキャリアと2つ目のキャリアで土台をつくり、3つ目で大きく異なるキャリアを選択して「レアカードを目指す」という考え方です。
僕は営業から人事というキャリアで、2つ目までを踏んでいます。
1万時間という考え方で言うと、ぼくがこれからやろうとしているのは、「マーケティング」を学び発信力を高めることです。
発信、自分というと何ができるかということを、世の中に知らせていくことで稼げるようになるからです。
営業・人事・マーケティングそれぞれが影響し合って、独立しても稼ぐことができる下地を40代で築いていきます。
そして50代以降は自分の好きなように働きます。
こうした自分の「ありたい姿」を実現できるかどうかはセルフブランディングを意識して日々過ごしているかが重要になっていくのです。
経験を選ぶという意識の重要性
最後にお伝えするのは「ありたい姿」の重要性です。
転職を繰り返しても、ありたい姿がなければなかなか前に進まないものです。
僕が転職を重ねるうえで重要だと思うものは、ありたい姿に近づくための自分の「価値観」を知ることです。
自分の価値観とズレた環境や仕事をしていると、ストレスが溜まりやすくやる気も起こりません。
だからこそ、自分の価値観にあった経験を選ぶことがキャリアを築くうえで重要になります。
自分に合う場所
誰にでも合う場所はあるよ
僕が個人的に意識していることは、会社に長く勤めることを目標にしてはいけないということです。
長く勤めることをゴールにしてしまうと、自分のありたい姿が見えなくなるからです。
僕たちには誰でも、内側から湧くやる気があります。それは「内発的動機づけ」といいます。
内発的動機付けとは内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態のこと。動機づけの要因は金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指す。
リクルート│内発的動機付けとは
この内発的動機づけというものは、前述した「ありたい姿」がないと生まれにくいものです。
例えるなら、ありたい姿がある状態は、ゴムのようなもので自分が目標に引っ張られているような状態です。
一方でありたい姿がない状態は、ゴムがたるんでいてどこにも引っ張られていない状態をイメージするとわかりやすいと思います。
内発的動機づけの反対に外発的動機づけというものがあるのですが、外発的動機づけは金銭など自分の外から「与えられる」やる気の要素です。
外発的動機付けには賞罰など、誰にも共通でシンプルに動機に繋がりやすいというメリットがあります。デメリットとしては、例えば金銭的な報酬などは受け取ることに慣れやすく、継続的に上昇させていくことも難しいため動機が長続きしづらいということです。
リクルート│外発的動機付けとは
誰かから与えられたものは、影響力が弱くやる気は長続きしません。
転職をする際に気をつけなければならないのは、「今より条件のいいところ」を探す人が多いことですが、この「条件」はほとんどが外発的動機づけになります。
僕が転職のアドバイスをしている人には、「求人票の条件欄には、やりがいになるものは書いていない」と伝えています。
内発的動機づけにつながる、やりがいとなるものは「価値観に合った仕事」や「人間関係」といった目に見えにくいものが多いのです。
そのため、求人票や条件だけで決めることはせず、自分の「ありたい」と照らし合わせて進みたい方向に進めるかどうかを見極めることがミスマッチを減らすポイントになります。
転職を繰り返しても悲惨にはならない
最後まで読んでいただきありがとうございました。
どうもです!
ありがとうございます!
2万字近い大ボリュームの記事を最後まで読んでいただいたあなたは、もう転職を繰り返すことに迷わなくてすみます。
なぜなら、転職をするときに「どのように考えればよいか」が身についたからです。
僕も転職を繰り返したことでようやくお伝えしてきた考え方にたどり着いたので、焦らずにじっくり経験を増やしていくことをおすすめします。
記事をまとめます。
転職を繰り返すのは悪いことではない
逃げの転職は繰り返さないほうがいい
ありたい姿と内発的動機づけが重要
8回転職した僕が気づいたことは、転職をすることで自分と向き合った数が多い人のほうが、より自分の人生を歩めるのではないかということです。
生き方はひとそれぞれですが、限りある人生の中で転職を繰り返して、自分の可能性を高め自由に生きることができたらそれは幸せな人生だと僕は考えます。
ジョブホッパーという言葉が憧れられるようになるように、僕はこれからも転職を繰り返していこうと思います。
この記事があなたの役にたてていれば嬉しいです。