葬儀屋ってどんな仕事なのかな
やめとけって言われたことあるよ
葬儀屋はやめておいたほうがいいと、止められることがあります。
仕事の印象が悪かったり、想像以上に大変な仕事で続けられないからです。
僕は9ヶ月で辞めたことがある
普段生活をしていると、あまり触れることがない葬儀屋ですが転職先の選択肢としては実際どうなのでしょうか。
記事でお伝えする結論を先にお伝えすると、業界自体は悪くなく選択肢としてはありということです。
- 葬儀屋は給料に反映されないストレスがあるからやめとけ
- ホスピタリティ産業に興味があるなら選択肢になる
- 葬儀業界自体は有望!狙うなら地場に根差した老舗や大手
ただ、誰もが経験しますが葬儀とは特殊なライフイベントです。
そのため、仕事も特殊であることが多く、普通の仕事では受けないようなストレスを受けることがあるのです。
この記事を書いている僕は、葬儀屋の実態を知りを9ヶ月でやめた経験があります。
また人事を15年経験し、国家資格キャリアコンサルタントとMBAを持った言ってみれば「転職のプロ」です。
転職という観点でアドバイスしていきます。
記事を読んでいただくことで、葬儀屋をやめておいた方がいいかどうか自分で判断できるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください!
葬儀屋はやめとけといわれる3つの理由
まずはじめに、葬儀屋はやめとけと言われる理由についてまとめてお伝えします。
やめておけといわれる主なポイントは、不規則な勤務にあります。
その他にも葬儀屋ならではの理由があるので、自分に合うかどうかをチェックしてください。
- 24時間営業!労働時間が不規則になる
- メンタルにダメージを受ける
- 覚えることが多い割に給料が低い
24時間営業!労働時間が不規則になる
葬儀屋の仕事は、人が「亡くなった時」から発生します。
人が亡くなるタイミングはわからないので、葬儀屋の仕事は24時間営業であることが基本です。
もちろん労働基準法もあるので、24時間ずっと仕事をするわけではありません。
日勤と夜勤に分かれていたり、自宅待機して誰かが亡くなる連絡を待つことになります。
なんか気持ちが休まらない
実際夜勤は眠れないよ
もうお気づきかもしれませんが、葬儀の業務は予測が難しく勤務が不規則になります。
結果的に長時間労働や休日出勤が必要になったりします。
特に小さな葬儀屋であれば、人手不足により1人で何役も兼務することになるからです。
葬儀業界が深刻な人手不足に直面し、道内各地で葬儀場の運営や霊きゅう車の運行などに支障が生じている。
引用:北海道新聞|葬儀延期が続出… 道内で足りぬ「おくりびと」
経済産業省の調べでは葬儀業界の売上は横ばいか、やや増加していることがわかります。
15年人事をやっていますが、積極的に葬儀業界を目指している人に会ったことがありません。
僕自身も葬儀業界に抵抗があったことは事実です。
転職エージェント経由で葬儀会社に入社したのですが、担当から「葬儀とか抵抗ありませんか?」と最初に確認されたほどです。
どの業界も人手不足ですが、偏見を持たれやすく印象があまりいいとは言えない葬儀業界は人手不足に陥りがちです。
結果的に不規則な時間で働かざるをえない状況になってしまう可能性があります。
メンタルにダメージを受ける
葬儀屋はやめとけと言われる理由として、メンタル的にきつい場面が多いことがあります。
葬儀屋に勤めている以上、「ご遺体」に関わることがあるからです。
おそらく日常生活で、ご遺体に触れる機会はないと思います。
お葬式した時くらいしか…
まあ日常ではあまりないよね
お葬式の時に親族のご遺体を目にしたことがある人はいるかもしれませんが、他人のご遺体を見る機会はそもそもありません。
葬儀屋はそういった「非日常」が「日常」になるのです。
仕事なので当たり前かもしれませんが、毎日お葬式や、ご遺体の移送などをすることになります。
やってみないとわからないと思いますが、相当メンタルにダメージを受ける可能性があります。
僕はトラウマ(PTSD)になるほどきついお仕事でした。
- 亡くなられたご遺族の状況
- ご遺体を直接触る実務
- 事件や事故のご遺体を目にする
正直今でもトラウマを抱えています。
僕が入社した葬儀屋は老舗で、長年勤めているベテランばかりの会社でした。
どんなケースでも冷静に対処していたのを、尊敬の眼差しで見ていたのを覚えています。
葬儀屋は仕事の特性上あまりメディアに実態がでませんが、実際にやってみると僕みたいにメンタルにダメージを受けてしまうかもしれません。
覚えることが多い割に給料が低い
葬儀屋は給料が低い傾向があります。
記事でお伝えしているように、精神的な負担や業界のイメージなどは給料に反映されません。
一般的なサービス業と大きな差がない年収は、割が合わない仕事と言えそうです。
葬儀屋の平均年収は厚生労働省の調べでは、平均年収が約380万円となっています。
厚生労働省が調査した「令和4年度賃金構造基本統計調査」によると、葬儀屋の平均年収は、382万円程です。
引用:LDT|葬儀屋(葬儀社)の平均年収は約400万円
また、openwork社が調べた冠婚葬祭業界の年収も、上記の値に近いのである程度信ぴょう性がある数字と言えそうです。
国税庁の調べで日本人の平均年収は461万円ということがわかりますので、約80万円下回る計算です。
結構低くない?
葬儀業界はそこまで年収が高くないよ
年収がサービス業と大きく変わらないのに、葬儀屋は覚えることが非常に多く一人前になるまで数年かかります。
- 宗派による対応の違い
- 葬式の進行方法
- ご遺体の扱い方
特に宗派による対応の違いは、ミスが許されないのでかなり慎重に対応しなければなりません。
ベテラン社員の葬祭ディレクターはお坊さんかな?と思うほど、宗派や宗教の作法に詳しく驚きました。
実務でお坊さんとのやりとりも多くなり、学んだり学習する機会が多いのが葬儀業界の特殊なところです。
また宗教学を大学で学んだ人が入社することもあり、僕は新卒採用担当として大学の合同説明会に行ったこともあります。
というか、そのくらいニッチで深い知識がないと実務ができないにも関わらず、平均年収が一般的なサービス業と変わらないのはどうかと思います。
葬儀屋に向いていない人の特徴
ここまでは、葬儀屋は「やめとけ」と言われている主な理由を3点お伝えしました。
葬儀業界は「人が亡くなる」というライフイベントを扱う仕事なので、一般的な仕事とは異なるリスクがあることに注意しましょう。
さて、ここからはそんな葬儀屋に向いていない人の特徴をまとめてお話します。
僕は向いていない側の人間だったので、リアルな声を届けられるはずです。
- HSPや感情移入してしまう人
- 心霊現象など怖いと感じる人
- 潔癖症で衛生面が気になる人
HSPや感情移入してしまう人
葬儀屋の仕事はあたりまえですが、人が亡くなった時の仕事が中心です。
そのため、いくら他人のことでもメンタルに影響を受けずにはいられないのが現実です。
連日「誰かが亡くなる場面」と向き合う葬儀屋という仕事は、想像以上にメンタルへのダメージがあります。
本来「普通の生活」をしていれば、葬儀は一生涯で数回しか経験しません。
おじいちゃんの時だけだなー
親族以外はほとんど行く機会はないよね
しかし、それが毎日となるとどうしても感情が揺さぶられてしまい家に帰っても忘れられないことがあるのです。
僕は「HSP」というとても繊細な気質を持っています。
HSPは人口の約20%ほどいるといわれているので、そこまで珍しくはないタイプです。
「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとって、「エイチ・エス・ピー」と読みます。SNSなどでは「繊細さん」とも呼ばれています。
引用:人事の図書館|HSPとは
日常生活でも、人が何を考えているか気になったり、感情を読むことに長けているので人が多いところが苦手です。
そんなHSP気質な僕は、葬儀屋のような感情が激しく動く職場には向いていなかったのです。
- 遺族の人の気持ちを考えてしまう
- 亡くなった人のことを考えてしまう
- 自分の家族のことが心配になる
感情移入してしまい気分が滅入ってしまうこともありますが、1番きつかったのは「家族のもしもを考える」ことでした。
週末家族と楽しく過ごしても、月曜仕事に向かうだけでネガティブな感情が出てきてしまうようになっていました。
本来考えなくてもいいようなことを、仕事がトリガーとなって考えてしまうのです。
僕のように感情移入してしまいがちだったり、HSPだと自覚している人は葬儀屋は避けたほうがいいかもしれません。
心霊現象など怖いと感じる人
なんとなく想像できるかもしれませんが、人が亡くなることに触れる仕事なので、どうしても「心霊現象」の話はつきものです。
実際に僕も面接で「霊感あるほうですか?」とか、「遺体は大丈夫ですか?」と社長や役員から聞かれました。
そして現場で起きた、そういったエピソードも冗談半分で聞かされたのを覚えています。
「まず最初の面接で聞かれたのが、『霊感ありますか?』。冗談みたいだけど、見えちゃってる人とか、そういう気配に敏感だと仕事にならないからって言われて、『ないです』って答えたら、次の質問が『死体、大丈夫ですか?』。
引用:文春オンライン|「面接では“霊感ありますか?”と聞かれるけど…」
おばけはこわいから厳しい…
僕も苦手だよ
僕はそういった体験はありませんが、面接では内定をもらうために「大丈夫です」と答えるしかありません。
そもそもご遺体などは実際に体験しない限り、自分がどう感じるかわからないと思ったのも正直なところでした。
しかし、現場で経験する実務は聞いていた以上に、怖いと感じる場面が多く後悔しました。
- 深夜の病院からの移送
- ご遺体の隣で仮眠や待機
- 事故で亡くなられた人の対応
正直僕はこういった経験をしたことで、トラウマを負ってしまいました。
もともと怖いものが苦手だったので、実務は想像以上にメンタルにダメージを受けてしまったのです。
心霊現象が実際に起こるかどうかは横に置いて考えても、実務で経験するシチュエーションは相当にハードなものになります。
本当に図太い神経を持っていないと、長く続けることが難しい仕事なのは間違いないです。
潔癖症で衛生面が気になる人
葬儀屋は介護職のような業務が発生します。
病院からご遺体の移送業務は、ある程度その場で処置をすることもあるからです。
僕の経験では以下のようなことがありました。
- おむつ交換
- 絆創膏はがし
- 事故関連の処置
ストレッチャーによる移動は必ず行うのですが、ストレッチャーは本来は自分で身体を動かせる人などを横にして運ぶための道具です。
ご遺体はもう亡くなられているので自分の意思で動きません。動かない人間というのは想像以上に重く大変な労力を要します。
自力での歩行や車椅子での移動が困難な人や病人、けが人を横に寝かせたまま運ぶための道具。長距離の移動が必要な場合や体調不良の人を車椅子で移動させる場合、上半身が起きていると少なからず負担がかかる。
引用:ベネッセ|ストレッチャー
めちゃくちゃ大変そう
まずご遺体に触れることに抵抗が…
そして、入院中のままの状態だったり直前まで生きていらっしゃったので、移送の前に処置をしておかなければならないものもあります。
おむつ交換などははじめて行いましたが、こちらも動かないので介護職の業務より大変だと感じます。
僕の感想は病院からのご遺体の移送は、ほとんど介護職のイメージでした。
手袋やマスクはしているものの、それで守れている気がしません。こういった実務は想像していなかったのでメンタルがきつかったです。
また、ご遺体を安置している冷蔵庫など特定のエリアは、ご遺体の独特の匂いが充満しています。
髪に匂いがついて取れなくなることもありました。
また、ご遺体を見ることや、ご遺体から漂う腐敗臭にどうしても慣れることができません。葬儀があった日に家に帰ると、髪から同じ臭いがします。受け入れがたいです。
引用:Yahoo!知恵袋
個人的にはこれが1番苦手だったかも
ご遺体の移送といっても、汚物などの処置や感染症に気を使う必要がありましたし、個人的にはかなり抵抗があったのを覚えています。
衛生面が気になる場合は、葬儀屋はやめておいたほうがいいかもしれません。
葬儀屋に向いている人の特徴
さてここまでは、葬儀屋が向いていない人の特徴を僕の体験談を交えてお伝えしました。
正直合わない人は合わない特殊な職種であることは間違いありません。
一方でこの仕事が好きだという人にも葬儀屋で会うことができました。ここではそういった葬儀屋に向いている人の特徴をお伝えします。
- ライフイベントに関わる仕事がしたい人
- ホスピタリティ産業で働きたい人
ライフイベントに関わる仕事がしたい人
僕が葬儀屋に入社した理由の1つに、ライフイベントに関われるというものがありました。
ライフイベントとは人生で起こる主要な出来事で出産や結婚などで、最後に迎えるライフイベントがお葬式です。
そういった人の人生に関わる仕事は、とても意義深いものだと感じたからです。
たしかに他にないかも
葬儀屋のお仕事は意義があると思うよ
ただ記事でお伝えしたように、葬儀屋のイメージは一般的にはあまりいいものとはいえず不人気であることは事実だと感じます。
僕自身も転職エージェントから紹介されて躊躇したほどです。
一方で「結婚」を扱うブライダル業界もライフイベントを扱う業界ですが、葬儀業界と違って人気業界です。
専門学校の数で見ればわかりやすいのですが、ウェディングプランナーを目指せるブライダル関係の専門学校は116校あるのに対して、葬祭ディレクターを目指すことができる専門学校は10校と少なく圧倒的な差があります。
同じライフイベントなのに、イメージが「明るい」か「暗い」かでここまで転職や就職市場での人気が変わるものなのかと感じました。
どうしてここまで違うのかな
実際に葬儀は悲しい場面ではあるものの、ご遺族が次の人生を迎えるための大事な節目でもあります。
僕は葬儀業界を調べるうちに、これからの明るい人生を進めるようにご遺族をサポートして、亡くなられた人を弔う葬儀屋は本当に意義のある仕事だと感じるようになったのです。
葬儀というライフイベントに関わることで、人の役に立てるという実感を得られるというのが葬儀屋にもあることがわかりました。
親戚の葬儀で担当とサブに着いていた方の対応が凄く良くて、喪主を務めた親戚も凄く助かったと言っていて自分も人に助かったと言ってもらえる仕事がしたいと思ったのがきっかけです
引用:Yahoo!知恵袋
まとめるとブライダル業界などの、ライフイベントに関わる仕事に興味がある人には葬儀屋は向いている可能性がある仕事です。
イメージだけで避けずによく調べることをおすすめします。不人気だからこそ優良な企業に入社できる可能性もあります。
ホスピタリティ産業で働きたい人
ホスピタリティという言葉をはじめて聞く人もいるかもしれませんが、主に飲食や観光業界などで使われる「おもてなし」を意味する言葉です。
“hospitalis”(手厚いもてなし)を語源に持つ「ホスピタリティ産業界」は、人と人との触れあいを中心としたサービスビジネス全般を対象とします。
引用:大和学園|ホスピタリティ産業界について
ホスピタリティ産業に分類される業界には以下のようなものがあります。
- 宿泊業界(ホテル・旅館)
- ブライダル業界(ウェディングプランナー)
- 医療業界(病院)
お客さんに喜んでもらいたいと感じる人や、接客をすることにやりがいを感じられる人にとって葬儀屋は向いているといえます。
大切な人を亡くされたご遺族に寄り添う必要がある職業だからです。
ご遺族の気持ちを考えながら、サービスを提供する仕事はまさにホスピタリティが求められる仕事といえます。
私たちさくら葬祭が追求し続けるのは、価値ある商品、価値あるホスピタリティをお客様に提供して、イノベーションを起こすということです。
引用:さくら葬祭|さくら葬祭代表インタビュー
たしかに思いやりが重要そう
支える意識が必要だね
一般的なホスピタリティ産業との違いは、「悲しい場面」であるということです。
お客様の支えになるような心配りや、細やかなサポートが求められますが、その分やりがいのある仕事です。
会社からは、ご遺族の心をしっかりつかむためには、お悔やみの言葉だけでなく、声のトーン、顔つき、目つきなども重要だと言われています。
引用:東洋経済|異業種から「葬儀社」へ転身の男性が得たやりがい
ご遺族の感情に寄り添って最適なサービスを提供する葬儀屋は、ホスピタリティ産業を目指している人に向いているといえます。
葬儀屋にもいじめがあった!耐えられなかった僕の体験談
ここまでは、葬儀屋に向いている人の特徴をお伝えしました。
人が亡くなる場面に関わる葬儀屋の仕事は、感情や気持ちに寄り添うことができる人に向いているといえます。
さて、ここからは僕が実際に体験して葬儀屋を辞めることになった体験談をお伝えします。
- 葬儀屋に幻滅してしまった
- 眠れない夜勤は本当に過酷だった
【裏話】葬儀屋に幻滅してしまった
葬儀屋と聞いて「ノルマ」をイメージする人は少ないと思います。
人が亡くなることでお金を稼ぐというのは、どこか違和感を感じるのでイメージされにくいのです。
たとえば葬儀に関わる「僧侶へのお礼」も明確に金額が提示されておらず、いくらかわからず困ったというケースがあるくらいです。
たしかにあまり知らないかも
業界的にお金の扱いはやや特殊かも
僕が働いていた葬儀屋では「お金を稼ぐこと」が会社の命令として明確に出ていました。
まぁ営利目的の企業なので当然ですが、中途で入った立場からするとやや幻滅します。
- 互助会の営業
- 葬儀のプランアップ
互助会とは簡単にいうと、会員の助け合いで葬儀のお金を出すような仕組みのことを言います。
葬儀屋の収益源の1つとも言える互助会の営業には一定のノルマがあり、従業員は必死に営業をしていました。
引用のように葬儀屋だと思ってたら、互助会営業だったということにもなりかねないので、注意してください。
話を聞くと、最低限の給与は本当に低かったですが、後は歩合でいくらでも稼げるという話でした。ただ、まったく話が違うと思ったのは、実際の仕事は葬式の段取りではなく、互助会の飛び込み営業だということでした。
引用:キュービック|葬儀屋の営業でノルマを超えない社員は即クビ!?求人情報と話が違う
僕は「葬祭ディレクター」という葬儀の進行やプランを決める役割の人と、一緒に仕事をしたことがあります。
病院からの移送をサポートしていたとき、葬儀屋の裏話を聞かせてくれました。
- 葬儀のプランは時間勝負
- 生活保護はお金にならない
- できるだけプランを上げる
お金を払える人だけ、しっかり対応するというところはある意味当然かもしれません。
そして営業会議ではどれだけ葬儀のプランを引き上げられるかが議論の中心に。
ビジネスだから仕方がないとはいえ、人が亡くなることに対して優劣をつけている姿を見て僕は幻滅してしまいました。
眠れない夜勤は本当に過酷だった
葬儀屋で1番嫌だったのが夜勤です。夜勤がなければ長く働いていたと思えるほど嫌でした。
そもそも転職エージェントに嘘の求人を紹介されていたので、夜勤が業務に入っていることは知らなかったのです。
ひどいよね
転職エージェントはたまにこういうことある
夜勤で嫌だったことは以下です。
- 仮眠する時間なのに寝れない
- いじめをする先輩がいる
- ご遺体を移送する業務
1つずつ説明します。
仮眠する時間なのに寝れない
僕が働いていた葬儀屋は、日勤から夜勤にそのまま入る連勤でした。
そのため、夜勤の時間帯は社内的には休憩時間扱いです。
病院や警察から呼び出しがない限り、仮眠することが許されていたのです。
ただし寝れません
仮眠の意味ないじゃん
電話はひっきりなしというわけではないですが、2回から3回はご遺体の移送依頼が入ります。
結果的に気づいたら朝を迎えていたということがほとんどでした。
いじめをする先輩がいる
夜勤ではパートナーになる人が必ずいました。
ストレッチャーなど1人では操作できないからです。
しかし、そのパートナーにいじめをするモンスター社員がいました。
移送するための先導する車でまかれて道に迷いそうになったり、作業中に悪態をつかれたりメンタル的にきつい相手でした。
正直いい人ばかりではないので、こうした問題のある人と一緒になると誰もいないところでいじめを受けることも。
ご遺体を移送する業務
シンプルに夜にご遺体と向き合う仕事は、メンタルにきつい作業です。
想像できる
かなりきついよ
夜の病院はそもそも静まり返って怖いですし、個人宅に行く場合も処置が適切でなければ匂いがあったりします。
僕が1番しんどかった思い出は、ご遺体の横で仮眠をとる必要があったことでした。
体力的に疲れ切っていたので、眠ることはできましたが、何をやってるんだろうという気持ちで朝を迎えました。
葬儀屋に転職する前に確認すべきポイント
ここまでは僕の体験談をお伝えしました。
当時のリアルな気持ちを書いていて思い出しましたが、正直まだトラウマを抱えていると実感します。
さて、最後にお伝えするのは、もし葬儀屋に転職するなら気をつけるポイントを人事目線でお伝えします。
- ブラック企業は存在するし離職率も高い
- 葬儀屋の繁忙期の入社は避ける
- 葬儀業界の市場自体は大きく魅力的
ブラック企業は存在するし離職率も高い
葬儀屋は個人経営のところも多く、ブラック企業にあたる可能性があることに注意が必要です。
僕が入社した葬儀屋はブラック企業で、離職率は高く毎日のように退職の処理をしていました。
そんなブラックな葬儀屋の特徴はこんな感じです。
- いっせいに契約社員変更
- 取引先からの再雇用
- 家族経営・ワンマン社長
ぜんぶ地雷とも言えるような内容ですが、これが僕が経験した職場です。
特に契約社員への変更は、各支店で務める職員を対象に行われました。
コストを下げる目的などさまざまな理由があったとは思いますが、突然非正規雇用に変更されるような職場ははじめてでした。
こわすぎる
また葬儀屋としては大きな会社だったので、取引先の再雇用先としての採用経路が確立されていました。
そのため再雇用された元取引先の幹部クラスの人たちが大勢いて、幅を利かせているような職場だったのです。
僕はこの再雇用組にパワハラを受けたことがあります。
夜勤で仮眠をとっていたのに、「なんでお前寝てるんだ」と蹴られたのです。
あの時はびっくりしたなぁ
そして最もきつかったのはワンマン社長のパワハラです。
従業員のキャリアを一切考えない配置転換や、過度のプレッシャー、労働基準法を無視した夜勤など多くの問題を起こしていたのです。
そんなワンマン社長が経営する葬儀屋だったので、離職率は高く気に入られなければ生き残れないような職場でした。
24時間営業が基本の葬儀屋は、そもそもブラック企業になりやすい条件が揃っています。
僕の経験のように、ワンマン社長などの地雷がないかはよく確認しておきましょう。
葬儀屋は繁忙期の入社は避ける
葬儀屋には繁忙期があります。
それはシンプルに人が亡くなりやすい「冬」です。
政府統計によれば12月と1月が特に亡くなられている人が多いことがわかります。
僕も冬に働いていた経験があるのですが、明らかに仕事の発生数が多く夜勤でまったく眠れませんでした。
忙しすぎるのは嫌だな
寒いと身体も弱るみたいだね
他社の葬儀屋のブログを見ても同じように年末や寒い時期が繁忙期になっていることがわかります。
葬儀社の繁忙期は冬です。決まって12月から2月が最も忙しくなります。
引用:小川葬祭社|暇な時期と忙しい季節
逆にあたたかい季節は暇になったりすることが多いので、業務の進め方には慣れが必要かもしれません。
忙しすぎる冬場に入社をしてしまうと、いきなり修羅場を経験してしまう可能性があります。
転職のタイミングは調整が難しいかもしれませんが、繁忙期を理解しておくだけでも心構えが違うかもしれません。
葬儀業界の市場自体は大きく魅力的
この記事では僕の経験から、葬儀屋はやめとけというメッセージを主にお伝えしてきました。
記事を読んできつそうと感じたら、その3倍はきついと思った方がいいくらい現実は厳しいはずです。
それはさすがに嫌だな
実際にやってみるときつさがわかると思う
しかし、葬儀業界自体は転職においてはとても魅力的といえます。
まずビジネスの鍵を握る「死亡数」は、高齢化の影響で長期的に増加傾向が続きます。
このように市場が拡大し続けることが、約束された業界は少ないです。
死亡者数が多く火葬場が足りないような状況です。
国内で死亡した日本人は去年1年間で156万人余りと、統計を取り始めて以降、過去最多となりました。
引用:NHK|火葬ができない 12日間待ちも “多死社会” 年間死亡者数が過去最多
競争が増えたり、直葬といった低単価の課題はあるものの、需要がなくなることはない業界といえます。
僕が働いていた葬儀屋も長年黒字を継続していました。
- 病院とのパイプライン
- 警察とのパイプライン
老舗や大手の葬儀屋は、こういった流入経路を持っているので、安定した収益を得られるのです。
小さな葬儀屋だと淘汰されてしまう可能性がありますが、地場に根付いた老舗企業であれば潰れる可能性は低いです。
葬儀屋についてよくある質問
葬儀屋は将来性がある職種!向いていると感じるならやる価値はある
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事をまとめます。
- 葬儀屋は給料に反映されないストレスがあるからやめとけ
- ホスピタリティ産業に興味があるなら選択肢になる
- 葬儀業界自体は有望!狙うなら地場に根差した老舗や大手
前提としてこの記事は、葬儀屋の仕事を批判するものではありません。
亡くなられた人を弔い、ご遺族の気持ちに寄り添うような社会的に意義のある仕事です。
本当に重要な仕事です
しかし合う合わないは別の話です。僕は個人的に葬儀屋の実務に合わずトラウマをかかえるほどの経験をしてしまいました。
素晴らしい職業である一方で、人が亡くなることをビジネスとしているため、かなり特殊な環境で働くことになるのは事実です。
何度もお伝えしますが、僕の記事を読んで「きつそうだな」と感じるようであれば「やめとけ」と言いたいです。
できるだけ生々しく当時の状況をお話ししましたが、現実の仕事はその何倍も厳しいはずです。
安易に安定した業界だからとかの理由で転職をしないようにしてください。
この記事があなたの役に立っていれば嬉しいです。