え、あの人の分も僕がやんの?
仕事ばっかり増えて給料ぜんぜん増えない!
最近、コンビニでランチをするのも厳しくなりましたよね。
仕事を頑張っても給料が上がらないと生活は苦しくなります。
でも仕事は忙しくなるばかり
忙しくなる原因は人がいなくなったり、会社の業績が伸びたりと会社によって様々ですが、ほとんど給料には反映されないのが現実です。
僕も管理職になったり、退職者の引き継ぎで仕事量が増えたことがありますが、ほとんど給料は上がることはありませんでした…。
この記事の結論をお伝えすると、会社依存で満足のいく給料アップを目指すのは限界があるということです。
- 仕事をしても給料が上がらないのは仕組みや環境に原因がある
- 会社に依存していても給料が上がる評価制度がなければ頑張っても報われにくい
- 給料を上げるためには自分で考えてキャリアをつくる必要がある
終身雇用の時代であれば、働いていれば給料が年功序列で上がっていきましたが現代はそんなことはありません。
自ら望むライフスタイルを考えて、それに見合う給料を稼ぐためのキャリアを考える必要があるのです。
この記事を書いている僕は、人事として15年の経験に加えて国家資格キャリアコンサルタントとMBA(経営学修士)を保有する「転職のプロ」です。
人事とは会社の制度をつくるので、経営者に近い職種です。なぜ給料が上がらないのかという疑問や解決策を人事視点でお伝えします。
記事を最後まで読めば、給料が上がらない本質を捉えることができ、給料を上げるためには自分が何をすればいいかがわかるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください!
仕事を頑張っても給料が上がらないのは仕組みに問題がある
まずはじめに給料が上がらない仕組みを人事視点で詳しく解説します。
基本的に給料アップは青天井ではなく、一定のルールの中で増減していくものです。
しかしその仕組みを理解しないまま頑張ってしまうと、思うように給料が上がっていかないという悲惨な状況になってしまうかもしれません。
- 還元するつもりがないブラック企業に注意
- 頑張っても報われない人事評価制度とは
- 年収アップの上限は決まっている?昇給率の罠
還元するつもりがないブラック企業に注意
僕の経験上で1番報われないことが、わかっているのは「ブラック企業」で働き続けることです。
ここでいうブラック企業とは一般的な長時間労働やパワハラをするような会社のことです。
ブラック企業の根本原因は「経営者」であることがほとんど。
- 稼げるビジネスモデルではない
- 従業員を消耗品として捉えている
- 利己的で私欲を肥やし続ける
これは僕が直下で働いたことがある経営者の一例ですが、こういった経営者がいる限りブラック企業で働き続けても報われることはありません。
一部「お気に入り人事」に抜擢されれば、そのブラック企業でも給料アップを期待することはできますが相性の問題など自分ではコントロールできるものではないです。
なんかひどい会社だね
実在する会社だし外面はいいから気をつけてね
少し難しい言葉ですが「労働分配率」というものがあります。
簡単に説明すると企業が生み出した付加価値のうち、人件費にどれくらい払っているかの指標です。
労働分配率(%)=人件費 ÷ 付加価値 × 100
ブラック企業はこの労働分配率が低くなる傾向があります。
2021年企業活動基本調査によれば、業種別では以下のような労働分配率になっています。
ちなみに飲食業界など一般的に給料が低い業界が、労働分配率が高くなっているのは生み出す付加価値がそこまで高くないからです。
従業員がこの労働分配率を知ることは難しいのですが、このような指標があることを知っておくことで「儲けているのに給料が少なすぎるのでは」と疑問を持つことができます。
そのような場合は経営者や上層部に収入が偏っている可能性もあるのです。
なんか納得いかないなー
また「やりがい搾取」というものも、ブラック企業ではおこりやすく、近年のスタートアップ企業や有名企業などの事例でニュースにもなりました。
やりがい搾取とは「やりがいがある」ということを対価に長時間労働や、低賃金で働かせるといったブラック企業の代表のようなものです。
ユニークキャリア社の調べでは、やりがい搾取の経験をした人は約30%存在することがわかります。
このやりがい搾取も、労働分配率の話も結局は「経営者」によるものがほとんど。
経営者が従業員のことを真剣に考えていない会社で働き続ければ、自分の時間と労力を吸い取られ続けることは避けられません。
頑張っても報われない人事評価制度とは
会社において給料が決まる仕組みは「人事評価制度」です。
人事評価制度とは、従業員の働きや成果を評価して「報酬制度」や「等級制度」に反映するものです。
人事制度はこの「人事評価制度」、「報酬制度」、「等級制度」の3つで仕組みとしてまわっているのです。
僕は本業がこの人事制度づくりなので、このシステムの重要性をよく理解しています。
ぶっちゃけ、この人事制度がうまく機能していなければいくら仕事を頑張っても給料が上がることはありません。
評価制度うちにはあるのかな
ない場合もあるよ
状況として大きく2つあります。
- 評価制度がある(MBOなど)
- 評価制度がない(年功序列)
1つずつ説明します。
評価制度がある(MBOなど)
評価制度がある場合はひとまず仕事を頑張れば、昇給できる可能性があります。
評価制度は定めた基準や目標を越えたかどうかで、判断するものだからです。
ここで全ての評価制度について話すと長くなるので、代表的な「MBO(目標管理)」について説明します。
ギークリー社の調べではIT人材の約40%は「MBO」で評価を受けていることがわかります。
MBOは上司とともに目標を設定して達成したかどうかで判断する評価制度です。
ピーター・ドラッカーが提唱した有名な評価制度なので取り入れている企業は比較的多いのが特徴です。
ただし、目標を設定すればいいというものではなく、上司と部下双方が理解したうえで目標を達成する必要があるのです。
上司が適当な人物で自分の目標をきちんと見ていない場合は評価されず、給料にも反映されないので注意が必要です。
どれだけ仕事を頑張っても目標として設定していないものだった場合は、評価として考慮されない可能性もあるのです。
評価制度がない(年功序列)
自分の会社の評価制度がない場合は要注意です。何を頑張れば給料が上がるかわからない状態だからです。
僕のような人事が採用される背景には「評価制度がないからつくってほしい」という求人があります。
一定数は評価制度がない、もしくはあっても数十年前のものを使っているといったところです。
残念な会社だ
正直おすすめできる会社ではない
評価制度がないということは、人事の観点でいえば人に報いる考え方がないと言っているようなものです。
人事として働いていると、ブラック企業として扱われるような企業は評価制度の整備が後回しになっていることが多いと感じます。
離職率が高く、ブラックとみなされやすい企業には、公平でわかりやすい評価基準・報酬体系がないという共通点があります。
引用:あしたのチーム|人材流出やブラック認定の原因は人事評価制度の不備
また、評価制度がない会社は「年功序列」であることも。
年功序列は文字通り勤続年数や年齢に応じて、順番に昇給していくシステムなのでどれだけ頑張っても時間が経過しない限り昇給はしないのです。
年功序列の会社は「働かないおじさん」の温床になることもあります。
識学社の調べではなんと約49%の企業に「働かないおじさん」が存在していることがわかります。
働かないおじさんはその名の通り、仕事をしないおじさんを指します。
働かないおじさんがいるような会社は、いくら仕事を頑張っても給料があがらず苦しい思いをすることに。
自分の会社が年功序列で、働かないおじさんまでいるのであれば、どこか別の会社に転職することをおすすめします。
年収アップの上限は決まっている?昇給率の罠
前項で評価制度についておおまかに説明しました。
評価制度という仕組みの中で基本的には給料が決まることは伝わったと思います。
ではものすごく頑張ればどこまでも給料が上がるのか?というとそんなことはありません。会社の人事制度では昇給する上限まで決まっているのです。
え、夢がない
詳しく知ると面白くないよ
青天井で給料が上がってしまうような仕組みを作ったら、そんな会社はすぐに赤字や倒産になってしまうでしょう。
でも従業員のやる気を引き出さないといけない、そんなバランスで決まるのが「昇給率」というものです。
昇給率とは比較対象となる前年などと比べて、どのくらいの割合で昇給できるかというものです。
一般的には1%〜3%程度と言われます。
会社はまず最初にこの昇給率を決めていることがほとんどです。たとえば2%であれば2%以内になるように社内の評価を調整します。
昇給できる総額が少なければその分、自分の昇給も少なくなるのは当然のことです。
きつくない?
業界によって常識は違うからね
この昇給率は自分が属している業界によって様々で、利益率の低い業界で働いていれば昇給できる金額も少ないのが普通です。
僕は外食業界で人事をしていましたが、そこでは1,000円台の昇給も普通のことでした。
一方IT業界など利益率や給与水準の高い環境だと1万円単位で昇給することもあります。業界や業種によって給料の上がり方には明らかに差があります。
効率を上げたところで増えるのは給料じゃなくて仕事だけ
ここまでは仕事量が増えても給料が上がらない仕組みをお伝えしました。
結局のところ仕事が報われるかどうかは、勤めている会社次第です。きびしいですが頑張っても報われない環境であれば転職するほかありません。
ここからは報われない環境で働いても給料になかなか反映されないケースを深堀りしてお伝えしていきます。
- 優秀な人に仕事が偏るのはどの会社も同じ
- 管理職になれる人数は限られている
- みなし残業制度がある会社は頑張っても報われない
優秀な人に仕事が偏るのはどの会社も同じ
優秀な人ほど忙しくなるのはどこの会社も同じです。
「頼られる」といえば聞こえはいいですが、結局のところはできない人のしわ寄せがきているだけです。
効率をどんどん上げられる優秀な人には仕事がまわってきます。
あるあるだよね…
仕事は止められないから仕方がないんだ
そんな優秀な人が割が合わないと感じてしまうのは、仕事量が増えるのに給料は大して変わらないことです。
仕事ができない人のサポートをして、忙しくなっているのに見合う給料をもらえないのは不満を抱いて当然です。
- 急な退職で人手不足になったから
- 前任はミスが多く他に任せられる人がいないから
- 仕事の効率が高いから
優秀な人は自分なりに工夫したり、成長をしているので他の人よりも仕事ができるようになります。
一方でそこに頼ったり甘える人がいるのが会社というものです。
仕事が増えた分給料が上がればいいですが、基本的には評価を受けるまでは変わりません。
優秀な人がどれだけ頑張っても、給料にはすぐ反映されないのがつらいところです。
優秀な人ほど早く辞めるといわれますが、実際にはこういった割の合わない仕事をさせられることが多く待遇面に不満を持つからです。
シフィット社の調べでは、優秀な人が辞める理由のトップは「待遇面に不満を感じる」でした。
ボランティア精神で他人に貢献することが好きであれば、頑張れるかもしれませんがそうでない場合は早々に会社に見切りをつけて去っていきます。
こういった理由から、待遇面が良くない会社では優秀な人材は残りにくく、能力が低い人が増え続けることで会社の生産性は下がり、さらに給料が上がりにくくなるのです。
管理職になれる人数は限られている
管理職は割の合わない仕事の代表だと個人的に感じています。
ほとんどの場合がプレイングマネージャーで自分の仕事だけではなく部下のサポートもすることになるからです。
産業能率大学総合研究所の調べでは、管理職のうち98%が「プレイングマネージャー」であると回答しています。
ただ、会社の中でキャリアアップや給料を上げるためには、この「管理職」を目指すことも選択肢に入ってきます。
mediagene社の調べでは、管理職と一般職には2倍以上の差が生まれていることがわかります。
いやでもやるしかない
まぁ1度経験することは成長につながるよ
しかし、実際管理職になろうと思ってなれるものではありません。
厚生労働省の調査によると、日本の管理職の割合は約12%です。
厚生労働省が実施した「令和3年度賃金構造基本統計調査」をもとにまとめられた「セレクションアンドバリエーションオフィシャルレポート」によると、管理職の割合は11.5%が平均値とされています。
引用:WARC|日本における管理職の割合
10人のうち1人しか管理職という職位につくことができないのです。
これはシンプルに、会社にはそんなに管理職はいらないということと、管理職を多く配置してしまうとコストがかさむということが理由にあります。
スパン・オブ・コントロールという1人が管理する限界があり、だいたい5名から8名程度と言われています。
ここで重要なことが1つ
組織が拡大しない限り管理職のポストは増えないということです。
つまり昇格する機会がないということに。
ベンチャー企業やスタートアップ企業などの拡大期の会社なら、どんどん昇格することもできますが、成長が止まった会社だとそのチャンスもありません。
管理職の誰かが辞めない限りポストが空かないということなのです。
自分が働いている会社の組織が大きくなっているのか、退職者を補填しているだけなのかは採用活動を、確認すればすぐにわかります。
みなし残業制度がある会社は頑張っても報われない
頑張った分だけ給料が上がるというものの1つに「残業代」があります。
会社で定められている所定労働時間を超えた分、払われるのが残業代なので仕事の量が多い人は高い給料をもらうことが可能です。
中には残業代目当ての生活残業をする人もいるくらいです。
働いた分もらえるならいいかも
そうだね残業代が出るならね
一方で仕事が増えるのに給料が上がらない環境として、「みなし残業制度(固定残業)」を導入している会社があります。
みなし残業とははじめから一定の時間を残業したことを「みなして」給料に含めておく制度です。
厚生労働省の調べではみなし残業を導入している企業は約9%となります。
労働基準法を超えない範囲で、20時間から35時間くらいの範囲で設定されていることが多いです。
残念ながら、みなし残業時間分は残業して働いても給料は増えません。
僕が働いていたブラック企業はすべてみなし残業を導入していたので、僕はしっかり残業代をもらったことがありません。
正直、みなし残業を超えて働いていたこともあるので労働基準法違反の職場だったのだと思います。
報われない…
給料を上げるために残業を頑張るというのは本質とズレます。ただ、残業しても給料が増えない職場では頑張っても無駄です。
また、僕の経験では、転職活動で「残業ありき」の年収提示を受けたことも。
どういうことかというと、みなし残業はない代わりに、30時間くらい残業することを前提とした年収だったのです。
逆に30時間残業しなければ給料は大幅に下がることになるのです。
これにはツッコまざるを得なかった
とんでもない会社だと思いましたが、会社の常識は外からみれば非常識というのはよくあることです。
その会社にとっての常識は残業で稼ぐことだったのだと思います。
生活残業をして時間を引き伸ばしたところで、給料は上がるかもしれませんが能力や効率は下がり転職する力も弱くなります。
みなし残業の有無に関わらず、残業を前提としている会社では、本質的に給料を上げることは難しいと考えるほうがよいです。
仕事量と給料が見合わない根本的な原因を解説
ここまでは、仕事が増えても給料が上がらないケースを見てきました。
自分だけ効率を変えても、周りや仕組みも変わらない限りはしわ寄せが自分にくるだけです。
転職して環境を変えたほうが早いことのほうが圧倒的に多いです。
さてここからは、やや俯瞰して日本や会社視点から給料が上がらない原因を見ていきましょう。
- 自分だけではない!日本全国給料が上がっていない厳しい現実
- 会社が給料を上げたくない裏事情とは
自分だけではない!日本全国給料が上がっていない厳しい現実
給料が上がりにくい根本的な原因は、シンプルに高い利益を生み出せていないからです。
僕達が住んでいる日本は、労働生産性が低いことで有名なのをご存知でしょうか。
労働生産性とは、簡単にいうと「労働者1人」が生み出した成果の指標です。
日本生産性本部の調べでは、国際比較で38位中の30位とほぼ下位に位置しています。
また1人あたりの労働生産性を見ると、もともと20位前後と低かったものが近年では更に順位を落としていることがわかります。
悲しい現実がここに…
ようは効率が悪いってことだね
そこまで簡単な話ではないですが、労働生産性を上げることができれば給料も上がる可能性が高くなります。
労働生産性を高める方法は以下2つのどちらかです。
- 効率を上げる
- 高い付加価値を生み出す
ひたすら効率を高めても、生み出す付加価値が低ければ給料に還元されるものも少なくなります。
中小企業庁の調べでは、情報や専門性のある業種が労働生産性が高く、飲食やサービス業といった業種が労働生産性が低くなっています。
また野村證券の調べでは、日本は30年間ずっと給料が上がっていないことがわかります。
さらにNEWSPICKSの最新の調査では大企業も低所得化、給料が上がっていないという実態が明らかになっています。
一方で、30歳以上では給与水準が低下しているのが確認できます。特に35~49歳の働き盛りの年齢階層で、減少幅が大きいのがわかりますね。大企業でさえも低所得化していたという事になりそうです。
引用:NEWSPICKS|日本人の給料は本当に下がったのか?
さらにいうと、給料は3%しか上昇していないのに物価は11%も上昇しています。
つまり生活が苦しくなっているのです。
まとめると、付加価値を生み効率を上げない限り日本の給料は高くなることはないのです。
一方このような現象を自分に置き換えてみるという視点も重要です。はたして生産性が高いのか、付加価値は生み出しているのかという視点です。
そのような視点で考えることで自分のスキルについて問題意識を持つことができるので、改善していくことで給料の高い会社に転職することが可能になるからです。
会社が給料を上げたくない裏事情とは
ここで残念なお知らせがあります。
会社には「昇給させなければならない」という法律の規定はありません。
就業規則に昇給のことが書いていても「業績が悪ければ行わない」という但し書きがあればそれで済んでしまうのです。
入社して7年目になりますが、昇給が一度もありません。昇給しない理由を会社に聞きたいのですが、どうすればいいでしょうか。中小企業の経理事務員です。
引用:Yahoo!知恵袋
残念すぎる
だから経営者の考え方が重要なんだ
最低賃金を下回ったり、年収の10%を超えるような極端な減給をしない限りは問題にはなりません。
会社が給料を上げないというか、上げにくい理由として「先行きが見えない」というものがあります。
労働基準法はどちらかというと立場の弱い従業員のためにつくられていて、会社は給料を上げることはできても下げることはあまり自由にはできないのです。
給料は従業員の生活に直接影響しますし、そもそもモチベーションにも大きく影響するからです。
1度上げた給料を今度は下げるということは現実的にはできないのです。
ちなみに懲戒処分でさえ給料の10%しか下げることはできません。
減給の額は、平均賃金1日分の2分の1以下でなければなりません。また、同一の従業員が複数回の問題行為を起こした場合、1賃金支払い期間における総額の10分の1以下にしなければいけません。
引用:マネーフォワード|給与を減額する際の注意点
そのため、先行きが見えない現代では給料をバンバン上げるというのは経営的にはリスクが高くなってしまいます。
近年ニュースで話題になったのはビッグ4と呼ばれる、コンサルティング会社のアクセンチュアが昇進を据え置いたことです。
アクセンチュアが例年、昇給や昇進などを行う12月、今年は法的に義務付けられているなど一部の例外を除き、「昇進の対象ではない社員の基本給引き上げは行わない」との方針を社員に通達したことが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。
引用:ダイヤモンド|【スクープ】アクセンチュアが基本給据え置きへ!コンサル絶対王者に生じた異変の中身
労働生産性が高いと言われるようなコンサルティング会社でさえ、昇給を先送りする時代ということです。
しぶい現実だ
一方で会社にはお金がないかというとそんなことはありません。
東洋経済の調べによれば、日本企業の内部留保(資金の蓄え)は1990年以降4倍になっていることがわかります。
会社にはお金があるけど、従業員には還元していないということがいえそうなデータです。
実際に経営とは不確定要素と隣合わせのシビアな世界です。
もしものために保険を残しておきたいという経営者の不安が消えない限り、僕達の給料は上がっていかないのかもしれません。
給料が増えずに責任ばかり増えた僕の体験談
ここまでは給料が上がらない原因を日本や企業視点でみてきました。
自分だけではなく、日本の構造的になかなか上がりにくいということが、わかったと思います。
ここからは僕が実体験として感じた仕事ばかり増えた経験をお伝えします。
- 能力が低い従業員のサポートばかりだった日々
- コールセンターで管理職になって後悔した話
能力が低い従業員のサポートばかりだった日々
これは自慢ではないのですが、僕はどこの会社でもマネージャーくらいのポジションにはなれます。
転職を繰り返したことで、ポータブルスキルが身について能力が高くなったからです。
そのためたいていの業務はそつなくこなすことができます。
器用貧乏ともいいます
なんだかもったいないな
そんな僕はどこの会社でも、能力の低い従業員のサポートが増えてしまいがちです。
能力が低いというと角が立ちますが、ようは仕事を効率よくすすめることができない従業員のことです。
仕事の期日は待ってくれないので、できなくても誰かがやる必要があります。
仕事ができない人が多い組織では、仕事ができる人に業務が偏るという現象が起こりますが僕もまさにその被害者でした。
- 前任者が音信不通になった
- 前任者がミスをして異動になった
- 前任者の効率が悪く進まない
僕に仕事がまわってくるときは必ず、「交代」することになるのですが、前任者がうまく仕事をまわしていないので火消しのような仕事ばかりでした。
それなりに仕事ができる僕はある程度、トラブルに対処することができるので会社にとっては便利な存在だったのかもしれません。
結果的に面倒で複雑な仕事は僕に、簡単で誰でもできる仕事は他にという状態になります。
給料や待遇が上がればいいですが、特にそんなことはなく仕事だけ増え難易度が上がり続けていくだけです。
これは本当に割が合わない
もちろん個人としての成長はできますが、見合う給料をもらえないとモチベーションは下がります。
このように仕事に偏りが生まれる根本の原因は仕事ができない人ではありません。
管理職のマネジメントによるものが大きいです。
きちんと部下の育成や評価をできていない組織は、人が育たず優秀な人材に仕事が偏り属人的になっていきがちです。
もはや自分でなんとかできる話ではないので、管理職が機能していないと思ったら転職することをおすすめします。
コールセンターで管理職になって後悔した話
仕事が増えて給料が上がらないのは「管理職」も同じです。
僕は以前コールセンターで営業職として働いていたことがあるのですが、トップセールス(成績上位)を経験したことがあるくらい成果を出していました。
当時は営業職に適性があると実感していて、やればやるほど成績につながって楽しかったのを覚えています。
営業もやってたんだね
意外と合っていたみたい
どの会社も同じですが、良い成績が出れば自然と管理職になる話が出てきます。
僕は当時管理職を経験したことがなく、興味本位で管理職になることを引き受けました。
営業職の時と同じように結果を出せば、どんどん給料が上がると思っていたからです。
現実はそうではなかった
しかし僕は管理職になったことをすぐ後悔するようになります。
- インセンティブがもらえない
- 自分で成績を出すことができない
- 部下のサポートばかり
営業職として個人で働いていたときは、仕事で成果を出したらその分自分の給料に反映されてやりがいを感じていました。
しかし管理職になると、インセンティブ(歩合)がなくなり頑張っても自分には還元されないことがわかったのです。
目標が個人からチームに変わったので評価されるポイントが変わったからです。
その割には10人ほどいる部下のサポートや労務管理など、仕事が多くなり退勤時間も平均で22時を超えていました。
ハードワークだ
実際自分が営業職だったときと、管理職になった時の給料の上がり方を比べて愕然としたのを覚えています。
仕事は忙しくなったのに、給料はインセンティブがなくなった分大幅にダウンしていました。
僕はその後管理職としてキャリアを積むことにはなるのですが、営業職として個人で活躍していたほうが給料は高かったと感じています。
僕のように自分の能力で給料を上げていきたいと考える人は、管理職などマネジメントの仕事は避けたほうがいいかもしれません。
給料を増やす方法は簡単ではない!これからのキャリアの考え方
ここまででお伝えしたように僕も給料が上がりにくい経験をたくさんしてきました。
これらの経験から僕が悟ったことは、会社に依存してはいけないということです。
会社は雇ってはくれますが、人生まで面倒をみてはくれません。自分が満足いくような給料(収入)を得るためには自分の「頭」で考えていく必要があるのです。
ここでは最後にそのあたりをお伝えします。
- 市場価値を高めるために経験を積む
- 成果を残して給与水準が高い職種や会社に転職をする
- 割り切って副業に力を注ぐ
市場価値を高めるために経験を積む
人事視点で身も蓋もない話をすると、給料はそんなに簡単には上がりません。
記事でもお伝えしたような昇給率で5,000円から10,000円の昇給を繰り返していくしかないのです。
また昇給しないという場合もありますので、その場合はさらに厳しくなります。
じゃあどうすれば…
経験を積むと良いよ
給料を上げるためには1年くらいの短期ではなく、2年から3年くらいの中期で考えた方が現実的です。
そのため、現職が給料が上がらないのであれば転職を視野に「経験」を積むことをおすすめします。
基本的には転職で評価されるのは、経験と成果です。
あなただけの経験を積むことで、会社はあなたを採用しようとするのです。
経験かー
だから会社の給料が上がらなくて不満があるなら、給料を上げることではなく経験をするためにいろいろチャレンジしてみましょう。
たとえば割が合わなくても、誰もやらないような仕事を積極的にとるとかです。
ずっと続けるのは難しいですが、期間を決めてやるなら問題なくできるはずです。
ダラダラと仕事を続けるより、その会社でしかできない経験をやり切った方が能力も上がるというもの。
僕もブラック企業でマネージャーまで登り詰めた経験があったからこそ、その後の転職も繋いでいくことができました。
成果を残して給与水準が高い職種や会社に転職をする
会社には人間と同じように、成長期などのライフサイクルがあることをご存知でしょうか。
給料を上げていこうとしているのであれば、会社のライフサイクルを意識することをおすすめします。
グラフでいうと、導入期はスタートアップ企業などまだ立ち上げたばかりの会社です。
どちらかというと導入期のライフサイクルにある会社は、不安定でギャンブル的な要素があるのであまりおすすめできません。
一方で成長期とは、事業が市場に受け入れられて拡大フェーズに入った会社です。
年収をグッと上げていきたいのであれば、狙うべきはこの成長期です。
なるほどね
大企業だけがいいわけではないんだ
組織が拡大するのでチャンスも多いですし、何より早めに入社しておくことで自分のポジションを確立しやすくなります。
ポイントは目立つ会社を探すだけではなく、時流などを読み次に来そうなビジネスなどを先駆けている会社もいいと思います。
そのあたりは市場を調べて、企業理解を深めていくといいでしょう。
成長期の企業は基準が整っていなかったり、勢いで採用しているので比較的入りやすいともいえます。
そのため現職でしっかりと成果といえるものを残しておけば、成長期の会社を見つけた時に転職するチャンスをつかむことができます。
海外では「ストックオプション」狙いで、成長期である上場前のスタートアップ企業ばかりに転職する例もあります。
自分の給料を戦略的に上げることは、これからの市場で生きていくには重要なポイントです。
割り切って副業に力を注ぐ
最後の選択肢は、自分の時間を作って副業をすることです。
現職で給料が上がらないのは、自分だけが原因ではないことが多いからです。
自分でコントロールできる時間を増やして、その分を副業に充てれば昇給なんて比べものにならないほど収入は上がります。
副業やってみようかな
手軽に始められるのがいいよ
そのためには残業をしないように、会社の仕事を割り切って最低限の出力でやる必要があります。
静かな退職という、辞めたように割り切って働くスタイルは副業に振り切る時に、ピッタリなので紹介しておきます。
静かな退職とは、仕事に情熱を持たず、必要最低限の業務だけをこなす働き方のことです。「退職」とはいいますが、実際に退職するのではなく、積極性は見せないで働き続けることを指します。
引用:Smart相談室|静かな退職
そもそもですが、残業しないことに罪悪感を覚える環境に違和感を感じるべきなのです。
記事でお伝えしたような稼げない残業や、稼ぐための残業というのは「給料を上げる」という本質からズレます。
残業なしで働ける環境を作ったり、転職してそういったホワイト企業で働く方が合理的です。
また給料が上がらないのに、副業を禁止している会社もあります。
就業規則違反をしてまで副業をすることは、あまりメリットがないので、その場合転職を検討するのがよいでしょう。
僕が働いていた会社もそうでしたが、人事制度を変えて副業ができるようにしました。
これからの時代は個人の時代と言われているので、会社に依存せず自分で稼ぐ力を身につけていくことをおすすめします。
給料についてよくある質問
会社に依存できたのは過去の話!これからは自分でキャリアを組み立てていく必要がある
最後まで読んでくれてありがとうございました。
この記事をまとめます。
- 仕事をしても給料が上がらないのは仕組みや環境に原因がある
- 会社に依存していても給料が上がる評価制度がなければ頑張っても報われにくい
- 給料を上げるためには自分で考えてキャリアをつくる必要がある
給料が上がらないのは仕組みに原因があることは記事でお伝えしてきました。
一方で副業や転職といった自分の頭で考えて、どうやったら稼げるかを考えていく必要があります。
会社は個人のキャリアを定年まで用意していません。
先行きがわからない現代では企業自体も存続が不透明だからです。
会社に依存していると、僕のように倒産を経験したらいきなりピンチを迎えることに。
いつ何が起きてもいいように、副業や転職できるようなスキルをを育てていくことが重要です。
給料が上がらないのは環境の原因ももちろんありますが、上げていくための努力も必要になっていきます。
自分の時間をつくって給料を上げていけるようにしましょう。
この記事があなたの役に立っていれば嬉しいです。